OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【介護】認知症の方のコミュニケーション

【介護】認知症の方のコミュニケーション

 

 

認知症者の多くは“寡黙”

病院や施設での現場で、認知症者は自ら積極的に話しを始めることは少ない。軽症例ではきちんと会話は成立する事が多いため、専門職は、認知症者が話しやすい環境。会話内容、質問の仕方を工夫することが求められる。

 

アルツハイマー型認知症

通常は、喚語困難(呼称障害)から始まり、認知症の進行に伴って理解の障害も目立つようになるが、進行期にも復唱は保たれていることが多い。

日常会話では,「あれ」「それ」といった代名詞や「もの」「こと」といった代用語の使用が目立つようになる。古典的な失語分類に基づけば、健忘失語から超皮質性感覚失語に移行していくのが一般的である。

 

アルツハイマー病の特徴

①社会性が比較的保たれる。

記憶や見当識の障害を補いつつ会話を続けようとするため“取り繕い反応”と呼ばれる症状がしばしばみられる。

②今を生きている。

アルツハイマー病患者は、将来を語ることが苦手であり、一生懸命〝今〟を生き、状況により〝過去〟に向かう傾向がある。そのため〝今〟に会話を戻すことが重要であるが、24 時間寄り添っている家族にとっては難しい。「また同じ話。さっきも聞いた」となると、相手との関係も険悪になり、当事者は寡黙になっていく。

 

レビー小体型認知症

抑うつ症状が初発症状である場合もしばしばみられ、寡黙で反応も遅くなる。また、無関心・意欲低下は、初期認知症に共通して頻度の高い心理症状である。

 

レビー小体型認知症の特徴

①初期の段階で明らかな失語を認めることはほとんどない。

パーキンソン関連疾患による認知症者と同様に、日常会話においても反応が遅いことが特徴。

認知面の精神緩慢と運動面での動作緩慢が関与。

② “症状の変動” 

時間帯によってボーとしてコミュニケーションが成立しないような状態や認知症を疑う程しっかりしている時間帯もある。そのため、重要な相談などを含む場合は、このしっかりしている時間帯にコミュニケーションを取れば十分に会話は成立し、記憶にも残すことが可能になる。

③“人物誤認”

人物誤認症状によって口調が変わり、しばらくの間は通常のコミュニケーションが困難になる可能性があること、しかし数十分もすれば通常のコミュニケーションが可能になることを介護者に知らせておく必要がある。

 

血管性認知症・前頭側頭型認知症

失語や記憶障害は目立たないのに自分から話しかけたり、会話に加わろうとしない。

また、社会的関心の狭小化も認知症者とのコミュニケーションを困難にする要因である。認知症の進行につれて自分や家族のことに関する関心なども薄れてくる。

 

前頭側頭葉変性症は最初に侵される領域に対応して出現する臨床症状

行動障害が目立つ“前頭側頭型認知症”

失語と行動障害が前景に立つ“意味性認知症”

失語が前景に立つ“進行性非流暢性失語”                 

の3 型に分類される。

 

同じ内容の話しを繰り返す“オルゴール時計症状”

何を尋ねても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える“滞続言語・反復言語(palilalia)”

※言語に関する常同行動は高頻度で、アルツハイマー病などとの鑑別にも有用。

 

認知症の疾患別特徴をふまえたコミュニケーションの支援が重要で、この点は専門職が介護者に対してアドバイスできることである。

 

 

【介護】高齢者への転倒予防~フットマッサージは効果はあるのか~  

【介護】高齢者への転倒予防~フットマッサージは効果はあるのか~

 

 

 

●高齢者の転倒予防の必要性

高齢者の転倒・転落による骨折などの外傷は、要介護状態の悪化を加速させQOL の著しい低下をもたらす。また、介護予防で重要視される転倒予防は、特に立位歩行能力の維持・向上が重要になる。

転倒予防に関する先行研究で・・・

  • 介護予防の必要な在宅高齢者の90%以上が足に何らかの悪影響があり、立位バランスの低下が転倒経験に繋がっており、在宅高齢者の多くが立位バランス能力向上に向けたフットケアを必要。
  • 足底部の皮膚感覚受容器からの情報入力が立位バランス能力と関連が深い。
  • 足趾機能が立位バランス能力や移動能力に及ぼす要因であることが報告されている。

 

●高齢者の転倒原因

①高齢者は加齢に伴う姿勢の変化や身体的な衰え。

②過去に転倒歴がある者は再転倒のリスクが高くなる。

③杖やシルバーカーの使用者は使用しない者と比べ転倒リスクが2 倍になる。

④対象者は複数の病歴を抱えている。

⑤5種類以上の多剤服用がある。

※薬剤数が5 種類以上の服薬は転倒のリスクが服薬のないものに比べ4.5 倍と示されている。

※降圧剤による起立性低血圧や睡眠薬によるふらつきなどが易転倒を誘発することが考えられる。

 

