OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【リハビリ】myelopathy hand~頚部脊髄症の手~

【リハビリ】myelopathy hand~頚部脊髄症の手~

 

 

頚部脊髄症の手の症候

 脊髄の障害部位の違いによって

  ①索路徴候(long tract sign)

  ②髄節徴候(segmental sign)  の2つに分けられる。

索路徴候とは

圧迫高位脊髄の白質の障害によるもの。

脊髄白質の障害は、圧迫高位より遠位に痙性麻痺・筋力低下は一般的に伴わないと言われている(みられても軽度のことが多い)。

髄節徴候とは

脊髄の灰白質の障害によるもので圧迫高位の脊髄節支配筋の筋力低下や筋委縮を生じ、深部腱反射は低下ないし消失(弛緩性麻痺)。

 

索路徴候でみられる手の症候

Myelopathy hand(頚髄症の手)

①手が開きづらい:Finger escape signで評価

Finger escape signとは・・・

手のひらを下に向けて両手を前に出し、全ての指を揃えて30秒伸ばした状態を保つ。頚髄症の重症度によって小指、薬指、中指と揃えることや伸ばすことが出来なくなる。

②尺側(小指側)の指が言うことをきかない手:10秒テスト(Grip and release test) により評価。

10秒テスト(Grip and release test)とは・・・

手のひらを下に向けて両手を前に出し、「グー」「パー」を出来るだけ早くかつ不完全な曲げ伸ばしにならないように10秒間で何回出来るか数える。健常者における平均値は26±6.7回、頚髄症患者と健常者の閾値は21~22回、高齢者の場合は20回以下、壮年以下では25回以下で回数が低下していると判断。

 

髄節徴候

頸椎症で脊髄が圧迫された場合は,通常は髄節症候が索路症候よりも先行して生じる。

索路症候を伴わない髄節症候では,神経根症候との鑑別が必要である。

典型的な神経根痛(肩甲部,上肢の高度の痛みがあり,頸椎の後屈や病変側への側屈で痛みがビリっと走る)があれば,神経根症候の可能性が高い。また髄節性のしびれでは手掌側が強いことが多いのに対して,神経根症のしびれでは,手背側が強いことが多い。

 

頚部神経根症について

年齢:中高年層に多く、10歳代は皆無であり、20歳代は稀

初発症状:頚部痛単独が7割、頚部痛に上肢痛あるいは手指のしびれを併発したのが3割頚部神経根症のほとんどが片側の頚部痛で発症。※因みに脊髄症の多くが指のしびれで発症。

 

頚部神経根症の手の症候

 大きく2つの特徴:①感覚障害(指の痺れ) ②筋力低下(運動機能障害) 

①感覚障害(指の痺れ)

初期症状は両手指のしびれと歩行障害であり、それぞれ64%、16%とした報告がある。

手の巧緻性障害も特徴的な症状であり、手指のすばやい把握動作とその解除や内転、外転動作が障害され、 myelopathy hand と呼ばれる。客観的指標としては finger escape sign (小,環,中指の内転および伸展の障害により5段階に分類)と10秒テスト(10秒間に20回以下しか手指の把握動作とその解除ができなければ異常)がある。

②筋力低下(運動機能障害)

初期症状は両手指のしびれと歩行障害であり、それぞれ64%、16%とした報告がある。

痙性歩行が明らかな症例では両下肢の反射は亢進し、Babinski 反射や足クローヌスが高率に陽性となる。失調性歩行のある場合には閉眼によってこの傾向は悪化し、Romberg 徴候は陽性となる。一方、上肢においては圧迫高位の髄節支配の筋の腱反射は低下、それより下位の髄節支配の筋の腱反射は亢進し、Hoffmann 徴候陽性となる。