OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

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【リハビリ】乳酸アシドーシスとは~筋肉痛では済まされないことも~

【リハビリ】乳酸アシドーシスとは~筋肉痛では済まされないことも~

 

 

 

乳酸アシドーシスとは

乳酸アシドーシスとは、乳酸の蓄積または乳酸の代謝低下が原因で、アシドーシスが起こること。

アシドーシスには、大きく分けて代謝性と呼吸性の2種類があり、乳酸アシドーシスは、代謝性アシドーシスに分類される。

※アシドーシスとは、体内に過剰な酸が発生することで、血液が酸性に傾いた状態。

 

乳酸アシドーシスの種類

乳酸アシドーシスは大きく分けて3タイプある。

A型乳酸アシドーシス

A型乳酸アシドーシスは、アシドーシスの中でもっとも重篤になりやすいタイプ。

主な原因として、体内の酸素不足がある。体内への酸素供給が不足することで、嫌気解糖が起こす。嫌気解糖では、過剰な乳酸が生成されるため、酸性に傾き乳酸アシドーシスに陥りやすくなる。体内が酸素不足に陥る原因としては、全身の血液循環の低下(心筋梗塞・不整脈などによる心原性ショックなども)が嫌気解糖を引き起こす。

※嫌気解糖とは、酸素を用いずにエネルギーを生み出す仕組み。

 

B型乳酸アシドーシス

B型乳酸アシドーシスは、全身疾患などを原因とするタイプ。A型に比べると重篤化リスクは低いと言われている。

B型乳酸アシドーシスを引き起こす疾患は、肝臓障害・糖尿病・がんなどが代表的で、フェンホルミン・メトホルミンなどの薬剤が原因となることもある。

腎機能が低下した方がメトホルミンを服用すると、血中に乳酸が増えやすくなるため、乳酸アシドーシスが起こりやすくなる。

※メトホルミンは糖尿病治療やがん抑制に用いられる薬。

 

D乳酸アシドーシス

D乳酸アシドーシスは、乳酸アシドーシスのなかでは頻度が低いタイプ。

D乳酸アシドーシスが起こりやすいのは、腸切除や空腸バイパスの手術を受けた方などで、腸の手術を受けた方は、

結腸などでD乳酸が生成されやすくなり、D乳酸は人体内では代謝されないため、生成後は血中に蓄積される。血中のD乳酸の量が過剰になるとD乳酸アシドーシスに至いる

 

乳酸アシドーシスの症状

乳酸アシドーシスの症状の種類・程度は個人差があります。

初期:消化器系の症状:悪心、嘔吐、腹痛、下痢など、その他の初期症状:筋肉痛・倦怠感など。

進行すると:過呼吸、脱水、低血圧。低体温、昏睡 ※最悪の場合は、命を落とすことも。

 

乳酸アシドーシスの診断方法

動脈血ガス、血清電解質

動脈血ガス:血液中のガスの成分(酸素や二酸化炭素など)を調べる検査。

この検査は肺・心臓・腎臓や体液の状態を把握をすることに役立つ。

血清電解質:血液中の電解質の成分を調べる。

血液のph、体内の水分や浸透率を把握するための検査。

動脈血ガスや血清電解質の結果が血中pH < 7.35となった場合、乳酸アシドーシスと診断される。

 

アニオンギャップ、デルタギャップの算出

アニオンギャップ:血液中の陽イオン・陰イオンの差をみるもの。

デルタギャップ :正常なアニオンギャップとの差をあらわすもの。

アニオンギャップやデルタギャップは、動脈血ガス検査の結果をもとに出され、アニオンギャップが高くなっている場合、乳酸アシドーシスが疑われる。

 

血中乳酸濃度

血中の乳酸の濃度を調べる方法。

血液中に大量の乳酸が認められる場合、乳酸アシドーシスの可能性が高まる。

乳酸濃度 > 5~6mmol/Lかつ動脈血ガスでpH < 7.35の場合、乳酸アシドーシスと診断される。

 

乳酸アシドーシスの治療方法

A型・B型乳酸アシドーシス

A型・B型の乳酸アシドーシスは、全身疾患などが原因で引き起こされる。

治療は、まず根本原因である疾患・症状の治療が中心となる。A型の原因は、心筋梗塞や不整脈などによる酸素の供給不足などあるため、改善するには、心疾患などを治療して体内の酸素供給量を増やす必要がある。B型の場合は、糖尿病などの疾患のほか、薬剤の使用が原因であるため、乳酸アシドーシスを改善するには、原因疾患を治療したり、原因となる薬剤の服用を中止する必要がある。

 

D乳酸アシドーシス

D乳酸アシドーシスの治療:輸液、炭水化物制限、薬剤投与など

 

乳酸アシドーシスを起こしやすい人の特徴

乳酸アシドーシスのリスクが高い方 :腎臓障害、肝機能障害、循環器系の疾患など

乳酸アシドーシスのリスクが高めな方:高齢者、脱水、大量飲酒など