●足のマッサージ効果

①足底感覚の変化

足のマッサージにより感覚閾値の低下及び正常の状態にまで改善が見られた。それは、立位バランス能力において感覚受容器が集中している左右の拇指の感覚閾値低下が多く見られたが、触覚正常に改善したこと、②足のマッサージによる皮膚への刺激で残された感覚受容器の感受性が賦活化され、感覚伝達入力が高まったことが閾値の正常化を図る事は出来た

②足趾筋の変化

加齢に伴い足趾把持力が大きく低下する。加齢による足趾力の低下は足趾体操で改善されることが多く、特に足趾把持力は姿勢保持や前傾姿勢の安定性を保つために必要とされる。それを改善すれば地面を掴むような足趾の動作が転倒回避に役立つ可能性が考えられる。また、要介護高齢女性の足部は柔軟性が高いほど足把持力が強いことが明らかにされている。足のマッサージによる揉みほぐしが皮膚や筋肉の柔軟性を高め、足趾把持力の向上に寄与したのではないかと考える。

③足部機能の変化

足のマッサージによる足部機能に及ぼす効果が立位バランスの改善に繋がっている。足趾訓練は、足の握力が改善するだけでなく、感覚受容器の賦活を促し、静的立位バランスを改善させるという報告もある。高齢者にフットマッサージを実施することで、足部機能の向上(特に立位バランスと足握力)の改善につながることがわかった。

④精神的な変化

足のマッサージには、ストレス軽減効果があることが分かってきている。また、マッサージにより意欲的な意見もあり、マッサージ中のコミュニケーションやタッチングによる効果も考えられ、高齢者の自立した生活の維持や意欲向上にも繋がる。

 

引用文献

日本看護科学会誌 J. Jpn. Acad. Nurs. Sci., Vol. 41, pp. 520–526, 2021

介護予防の必要な在宅高齢者への転倒予防支援~フットマッサージが足部機能に及ぼす効果の検討~

 

 

 

【リハビリ】パワリハの高齢者への効果

【リハビリ】パワリハの高齢者への効果

 

 

 

パワーリハビリテーションとは

老化に対するリハビリテーション

パワーリハビリテーションは、老化や障害により低下した身体的・心理的活動性を回復させ、自立性の向上とQOLの高い生活への復帰を目指すリハビリテーションの手法。マシントレーニングを中心とした運動プログラムであり、「老化に対するリハビリテーション」といえる。

軽負荷でのマシントレーニング

パワーリハビリテーションは、筋力強化を目的としたプログラムではない。
パワーリハビリテーションは、マシントレーニングを軽負荷で行い、全身各部の使っていない筋を動かし、動作性・体力の改善、心理的活動性の改善が得られる。パワーリハビリテーションが心臓に与える影響は「入浴」より軽く、運動によるリスクはほとんどない

行動変容をもたらすリハビリテーション

身体の動きが良くなった、疲れにくくなったという動作・体力の改善は、「自己認識・自己概念」に変化をもたらし、自信もつく。自信がつくことにより、行動の変化も生まれる。 また、パワーリハビリテーションのような軽い有酸素運動の時に、神経から放出される物質には、「うつの改善」など心理的効果も発揮する。

 

チェストプレス

チェストプレスで鍛えられる筋肉

・大胸筋

・三角筋

・上腕三頭筋 

チェストプレスマシンの使い方

①高さを調整する

しっかりと腰掛けた状態で、足の裏が全て地面につくこと。膝と足首が直角になり、安定感のある座れるかどうかを必ずチェック。

②位置を調整する

左右の大胸筋を均等に動かすために、グリップを握る位置は必ず左右共に同じ位置を握る。

③バーを押し出す

胸を張って背筋を伸ばした状態で、ゆっくりとバーを前面に押し出す。まっすぐと押し出したバーは、その状態で少しキープするのがポイント。押し出した時と同じように、ゆっくりとバーを引き戻す。

バーを引き戻す時に、かけてある重量に任せて勢いよく戻すのはNG。勢い良く曲げる事になるので、関節を傷めてしまう可能性がある。

 

レッグプレス

レッグプレスで鍛えられる筋肉

・大臀筋

大臀筋はハムストリングスと連動しており、歩く、走るといった日常生活に欠かせない動作に深く関わる。

・ハムストリングス

ハムストリングとは、「大腿二頭筋」「半膜様筋」「半腱様筋」の3つの筋肉の総称。

・大腿四頭筋

大腿四頭筋とは、「外側広筋」「内側広筋」「中間広筋」「大腿直筋」の4つの筋肉の総称。

・内転筋群

内転筋群とは、「薄筋」「縫工筋」などの複数の細い筋肉で構成されている筋肉群。

 

