OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【介護】急性腰痛

【介護】急性腰痛

 

 

 

●ぎっくり腰(急性腰痛)とは

急性腰痛症は、腰痛が発症してから4週間以内のものを指します。一般に“ぎっくり腰”と呼ばれている状態はこれに含まれ、重いものを持ち上げたときや腰をひねったりしたときなどに突然起こります。強い痛みを生じることが多く、欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」と呼ばれることもあります。痛みの原因は、主に腰の関節やその周りの筋肉や靱帯にあると考えられていますが、原因がはっきりとしないこともあります。

急性腰痛症の中には、骨折や感染症、腫瘍などほかの病気が原因となっていることもあり、この場合はそれぞれに対応した治療が必要となります。

 

●原因

急性腰痛症の痛みの原因はさまざまで、原因がはっきりしない場合が多いようです。

原因の1つとして・・・

・身体の機能低下(姿勢、習慣、過緊張、筋力、柔軟性低下)

・ストレスや環境、季節要因に

・老化

・無理な力がかかることなどによる腰の関節のズレ、椎間板の損傷、腰の筋肉や腱、靱帯の損傷 など

が原因として多いと考えられています。

そのほか、特別な病気として椎間板ヘルニア、脊椎分離症、すべり症、腰部脊柱管狭窄症などが原因となっていることもあります。また、ときに圧迫骨折やがんによる背骨の病的骨折、感染症による背骨や椎間板の化膿などが原因となって腰痛を引き起こす場合があるため、病院での診断を受けることが重要です。

 

●症状

腰に強い痛みが生じ、腰を前後に曲げることが難しくなります。症状が重い場合は痛みで動けなくなることがあり、臀部や下肢に放散するような痛みやしびれを伴う場合もあります。また、起き上がる時や咳・くしゃみをしたときなどに生じることもあります。痛みは1日以上続き、1か月以内に治まる場合を急性腰痛症と呼びます。

安静にしていると痛みは和らぎますが、過度な運動制限は筋力低下を招き腰痛を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

 

●検査・診断

診断で重要となるのは問診・身体診察と画像診断になります。

診断では、まず問診と身体検査によって、痛みの範囲、悪性度、慢性化の可能性、進行性かどうかなどを注意深く評価し、腫瘍や感染症、骨折などの重要な病気が隠れている可能性も検討します。

腰椎の状態を調べるために、画像診断も行われます。もっとも多く行われるのはX線検査で、より詳しい情報を得るために、MRI検査やCT検査が行われることもあります。

他にも、血液検査、尿検査、骨密度検査、筋電図検査、骨シンチグラフィー検査、PET検査などが行われる場合もあります。

 

●治療

急性腰痛症は安静にしていると数日から数週間で自然に治ることもありますが、痛みを軽減させるために、薬物療法、神経ブロック療法、装具療法などが行なわれます。

薬物療法

腰の痛みや炎症に対しては通常、非ステロイド系抗炎症薬が処方されます。痛みによる筋肉の緊張や精神的な緊張を和らげる目的で筋弛緩薬や抗不安薬を使用することもあります。また、心因性の腰痛が疑われる場合は、抗うつ剤などの薬剤が用いられることもあります。

神経ブロック療法

脊髄を囲む硬膜と骨の間の空間に局所麻酔薬を注射し、一部の神経を遮断(ブロック)することで痛みを軽減する方法。痛みを感じる神経のブロックと、運動神経や交感神経の遮断で筋肉が緩み血行がよくなる効果によって腰痛が緩和されることが期待できます。

装具療法

コルセットなどを用いて痛みの出ている部分を安静に保つことで、痛みの軽減や早期の回復を目指す。

急性腰痛では、安静を続けるよりも無理のない範囲で日常生活を維持したほうが早く回復するという報告もあり、どの程度運動を制限すべきかについては医師との相談が必要となります。

 

●予防

機能改善

体幹トレーニングなどで体幹の安定性を高める

ストレッチなどで股関節や大腿部の柔軟性を高める

様々な運動、動作をおこない、共同運動パターンを増やす

トレーニングで猫背、反り腰、受け腰といった脊柱のアライメントを修正する

習慣改善

一日中、同じ姿勢、同じ動作にならないように体操を取り入れる

心理的なストレスを解消する

運動習慣を作る

入浴やストレッチなど日ごろのケアを行う