運動器不安定症
●運動器不安定症とは
MADS(Musculoskeletal Ambulation Disability Symptom Complex)
「高齢化により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態」と定義。
●運動器不安定症の診断
<定義>
高齢化にともなって運動機能低下をきたす運動器疾患により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態
<診断基準>
下記の高齢化にともなって運動機能低下をきたす11の運動器疾患または状態の既往があるか、または罹患している者で、日常生活自立度ならびに運動機能が以下の機能評価基準に該当する者
機能評価基準
1:日常生活自立度判定基準ランクJまたはAに相当
J:生活自立:独力で外出できる A:準寝たきり:介助なしには外出できない
2:運動機能:1)または2)
1)開眼片脚起立時:15秒未満
2)3m timed up-and-go(TUG)テスト:11秒以上
<高齢化にともなって運動機能低下をきたす11の運動器疾患または状態>
①脊椎圧迫骨折および各種脊柱変型(亀背、高度腰椎後弯・側弯など)
②下肢の骨折(大腿骨頚部骨折など)
③骨粗鬆症
④変形性関節症(股関節、膝関節など)
⑤腰部脊柱管狭窄症
⑥脊髄障害 (頚部脊髄症、 脊髄損傷など)
⑦神経・筋疾患
⑧関節リウマチおよび各種関節炎
⑨下肢切断後
⑩長期臥床後の運動器廃用
⑪高頻度転倒者
注:日常生活自立度ランク
J:生活自立:独力で外出できる A:準寝たきり:介助なしには外出できない
【改訂理由】
「運動器不安定症」の診断には、運動器疾患が主因であること、ならびに定められた機能評価基準に該当すること、の両者が満たされなければなりません。
従来の定義ではこの点が幾分曖昧であり、歩行移動が困難な寝たきり(日常生活自立度:ランクB,C)に該当する方々も「運動器不安定症」と診断される可能性を排除できませんでした。 このような混乱を避けるため、「運動器不安定症」を策定した3学会が合同で協議し、定義・診断基準をより明解なものに改訂しました。(平成27年12月10日3学会協議、平成28年2月18日理事会承認)
●ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは・・・
「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態 」と2007年に日本整形外科学会が提唱。和名は「運動器症候群」。
<原因>
・運動器の疾患
変形性膝関節症、骨粗鬆症、関節リウマチ、背柱管狭窄症、骨折、腰痛、肩こりなど
・加齢に伴う運動器の機能低下
四肢・体幹の筋力低下、体力・全身耐久性の低下、関節可動式制限、関節や筋の痛みなど
下記サイトにロコモの詳細やチェック表などがありますので、興味がある方は是非読んでみてください。
https://locomo-joa.jp/check/pdf/locomo_pf2015.pdf
参考資料
https://www.joa.or.jp/public/locomo/mads.html
https://locomo-joa.jp/check/pdf/locomo_pf2015.pdf