排便の基礎知識
食べたら出る、それはごく当たり前のことですが・・・
食べ物・飲み物の種類や摂取量
疾患、服薬している薬
筋力
心理状態
トイレ環境
など、排便にはさまざまな要素が関連しています。
●健康的な排便とは?
便の色:茶褐色
便の形状:少し柔らかめのバナナ状(ブリストル排便スケール3・4・5)
便の量:100~200g(バナナ1本~2本分)
便の臭い:少し臭う程度
この条件を満たす便を、無理なく排便できる。
頻度としては、1日に1~3回~週に3回~21回
<ブリストル便性状スケール(BSスコア)>
ブリストル便性状スケール(Bristol Stool Form Scale)とは、英国ブリストル大学のHeaton博士が1997年に提唱した大便の形状と硬さで7段階に分類した指標。各スコアの特徴は以下。
1:硬くてコロコロした木の実のような便
2:いくつかの塊が集まって形作られたソーセージ状の便
3:表面にヒビ割れがあるソーセージ状(バナナ状)の便
4:滑らかで軟らかなソーセージ状(バナナ状)の便
5:軟らかな半固形状の便
6:境界がはっきりしない不定形の便
7:水様便
●便秘とは
排便回数が少なくなり、硬い便を出すのに苦労する状態
便の症状:硬くコロコロの便や、短く固まった硬い便
(ブリストル排便スケール1・2番)
詳細⇩
消化活動は食べる前から。
食べ物の匂いを嗅ぐと、「お腹がすいた」と感じたり、美味しそうな食べ物を見るのを見て唾液が出てきたり・・・
実際に食べ物が口に入らなくても、匂いや見た刺激によって消化管は働きを開始します。
おいしく、楽しい食事を心がけることが、よい消化吸収、排便にも繋がります。
●各消化器の名称と役割
口腔:食物を砕き、軟らかくして飲み込みやすくする。でんぶんを分解する。
咽頭:口腔と食道をつなぐ。
食道:胃に食物を送る。
胃:食物を粥状にする。たんぱく質を分解する
小腸:栄養を分解し、吸収する。たんぱく質、糖質、脂肪を消化する。ほとんどの栄養素が小腸で消化、吸収される。
大腸:水分と電解質の吸収を行う。便を蓄える。便を出す。
●大腸の働きとぜん動運動
食べ物の残りカスは、はじめはどろどろの状態ですが、大腸を通り抜けるうちに水分が吸収されて固まり、便として排泄されます。
健康な大腸は、腸内で「ぜん動運動」と呼ばれる。
ギュッと強く縮んでは緩む動きを繰り返すことで、便をスムーズに送り出していきます。
●腸の動きの低下による便秘
運動不足、食物繊維不足、内臓下垂、体力の低下等は、腸のぜん動運動を弱める。ぜん動運動が弱いと、便が大腸にとどまる時間が増え、便の水分量が減り、硬い便になってしまう。
“弛緩性便秘”
腸の動きをよくする必要がある
便意・腹筋の低下による便秘
大腸の動きは良くても、直腸までおりてきている便を出すことができない状態の便秘もあります。
便意を習慣的に我慢した結果、便がおりてきていても感じなくなっていたり、寝たきりで排便に必要な姿勢がとれなかったり、腹筋が弱くて腹圧を十分にかけることができなかったりする場合に起こります。
“直腸性(習慣性)便秘”
腸に詰まっている便を定期的に出すことが必要。
●自然排便を目指すには
身体の仕組み(反射)を生かす
朝は、排便反射が一番起きやすい!!
身体を寝た姿勢から起こしたばかり
長時間休んでいた消化管に食物が入る刺激で腸も刺激される
⇒ぜん動運動が高まる。
より排便反射を促すためのポイント
起きがけのコップ一杯のお水、または牛乳。
朝食はしっかり食べる。
朝食後にトイレに座る習慣をつくる。
●排便を促進する食品を取り入れる
便を軟らかくする:海藻類、こんにゃく、オクラ、バナナ、りんご など
便の量を増やし、形を作る:たけのこ、ごぼう、豆類、イモ類、キノコ類、玄米 など
腸内の善玉菌を増やす:ヨーグルト、納豆、キムチ、チーズ、オリゴ糖 など
蠕動運動を促す:唐辛子、ガーリック、オリーブオイル、玉ねぎ、サツマイモ、プルーン など
便を出しやすくする:オリーブオイル など
●リラックスできる環境づくり
“腸は第二の脳”
ストレスが原因で便秘・下痢になることも…
胃・腸はリラックスした状態でよく働きます。
生活リズムを整える
しっかりと睡眠時間を確保する
ストレスをため込まない
これらもとても大切
また、落ち着かないトイレ環境では便は出にくくなります。
トイレ環境、ケア内容、声かけ…プライバシーは保てていますか??
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