【情報】痛み~痛みはなぜ起こるのか!?~
痛みとは
痛みには、急性痛と慢性痛がある。
急性痛:一過性で基礎疾患が治ると痛みが消える。
慢性痛:6ヵ月以上痛みがつづく。(病態によっては2~3週間以上でも慢性痛と言う。)
痛みは、人に警戒心を持たせることで、様々な危険から生命を守るために本能的に備わっている危険信号である。
痛みの経路
①刺激などを受ける(侵害刺激)
「侵害刺激」とは、組織を実質的に損傷するか、その危険性のある刺激。刺激がある強さ以上に達すると、組織の損傷を起こし、発痛物質や発痛増強物質が産生される。
②末梢神経の侵害受容器で感知
末梢神経先端の侵害受容器で刺激を感知。
③神経線維を通り、脊髄へ伝わる
④感覚神経を通じて、脳(大脳)へ伝わる
脊髄に伝えられた信号が大脳へ伝えられ、「痛み」を認知。
外部から刺激ではない肩や腰の痛みなども、痛みの伝わり方は同じ。
発痛物質は、物理的な刺激だけでなく、血流が悪化しても作られる。
緊張や不安などで交感神経の興奮が続くと、血管を収縮させ血流が悪化、硬直した筋肉が末梢神経を圧迫・損傷したり、溜まった老廃物質が神経を刺激し、発痛物質を生成させる要因となる。
痛みの対処
①痛みの原因が改善されるよう働きかける方法
血流の改善や筋肉の緊張を緩和するビタミンや栄養素を摂る。
外側から温めて血液循環を良くする。
②痛みの発生経路に働きかけて痛みを抑える方法
1:刺激を受け組織が損傷
2:細胞膜にあるリン脂質はアラキドン酸に変わる。
3:更に体内にあるシクロオキシゲナーゼという酵素の働きにより発痛増強物質プロスタグランジンが生成(プロスタグランジンは、熱感や腫れ、発痛の増強作用がある)。
この3のとき発生した発痛増強物質の産生を抑える働きをするものとして、NSAIDsとよばれる非ステロイド性抗炎症薬がある。
NSAIDs(インドメタシン、イブプロフェンなど)は、シクロオキシゲナーゼの働きを阻害することで、発痛増強物質プロスタグランジンの合成を抑制し、鎮痛消炎作用を示すものです。内服薬や外用薬で用いられる。
痛みは2度ある
人間は痛みに2度さらされる。最初の鋭い痛みはファーストペインと呼ばれ、末梢神経のAδ線維が痛みの信号をいち早く脳へ伝え、その後、C線維が2度目の痛みのセカンドペインを遅れて脳へ伝える。これは神経線維の太さと伝導速度の違いによるものである。
痛みが慢性化!?
通常、適切な治療をすれば、急性痛は短期間で治まり、交感神経・副腎皮質系の働きによる緊急反応も治まる。しかし、痛みが長引いた場合は、交感神経の興奮によって血管が収縮し、血流が悪くなって酸欠状態になる。そうなると痛みを生み出す発痛物質が放出されて痛みが生じ、その痛みがさらに交感神経に刺激を与えるという悪循環に陥ってしまう。
その上、痛みに対するストレスや不安が加わって痛みが続くと、慢性痛に移行する場合がある。慢性化しないよう痛みを感じたら早めに対処する必要がある。
慢性痛は「痛み自体」が病気
慢性痛とは、痛みが長く続いている状態をいう。痛みがひどかったり長引いたりすると、原因自体がなくなっても、痛み続けてしまう場合がある。慢性痛は、痛みが広範囲ではっきりしないのが特徴で、ビリビリ、ジンジンするといった電気が走るような痛みと表現されることが多い。
慢性痛の代表的なタイプと原因
慢性痛にはいくつかのタイプがある。
神経障害性疼痛
ケガや病気で神経が傷つき、神経が異常に興奮して起こる痛み。
原因として、脊髄損傷や脳卒中などによる神経の損傷や切断、糖尿病の合併症による神経障害、がん細胞の神経への浸潤などが挙げられる。
中枢性疼痛
脳と脊髄にある中枢神経が傷ついて起こる痛み。痛みの刺激がないのに痛いと感じたり、麻痺している部分に異常な痛みを感じる。
心因性疼痛
ストレスや不安など精神的・心理的問題で生じる痛み。慢性の痛みで長い間続く人は、脳が痛みを学習して、原因がなくなっても痛みを感じることがある。病気や痛みに対する不安や恐怖、職場や家庭でのストレスなども心因性疼痛の要因となる。
慢性痛が心身に与える影響
慢性痛を放置していると、心身ともに消耗し、不眠や食欲不振、集中力の低下、イライラなどの症状が現れることがある。慢性的な痛みによるストレスで、うつ傾向となり、社会生活に支障をきたす可能性もある。