レッグプレスの使い方

①両脚を肩幅に開いて、膝の角度が90度になるように調節

まず背中をぴったりとシートにつけて座ります。脚を肩幅に開き、つま先は逆八の字を向くようにしてフットプレートに乗せましょう。ここでの注意点は膝の角度が90度になるようにシート位置を調節すること。回数を重ねていくうちに膝の角度が崩れやすいため意識して行うことが大切です。

②膝を2秒かけ伸ばす

①の姿勢をキープしたまま膝を2秒かけ伸ばしていきます。このときに、鼻からゆっくりと息を吐きながらフットプレートを押す(シートを持ち上げる)ことで下半身に加えて腹筋も鍛えることができるためおすすめです。

③膝を2秒かけ戻す

①の姿勢をキープしたまま今度は2秒かけ膝を戻していきます。この一連の動作を1セット10回、負荷を感じる重さにセットして行うと効果が見込めます。

 

 

 

【介護】急性腰痛

【介護】急性腰痛

 

 

 

●ぎっくり腰(急性腰痛)とは

急性腰痛症は、腰痛が発症してから4週間以内のものを指します。一般に“ぎっくり腰”と呼ばれている状態はこれに含まれ、重いものを持ち上げたときや腰をひねったりしたときなどに突然起こります。強い痛みを生じることが多く、欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」と呼ばれることもあります。痛みの原因は、主に腰の関節やその周りの筋肉や靱帯にあると考えられていますが、原因がはっきりとしないこともあります。

急性腰痛症の中には、骨折や感染症、腫瘍などほかの病気が原因となっていることもあり、この場合はそれぞれに対応した治療が必要となります。

 

●原因

急性腰痛症の痛みの原因はさまざまで、原因がはっきりしない場合が多いようです。

原因の1つとして・・・

・身体の機能低下(姿勢、習慣、過緊張、筋力、柔軟性低下)

・ストレスや環境、季節要因に

・老化

・無理な力がかかることなどによる腰の関節のズレ、椎間板の損傷、腰の筋肉や腱、靱帯の損傷 など

が原因として多いと考えられています。

そのほか、特別な病気として椎間板ヘルニア、脊椎分離症、すべり症、腰部脊柱管狭窄症などが原因となっていることもあります。また、ときに圧迫骨折やがんによる背骨の病的骨折、感染症による背骨や椎間板の化膿などが原因となって腰痛を引き起こす場合があるため、病院での診断を受けることが重要です。

 

●症状

腰に強い痛みが生じ、腰を前後に曲げることが難しくなります。症状が重い場合は痛みで動けなくなることがあり、臀部や下肢に放散するような痛みやしびれを伴う場合もあります。また、起き上がる時や咳・くしゃみをしたときなどに生じることもあります。痛みは1日以上続き、1か月以内に治まる場合を急性腰痛症と呼びます。

安静にしていると痛みは和らぎますが、過度な運動制限は筋力低下を招き腰痛を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

 

●検査・診断

診断で重要となるのは問診・身体診察と画像診断になります。

診断では、まず問診と身体検査によって、痛みの範囲、悪性度、慢性化の可能性、進行性かどうかなどを注意深く評価し、腫瘍や感染症、骨折などの重要な病気が隠れている可能性も検討します。

腰椎の状態を調べるために、画像診断も行われます。もっとも多く行われるのはX線検査で、より詳しい情報を得るために、MRI検査やCT検査が行われることもあります。

他にも、血液検査、尿検査、骨密度検査、筋電図検査、骨シンチグラフィー検査、PET検査などが行われる場合もあります。

 

●治療

急性腰痛症は安静にしていると数日から数週間で自然に治ることもありますが、痛みを軽減させるために、薬物療法、神経ブロック療法、装具療法などが行なわれます。

薬物療法

腰の痛みや炎症に対しては通常、非ステロイド系抗炎症薬が処方されます。痛みによる筋肉の緊張や精神的な緊張を和らげる目的で筋弛緩薬や抗不安薬を使用することもあります。また、心因性の腰痛が疑われる場合は、抗うつ剤などの薬剤が用いられることもあります。

神経ブロック療法

脊髄を囲む硬膜と骨の間の空間に局所麻酔薬を注射し、一部の神経を遮断(ブロック)することで痛みを軽減する方法。痛みを感じる神経のブロックと、運動神経や交感神経の遮断で筋肉が緩み血行がよくなる効果によって腰痛が緩和されることが期待できます。

装具療法

コルセットなどを用いて痛みの出ている部分を安静に保つことで、痛みの軽減や早期の回復を目指す。

急性腰痛では、安静を続けるよりも無理のない範囲で日常生活を維持したほうが早く回復するという報告もあり、どの程度運動を制限すべきかについては医師との相談が必要となります。

