OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【文献】最新の文献・研究を読んでみた⑦

【文献】最新の文献・研究を読んでみた⑦

 

「真剣な表情で資料を読み込む女性の姿」の写真[モデル:SAKI]

 

 

日本発、歩行リハビリテーションの未来への一歩 パーキンソン病に新たな光明

本研究では、これまで有効な介入手段のなかったパーキンソン病患者の歩行障害に対して、脳の外部から微弱な電流を流すことで脳活動を調整し、歩行機能を改善できることを報告。

研究のポイント

パーキンソン病患者の歩行障害に対する新しい歩行リハとして、個別化されたクローズドループ脳電気刺激法を開発し、その効果を検証した。

介入群では、歩行速度や歩行の対称性、すくみ足の程度などの歩行指標において、対照群と比較して有意な改善が示された。

研究の意義と今後の展開や社会的意義など

本研究は、従来の治療では効果が限定的であったパーキンソン病患者の歩行障害に対して、個別の歩行パターンに合わせた(クローズドループ)脳電気刺激が効果的である可能性を示した。このシステムは、非侵襲・非薬物で安全性が高く、臨床応用が期待されている。

今後の更なる研究の進展により、効果的な歩行リハの開発につながり、パーキンソン病患者の生活の質の向上や自立支援に貢献することが期待される。

 

パーキンソン病病原タンパク質の受容体を特定 〜病態メカニズムの解明、進行抑制治療開発に期待〜

ポイント

パーキンソン病の原因タンパク質である凝集αシヌクレインが細胞表面から細胞内へ取り込まれる際の受容体として、ソーティリンを新たに同定

ソーティリンは、患者脳内のαシヌクレイン蓄積物に検出され、ソーティリン発現抑制・抗ソーティリン抗体の投与により、凝集αシヌクレインの神経細胞への取り込みや蓄積が抑制されることを明らかに。

研究の背景

パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患患者の脳内では、各々の疾患に特有の異常凝集タンパク質が検出され、病態の主役と考えられている。これらの凝集タンパク質は神経細胞間を伝播し、周辺細胞へと病変を拡大させ、病態を進行させると推定。凝集タンパク質が細胞内へ侵入するルートとして複数の可能性が考えられるが、中でも、エンドサイトーシスが注目。パーキンソン病においては、複数の膜タンパク質が凝集αシヌクレインのエンドサイトーシス受容体として報告。一方、そのほとんどは網羅的探索で見いだされたものではなく、神経細胞で発現が認められない等の問題があった。

今後の展開

今回、凝集αシヌクレインの細胞への取り込みを担う受容体としてソーティリンが同定されたことで、これらの疾患の病態解明が進むと同時に、凝集タンパクの伝播阻止に立脚した新たな進行抑制治療開発への道が開かれることが期待。

 

血圧、喫煙、飲酒が都道府県の平均寿命の説明因子

ポイント

厚労省の大規模公開データ(NDB open)による全国2,700万人余りのデータを用いて喫煙者割合と平均寿命、全死因による死亡率、がんによる死亡率との関連を都道府県単位で検討。その結果、現在喫煙している人の割合が多い都道府県ほど平均寿命が短く、全死因による死亡率・がんによる死亡率ともに高いことが分かった

「現在喫煙」、「血圧高値者」、「過剰飲酒者」の3要因で、平均寿命の都道府県格差の31~45%が説明できることも明らかになり、喫煙・高血圧・過剰飲酒の改善が平均寿命の延伸に重要であることが示唆された。

研究結果

現在喫煙している人の割合が多い都道府県ほど平均寿命が短く、全死因による死亡率・がんによる死亡率ともに高いことが分かった。なお、「血圧高値」や「過剰飲酒」の要因を加味しても喫煙は平均寿命に悪影響を及ぼしている。さらに都道府県の平均寿命の格差(平均寿命のばらつき)のうち31%(女性)~45%(男性)が「喫煙」、「血圧高値(収縮期血圧≧140mmHg)」、「過剰飲酒(一日あたり純アルコール換算:男≧2合、女≧1合)」の3つの要因で説明できることが分かった。

 

記事:https://research-er.jp/search