【介護】運動器機能向上加算に必要な体力測定
●運動器機能向上加算とは
運動器機能向上加算とは、生活機能の低下や要介護状態になる恐れがあり、運動器の機能向上が必要と考えられる者(要支援者)を対象とした介護予防サービスを提供した場合に算定できる加算。
●加算に必要な体力測定
①握力測定
②開眼片足立ち時間
③Timed Up & Go Test
④5m歩行時間(通常・最大)
●各体力測定の説明
①握力測定
測定方法
・グリップを握る位置は人差し指の第2関節が直角になる様に調整。
・測定は立位で実施。
・1回の練習後、左右1回ずつ実施。
記載事項
・座位姿勢で行なった場合は備考に記載。
②開眼片足立ち時間
測定方法
・腰に両手を当て、片脚を床から5㎝程度上げる。
・検査前に1~2回練習後に、左右1回ずつ実施。
・測定時間は最長60秒まで。
終了条件
・挙げた足が支え足や床に触れる。
・支え足の位置がずれる。
・腰に当てた手がずれる。
・足が大きく振れてバランスをとる。
③Timed Up & Go Test
測定方法
・開始肢位は背もたれに軽くもたれかける。
・肘かけがある椅子では肘かけに手を置いた状態、肘かけが無い椅子では手を膝上においた状態とする。
・両足が床につくように配慮する。
・椅子から立ち上がり、3m先の目印を回って、再び椅子に座るまでの時間を測定。
・身体の一部が動き出すときからお尻が接地するまでの時間を計測。
・一連の動作を「通常の歩行速度(安全で快適な速度)」と「最大の歩行速度」の1回ずつ計2回を測定。
・2回の測定のうち、速い時間を採用し、秒数の小数点以下1桁までを記入。(2桁目は四捨五入)
・コーンの回り方は、右回り・左回りどちらでも良い。
・日常生活において歩行補助具(杖)を使用している場合は、そのまま使用。
注意事項
・最大の歩行速度を測定する場合は、走らないように注意。
・3m先のコーンを回る時に転倒に注意。
・歩行にふらつきがある場合は、転倒に配慮するため測定者が横に寄り添う。
・椅子に座る時に勢いよく座ったり、転落・転倒しないように注意。
・数日後に再度TUG評価を行う場合に、測定条件が異ならないように注意。
④5m歩行時間
事前準備
・直線で11mをとれるスペースを準備(5mの測定用の歩行路と前後に3mの補助路)
・5mの測定用の歩行路の開始位置と終了位置に2箇所にテープを貼る
測定方法
・開始位置の3m前より歩き始め、開始地点のテープを足部が越えた時点から計測する
・終了位置を両足が越えるまでの所要時間を測定する ※小数点第 2 位まで
・通常歩行時間の測定は「いつも歩いているように」と指示する
・最大歩行時間の測定は「走らないようにできるだけ速く歩く」と指示する
注意事項
・最大歩行時間の測定では、走らない。
・杖や歩行器など歩行補助具を使用している場合は、歩行補助具ありとできれば使用しない場合の2種を測定。
●運動器機能向上加算を実施する目的と趣旨
通所介護における運動器機能向上加算を算定する利用者は、運動介入や生活改善等を通じて自立した生活機能を維持し、要介護状態に陥ることを防ぐことを目的として機能訓練を実施することが求められている。
その機能訓練は身体機能そのものの回復を目的とする訓練ではなく、身体の働きや精神の働きである「心身機能」、ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」といった生活機能の維持・向上を目指して機能訓練指導員が利用者に対して直接実施する。