 

●予防

機能改善

体幹トレーニングなどで体幹の安定性を高める

ストレッチなどで股関節や大腿部の柔軟性を高める

様々な運動、動作をおこない、共同運動パターンを増やす

トレーニングで猫背、反り腰、受け腰といった脊柱のアライメントを修正する

習慣改善

一日中、同じ姿勢、同じ動作にならないように体操を取り入れる

心理的なストレスを解消する

運動習慣を作る

入浴やストレッチなど日ごろのケアを行う

 

 

【介護】介護予防のための生活機能評価

【介護】介護予防のための生活機能評価

 

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●介護予防の重要性 

「介護予防」とは、介護保険受給にならないように予防したり、介護保険受給者の要介護度の悪化を予防すること、そして「生活機能」のうち特に活動・参加の低下を予防すること。実際的には、生活習慣病予防(脳卒中や糖尿病など)を必要がある。介護予防のための「生活機能評価」は、現行の特定健診(健康づくり)、疾病の早期発見、早期治療を中心とした取組などが必要となる。

生活機能チェック

問診

自覚症状・既往歴

自覚症状:自覚症状の有無を確認し、自覚症状あるいは主訴のある場合には 現病歴を聴取。

既往歴:「生活機能評価」は 65 歳以上の高齢者を対象とするが、既往歴については高血圧、 脳卒中、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、関節症、うつなどについて可能な限り詳しく聴取する。また、服薬状況や入院歴についても聴き取る。

身体計測

身体計測は低栄養の判定のために用いられる。身長および体重を測定し、BMI を算出する。BMI18.5 未満の者および「6ヶ月間で2~3kg 以上の体重減少」のある者については、血清アルブミンとともに「低栄養」の判定を行う指標。

理学的検査

生活機能、特に心身機能に関する検査を行う。 起立動作、着席動作、歩行状態などの身体の動きや体格、皮膚色、浮腫の有無、顔貌や表情、動作などを観察する。

血圧測定

血圧の測定は原則として 2回行うことが望ましいと言われている。特に初回測定で血圧高値(例えば 140/90mmHg 以上)の場合には少なくとも 2 回の測定が望まれる。血圧高値の場合、家庭血圧の測定を必要に応じて勧める。高血圧症と判断された方は、かかりつけ医での治療(薬の服薬等)を聴取し、また要治療の高血圧を放置している者に医療機関への受診を進めるなどの対応を行う。

 

●生活機能評価

運動器の機能向上

 握力、開眼片足立時間、歩行速度

栄養改善

 BMIが18.5未満

 血清アルブミン値3.8g/dl以下

口腔機能の向上

 視診により口腔内の衛生状態に問題を確認

 反復唾液嚥下テストが3回未満

閉じこもり予防・支援

認知症予防・支援

うつ予防・支援

 

※ 基本チェックリストのwebサイト

 tyekkurisutomanyuaru.pdf (iwaki.lg.jp)

 

●基本チェックリストの一覧

  1. バスや電車で、一人で外出していますか
  2. 日用品の買い物をしていますか
  3. 預貯金の出し入れをしていますか
  4. 友人の家を訪ねていますか
  5. 家族や友人の相談にのっていますか
  6. 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
  7. 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
  8. 15分位続けて歩いていますか
  9. この1年間に転んだことがありますか
  10. 転倒に対する不安は大きいですか
  11. 6ヶ月間で2kgから3kg以上の体重減少がありましたか
  12. 身長(cm)と体重(kg)およびBMI(注)
  13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
  14. お茶や汁物等でむせることがありますか
  15. 口の渇きが気になりますか
  16. 週に1回以上は外出していますか
  17. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  18. 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
  19. 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
  20. 今日が何月何日かわからない時がありますか
  21. (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
  22. (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
  23. (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおっくうに感じられる
  24. (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
  25. (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

 

  • 1~5の項目:日常生活関連動作について
  • 6~10の項目:運動器の機能について
  • 11.12の項目:低栄養状態かどうか
  • 13~15の項目:口腔機能について
  • 16.17の項目:閉じこもりについて
  • 18~20の項目:認知症について
  • 21~25の項目:うつについて

※21~25の項目に関しては「一時的なもの」ではなく、「ここ2週間継続して感じている」かどうか。

 

【介護】運動器機能向上加算に必要な体力測定

【介護】運動器機能向上加算に必要な体力測定

 

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●運動器機能向上加算とは

運動器機能向上加算とは、生活機能の低下や要介護状態になる恐れがあり、運動器の機能向上が必要と考えられる者(要支援者)を対象とした介護予防サービスを提供した場合に算定できる加算。

