【文献】最新の文献・研究を読んでみた⑧
何がリハビリテーションに対する患者の意欲を高めるのか? ~患者・医療者間の意見の一致と相違~
ポイント
多施設アンケート調査により「リハビリテーション意欲を高める動機づけ要因」について患者・医療者の意見の共通点と相違点を明らかに。
最も多く支持された動機づけ要因トップ 3 は患者・医療者間で共通しており、
- 「回復の実感」
- 「明確な目標の設定」
- 「患者の生活に関係のある訓練」
患者は意見の個人差が大きく、患者の好みに沿った動機づけの重要性が示唆。
本研究成果は、リハビリテーションにおける「根拠に基づいた実践: Evidence-Based Practice」と「患者中心ケア: Patient-Centered Care」の発展に寄与する学術知見である。
結果
調査の結果、患者群と医療者群の双方でそれぞれ最も多くの対象者に選択された動機づけ要因トップ 3 は両群で共通しており、「回復の実感」、「明確な目標の設定」、「患者の生活に関係する訓練」でした。
※他の情報からリハビリテーションに対する意欲を高めるかは、医療者よりも患者間の個人差が大きいことが分かった。
考察
「回復の実感」、「明確な目標の設定」、「患者の生活に関係する訓練」は、これまでも患者の動機づけにおいて大切と考えられてきたが、今回の調査結果は患者・医療者双方の視点からみてもそれらの要因が特に重要であることを定量的に示した。
一方、医療者よりも患者の方が重要と考える要因については個人差があり、より多様な要因が選ばれた。これらの研究結果は、リハビリテーションにおける動機づけ方略を考える際に、医療者は双方から支持される中核的な動機づけ要因に加えて、患者背景や個々の患者の好みも考慮すべきであることを示唆。本研究成果は、患者の動機づけに難しさを感じているリハビリテーション医療従事者、特に臨床経験年数の浅い医療者にとっては有益な情報になると考えられる。
温泉は「よく眠れる」ことを証明!?
ポイント
本研究グループは、温泉に入ると本当に良く眠れるのか、塩化物泉と炭酸泉について、簡易脳波計と深部体温計を使って実験。
その結果、入浴したときの方が、入浴しなかったときよりもよく眠れており、特に温泉、ここでは秋田温泉さとみ( 塩化物泉)と人工炭酸泉に入ったときに深く眠れていた。
その理由として、同じ温度のお湯でも塩分や炭酸ガスによる加熱作用の強い温泉に入ったときには、熱の取り込みが大きく、入浴後に深部体温が大きく上昇。また、深部体温の上昇が強いと、その反動で放熱が進み、入浴後90分後には深部体温が入浴しない時に比べて下がった。深部体温の下降は眠気や熟眠をもたらすことがわかっているため、温泉浴でより深い睡眠が出現したと思われる。
研究成果
【結果】
入浴により深部体温は有意に上昇し、その後就寝時まで顕著に低下。入浴による睡眠の変化は、上昇した深部体温の大幅な低下放熱と関連。人工炭酸泉と塩化物泉のグループでは、熱放散の増加と深部体温の低下が観察された。
【結論】
塩化物泉と人工炭酸泉では、普通浴条件や入浴なし条件で観察されたものと比較して、最初の睡眠周期中のデルタパワーが増加しており、深い睡眠が記録された。塩化物泉は入浴後に疲労感が認められたため、虚弱な高齢者には人工炭酸泉が最適であると考えられる。
記事:https://research-er.jp/search