 

●加算に必要な体力測定

①握力測定

②開眼片足立ち時間

③Timed Up & Go Test

④5m歩行時間(通常・最大)

 

●各体力測定の説明

①握力測定

測定方法

・グリップを握る位置は人差し指の第2関節が直角になる様に調整。

・測定は立位で実施。

・1回の練習後、左右1回ずつ実施。

記載事項

・座位姿勢で行なった場合は備考に記載。

 

②開眼片足立ち時間

測定方法

・腰に両手を当て、片脚を床から5㎝程度上げる。

・検査前に1~2回練習後に、左右1回ずつ実施。

・測定時間は最長60秒まで。

終了条件

・挙げた足が支え足や床に触れる。

・支え足の位置がずれる。

・腰に当てた手がずれる。

・足が大きく振れてバランスをとる。

 

③Timed Up & Go Test

測定方法

・開始肢位は背もたれに軽くもたれかける。

・肘かけがある椅子では肘かけに手を置いた状態、肘かけが無い椅子では手を膝上においた状態とする。

・両足が床につくように配慮する。


・椅子から立ち上がり、3m先の目印を回って、再び椅子に座るまでの時間を測定。

・身体の一部が動き出すときからお尻が接地するまでの時間を計測。

・一連の動作を「通常の歩行速度(安全で快適な速度)」と「最大の歩行速度」の1回ずつ計2回を測定。

・2回の測定のうち、速い時間を採用し、秒数の小数点以下1桁までを記入。(2桁目は四捨五入) 

・コーンの回り方は、右回り・左回りどちらでも良い。

・日常生活において歩行補助具(杖)を使用している場合は、そのまま使用。

注意事項

・最大の歩行速度を測定する場合は、走らないように注意。

・3m先のコーンを回る時に転倒に注意。

・歩行にふらつきがある場合は、転倒に配慮するため測定者が横に寄り添う。

・椅子に座る時に勢いよく座ったり、転落・転倒しないように注意。

・数日後に再度TUG評価を行う場合に、測定条件が異ならないように注意。

 

④5m歩行時間

事前準備

・直線で11mをとれるスペースを準備(5mの測定用の歩行路と前後に3mの補助路)

・5mの測定用の歩行路の開始位置と終了位置に2箇所にテープを貼る

測定方法

・開始位置の3m前より歩き始め、開始地点のテープを足部が越えた時点から計測する

・終了位置を両足が越えるまでの所要時間を測定する ※小数点第 2 位まで

・通常歩行時間の測定は「いつも歩いているように」と指示する

・最大歩行時間の測定は「走らないようにできるだけ速く歩く」と指示する

注意事項

・最大歩行時間の測定では、走らない。

・杖や歩行器など歩行補助具を使用している場合は、歩行補助具ありとできれば使用しない場合の2種を測定。

 

●運動器機能向上加算を実施する目的と趣旨

通所介護における運動器機能向上加算を算定する利用者は、運動介入や生活改善等を通じて自立した生活機能を維持し、要介護状態に陥ることを防ぐことを目的として機能訓練を実施することが求められている

その機能訓練は身体機能そのものの回復を目的とする訓練ではなく、身体の働きや精神の働きである「心身機能」、ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」といった生活機能の維持・向上を目指して機能訓練指導員が利用者に対して直接実施する。

 

 

【介護】膝の痛み

【介護】膝の痛み

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参考資料

https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/48/2/48_186/_pdf

 

 

●関節の構造

関節は骨端の骨同士がこすり合わさる関節面はさ4~6mmの関節軟骨に覆われている。関節軟骨は柔らかく、摩擦係数が低く、氷と氷との接触摩擦よりも低い驚異的な潤滑性能を有する。

 

 

関節構造の変化

関節軟骨が何らかの原因で磨耗、それが原因で関節炎を引き起こす。原因は関節内骨折などの外傷後や化膿性関節炎後などの二次性のものがあるが、ほとんど原因が分かっていないものが多い自然に起こる一次性関節症が多い。発症年齢50歳以後急増し、年齢と共に増加。様々な研究の結果から、いずれも50歳代半ばから発生頻度は急増し、70歳代では半数以上に影響を及ぼすとの研究もある。

 

●膝に起こる症状

①疼痛

主に関節に荷重をかけて動かす時、歩行時(歩き出し)、階段昇降時、立ち上がるとき、深く曲げるとき等の日常生活動作全てに至る。また、関節炎のために腫脹、熱感が生じ、また関節に水が溜まる関節水症も生じる。初期は疼痛による可動域が制限、長期間罹患すると関節包の線維化や骨棘形成による可動域制限(拘縮)が生じ、膝が伸びきらない、曲がりきらないという状態が固定化し、そのためますます日常生活動作に制限が生じる。

②変形

日本人では、膝関節症の9割は内側の関節軟骨が磨耗し、徐々に内反膝(0脚)になる。この膝関節症の原因は不明、50歳代から急増し関節軟骨の何らかの退行性変性過程が基盤にあると言われている。男女比をみると、女性の罹患が男性4~5倍あり、女性ホルモンの関与も考えられている。また遺伝の関与が大きいと考えられ、近年、変形性関節症の遺伝子の解析が進んでいる。

③骨粗鬆症

結果分かってきたことは、膝関節症になる方は中高年以上の女性に多い骨粗霧症はなりにくく、逆に骨粗鬆症 になる方は膝関節症になりにくいことが分かってきている。

④X線写真

膝関節症をX線写真で見ると、関節軟骨はX線写真には写らないが、大腿骨と脛骨の隙間として写すことができる。膝関節症では、この関節の間が狭くなる。進行した膝関節症では軟骨の隙間は消失し骨と骨が接触するようになる。

 

●治療

治療には、保存的療法と外科的療法がある。進行して保存的療法の効果がなくなった症例では手術による療法 を行なうこともある。しかし、あくまでも保存的療法が主体であり、保存的療法は1)薬物療法、2)物理療法、3)運動療法の3つからなる。

 

1)薬物療法

薬は抗炎症鎮痛剤を処方されることが多い。最大の症状である痛みを和らげるためにこの薬剤を用いる。痛み が強い場合は日に2~3回服用し、痛みが軽くなってくると少しずつ服用回数や服用のタイミングなどを考え、痛みがあるときのみに服用するようにする。あくまでも痛みの軽減が目的であるため、関節自体がよくなっていくというものではない。

2)物理療法

物理療法は、温めたり冷やす、電気刺激を加えるなどによって痛みなどの症状を軽快させる方法。病院では専用の機器を用いて物理療法を行うが、家庭でも同様の効果を出す事が出来る。家庭でできることとして、お風呂に入ること。お風呂で温まることによって痛みは軽減できる。また、お風呂で関節が温まって柔 らかくなれば膝のストレッチ訓練もやりやすくなる。膝に熱感や腫れがあるときは、お風呂から上がったときにアイシングを行うこと炎症を抑えることができる。

3)運動療法

運動療法 は①ストレッチ、②筋トレ、③荷重運動の3つ。

①ストレッチ運動

膝関節症になると、徐々に膝の曲がりが悪くなる、伸びきらないといった症状が出る。前述のお風呂に入り、十分温まったら、ゆっくりと痛みがない範囲で最大まで膝を曲げたり、膝に手を当てて膝を伸ばす体操などが良い。お風呂で温まることで、関節の痛みの軽減、関節が柔らかくする効果がある。

②筋運動

・SLR訓練

仰臥位で反対膝は曲げて、膝を伸ばしたまま踵を床から10~15cmほど挙げ、5秒間止め、ゆっくり下ろす。

・外転筋運動

側臥位で下肢が床に水平になるくらいまで挙上5秒間停止し下ろす。

・内転筋運動

座位で大腿部にボールをはさみ、そのボールを両ももの力で5秒間つぶす。

③荷重運動

中年以後体重は増加傾向にあり、下肢の関節には負担が増えていきます。下肢の筋肉運動を行うことは、筋肉 の萎縮に止め、筋肉の関節への負担の分散、緩衝能力を再び取り戻す効果があると言われている。

 

【文献に独り言】漢方と脳卒中リハビリテーション医療

【文献に独り言】漢方と脳卒中リハビリテーション医療 

 

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【文献】漢方と脳卒中リハビリテーション医療

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/12/55_55.968/_pdf

 

●文献引用①

西洋医学的治療では、脳卒中後の疲労感を改善する治療法の1つに、漢方薬、特に補中益気湯などの「補剤」の適応となる。「補剤」は、疲労感の改善が知られており、活動量が増加・筋肉量低下や身体機能低下の予防。

補気(ほき)作用とは、抗うつ作用を含むものと考えられる。

≪独り言≫

病院でも漢方に詳しい先生は漢方を補剤として出して下さる方も多くなってきたような気がします。

よく出てるのは、“抑肝散”ですかね。この漢方は飲んでる方が多い印象。

 

●文献引用②

フレイル・サルコペニアに対する西洋医学的アプローチは、ポリファーマシーにつながりやすく、漢方薬を処方することで処方薬剤数が減り、ポリファーマシーを避けることが可能。

≪独り言≫

ポリファーマシーって何???

「ポリファーマシー」は、「Poly」+「Pharmacy」で多くの薬という意味。多くの薬を服用することにより副作用などの有害事象を起こす。ことらしいです。

まだまだ知らない言葉が沢山ありますね。それもこれって結構問題になってることだし、今後も薬の調整が出来ず、いろんな薬を飲んでしまう高齢者が増える可能性は高いですし・・・。 

 

●文献引用③

不眠に対する西洋薬(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)の乱用と依存性を危惧。できれば、漢方薬だけで良質な睡眠が得られることが理想。西洋薬と併用して十分な睡眠が得られれば…。抑肝散加陳皮半夏と帰脾湯を処方して、不穏状態が改善した経験も。現在使われている漢方薬の多くは、さまざまな生薬の組み合わせの歴史的淘汰を勝ち抜いた安全かつ効果が保証されている薬。≪独り言≫

最近見たYouTubeで東洋医学から西洋医学に変わったのはGTQの陰謀。西洋医学が日本をダメにした。って言ってたけど、どちらかを悪にするのは正直おかしいと思う。結局はバランス。特に漢方は市販で買えるものも多いし、陰謀論ばかり信じる人は自分で調べて自分で行動してから色々と言って欲しいなぁ。

 

●文献引用④

神経過敏、神経症、不眠に対する柴胡桂枝乾姜湯柴胡剤の中で最も虚証向けの漢方薬である柴胡桂枝乾姜湯は、顔色がすぐれず、疲労倦怠感があり、不眠などの精神神経症状を伴う場合に処方。構成生薬に、栝楼根、牡蛎が入っているのが特徴。栝楼根は、潤肺、止渇、排膿の効能があり、微熱、盗汗や乾燥性の咳嗽や痰、口渇に対して用いられる。牡蛎は精神を安定させる。

≪独り言≫

柴胡桂枝乾姜湯は半年くらい飲んでたけど自分にはあまり効果が無かったなぁ、不眠に効果があると期待したものの・・・。漢方は効果が出るまでに時間がかかると言われているけど、半年飲んで寝付きすら良くならなかったから止めちゃった。

 

●まとめ

漢方は基礎研究も膨大でエビデンスも高いと思うので、この文献に書かれている通り、西洋薬と併用してその人に合った飲み方ができればもっと日本の医療・福祉も良くなっていくと思う。でもよく言われる医療の利権とか陰謀論とか言われてるから、反漢方とかいう人も出てくるのかなぁ。やっぱり何事も1つの情報に惑わされることなく、いろんな意見を聞くべき。

 

【文献】片麻痺患者の横断歩道における歩行スピード

【文献に独り言】片麻痺患者の横断歩道における歩行スピード

 

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【文献】片麻痺患者の横断歩道における歩行スピード

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/17/5/17_KJ00001306201/_pdf

 

 

●文献抜粋

脳卒中後片麻痺患者の屋外歩行は、患者のQOLの拡大には重要な問題。

そのため、歩行の安定姓・耐久力・歩行スピードなどが重要な評価基準となる。

実用レベルは10mを10秒(歩行速度 1m/s)。安全で平坦な平面上での歩行スピードであり、実際に屋外でもその能力が発揮されるか・・・。

《独り言》

私が病院勤務の時にPTさんからよく聞いたのは、片側二車線の横断歩道ならTUGで”13秒”以内なら青信号で渡りきれるって言ってました。

実際にどうなんだろうか、病院勤務中に横断歩道の渡る練習をやったなんて聞いたことないし。

ただ、実際にリハビリ室と屋外の環境とでは全然違う。その環境下で一人で横断歩道を渡れる能力がある人はどのくらいいるだろうか。

 

●文献抜粋②

調査項目は、①横断歩道での歩行スピード、②横断歩道と同距離の訓練室での歩行スピード、③10m 歩行スピード、④反応時間、⑤現在の屋外歩行の状況

《独り言》

1990年の文献だから31年前になる。この時代はTUGはあまり使わなかった?

横断歩道を渡るというテーマだから10m歩行でいいのかなぁ、今同じテーマで文献を書くならTUG使うのかな。

 

●文献抜粋③

利用した横断歩道は、対面二車線道路にある押しボタン式信号機付きのもので、長さ13,55 m、点灯時間15秒、点滅時闇4秒。

《独り言》

その場所によるけど、信号の点灯時間・点滅時間を含めて19秒。信号ってもっと長く付いてるイメージあるけど結構短いんだ。片麻痺じゃなくても歩くのが遅いおじいちゃんおばあちゃんなら歩き切ることができないことも難しいかも。

 

●文献抜粋④

安全な点灯時間以内に横断するには、訓練室で 10mを10秒(歩行速度 1m/s)以下の歩行スピードが必要。熊本市における横断歩道の状況は、繁華街・市中心部は26mを54 秒から48秒で比較的余裕。その周辺部の横断歩道は21mを20秒〜25秒と厳しい条件。県警交通課の話では、最低でも毎秒lmの速度に合わせて設定してあるとのこと。

《独り言》

訓練室という安全を確保できる環境下で10ⅿを10秒以下で歩くことは確かに必須かも。それでも屋外になるといろんな問題(天気、路面状況、交通量などなど)があるから、あくまでも指標になる感じ?

うちの施設周辺は長い横断歩道は無いから、10ⅿ歩行でもいいのかも。中心部だと横断歩道が26ⅿもあるって長い。25ⅿプールよりも長いやん。

どの県でも信号機の時間って毎秒1ⅿの速度で計算してるのかなぁ。

 

●文献抜粋⑤

実用歩行スピードは、その基準を何におくかで異なってくる。少なくとも横断歩道を安全に横断するには10m を 10秒という値では厳しい。また訓練室内の単純な値だけでは判断できない。

《独り言》

やっぱり10ⅿを10秒(歩行速度 1m/s)という値で考えるのはあくまでも指標であり、その方の歩行能力や体力も考慮しなければならないですね。そして、横断歩道を渡らなければならない環境下に住んでいる利用者さんや患者さんがいる場合、どうリハビリ職員としてアプローチしていくのか・・・。私の場合はケアマネさんとご家族との話になるなぁ。

この文献は1990年のだけど、2017年の日本転倒予防学会誌の文献でも、本研究でも歩行速度 1m/s を基準にして歩行能力を評価しているようだから、30年近く前の文献でも、“歩行速度 1m/s”というのは1つの基準になるってことか。

 

【リハビリ】サルコペニアの基準

【リハビリ】サルコペニアの基準

 

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●サルコペニアの新基準 (AWGS)

第6回日本サルコペニア、フレイル学会にてアジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)による2019年版の新しいサルコペニア基準が国内で初めて発表された。

 

AWGSの診断基準

①筋力(Muscle Strength)

②身体機能(Performance)

③骨格筋量(Skeletal muscle mass) の3つをもとに

サルコペニア(低筋力+低骨格筋量 もしくは 低身体機能)と重度サルコペニア(低筋力+低骨格筋量 かつ 低身体機能)に分類する。

 

カットオフ値

筋力

男性:握力28kg未満、女性:18kg未満

身体機能

歩行速度1.0m/秒未満(6m歩行速度にて)

もしくは 5回椅子立ち上がりテスト 12秒以上

もしくは Short Physical Performance Battery 9点以下

骨格筋量

Dual-energy X-ray absorptiometry:男性:7.0kg/m2未満 女性:5.4kg/m2未満

Bioelectrical impedance analysis:男性:7.0kg/m2未満 女性:5.7kg/m2未満

 

なお、スクリーングとしてのカットオフ値は、下腿周囲長が男性34cm未満、女性が33cm未満、SARC-Fが4以上、SARC-CalFが11以上とされている。

 

●EWGSOPによる定義

サルコペニアの診断基準は様々な種類がありますが、ヨーロッパのワーキンググループEuropean Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)による定義がよく使われています1)。

四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下がある場合にサルコペニアと診断されます。

四肢骨格筋量は四肢の筋肉量(ALM)を身長(m)の2乗で割った、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)の値(kg/㎡)が男性では7.23 kg/㎡以下の場合、女性では5.67 kg/㎡以下であることが必須の条件であり、さらに10mの歩行速度が0.8m/秒未満の場合、あるいは握力が男性では30kg未満、女性では20kg未満の場合にサルコペニアと診断されます。

 

WGSOPによる診断基準

四肢骨格筋量(ALM)

ALM÷身長(m)の2乗  男性:7.23 ㎏/㎡以下、女性:5.67 ㎏/㎡以下

身体機能(歩行速度)

0.8m/秒以下

筋力(握力)

男性:30㎏未満、女性:20㎏未満

 

日本人のサルコペニアの診断基準

EWGSOPの診断基準では欧米人の高齢者の基準値であり、日本人と欧米人では、高齢者であっても体格や生活習慣の違いがあるため、日本人の高齢者に合ったサルコペニアの簡易基準案を国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)が作成しています。

65歳以上の高齢者で、歩行速度が1m/秒未満、もしくは握力が男性25kg未満、女性20kg未満である場合で、さらにBMI値が18.5未満、もしくは下腿囲が30cm未満の場合にサルコペニアと診断されます。

歩行速度、握力が基準値以上であった場合は正常。歩行速度、握力が基準値以下でもBMI、下腿囲が基準値以上であれば脆弱高齢者であるがサルコペニアではないと診断されます

この簡易基準では身長、体重、握力計、メジャー、ストップウォッチがあれば測定可能であり、診断が比較的容易に行える利点があります。歩行速度の1m/秒は横断歩道を青信号のうちに渡り切ることのできる歩行速度とされています