OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【感染症】肺炎の分類や感染の仕方

【感染症】肺炎の分類や感染の仕方

 

 

 

 

●肺炎の種類

大きく3つのタイプに分かれます。肺炎の原因となる病原微生物には、細菌(細菌性肺炎)、ウイルス(ウイルス性肺炎)、その2つの中間的な性質をもつ微生物(非定型肺炎)の3つが考えられます。

感染経路は、発症している人の咳に含まれる病原微生物が、口や鼻から入り込んで感染する「飛沫感染」、ドアノブなどに付着した病原微生物が自分の手の指を経由して口や鼻から体の中に入り込んで感染する「接触感染」があります。

 

細菌性肺炎

原因:肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因で起こる。

症状:湿った咳、黄色や緑色を帯びた痰が出る。

ウイルス性肺炎

原因:インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど、さまざまなウイルスが原因で起こる。

症状:かぜ症状に続き、激しい咳、高熱、倦怠感などの症状。

非定型肺炎

原因:マイコプラズマ、クラミジアなど、細菌とウイルスの中間的な性質を持つ微生物が原因で起こる。

症状:乾いた咳が長く続く、痰は少ない。

 

初期の症状は、咳、痰、発熱など似ているところも多いが、細菌性肺炎と非定型性肺炎では、咳の状態に違いがあります。またウイルス性肺炎の場合は、急に39度以上の発熱があることが多いため、症状のわずかな違いからでも、病原微生物を推測できる。医療機関を受診した時は、自分の症状を細かく説明し、熱の出方(朝方に高熱になり日中は下がるなど)の特徴なども、分かる範囲で伝える。

 

●感染場所

自宅で日常生活を送る中で、病原微生物に感染し、肺炎を発症することが多い。しかし、高齢者になると、ちょっとしたきっかけで入院した時に、病院などの中で肺炎に感染することもある。

 

市中肺炎

病院や診療所など以外で、日常生活を送っているうちに感染した肺炎のことで、風邪やインフルエンザをこじらせた時に起こる早めに適切な治療を行えば、完治が期待できる

市中肺炎とは、自宅などを拠点として日常生活を送っている人が、その過程で病原微生物に感染し、発症した肺炎。特にインフルエンザが流行する時期は、インフルエンザウイルスが原因となる肺炎が多くみられるため、予防接種をしっかり受けておくことが必要。

 

院内肺炎

病院や施設などに入院してから、48時間以上経過した後に発症した肺炎のことで、免疫力が非常に低い人や、人工呼吸器が原因で起こる。予防や治療が比較的難しく、死亡率が高い。

原因となる病原微生物は、入院する理由は呼吸器の病気ではないこともある。例えば、心臓の病気や脳血管の病気、がんや骨折などの手術による入院でも、感染・発症する可能性がある。特に免疫力低下している高齢者に多くみられ、気づいた時にはすでに重症化していたり、呼吸機能が改善しないまま死に至ることも。

 

●感染する場所の種類

肺胞そのもので病原微生物が増殖し、炎症を起こした状態を肺炎と言う。これに対し、肺胞の周りにある「間質」という部分に炎症を起こした場合を「間質性肺炎」と呼び、一般的な肺炎と区別している。

 

肺胞性肺炎

場所:肺の末端にある「肺胞」が炎症を起こす肺炎

症状:高熱が出て、咳とともに膿ともいえる黄色や緑色(時には茶褐色)の痰がたくさん出る

間質性肺炎

場所:「肺胞」を支える組織である「間質」が炎症を起こす肺炎

症状:呼吸困難や呼吸不全が特徴で、痰を伴わない乾いた咳が続く

誤嚥性肺炎

場所:細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで発症

症状:発熱、激しい咳、膿のような痰が特徴的な症状

 

●検査・診断

肺炎の診断は、症状、身体所見、血液検査、胸部X線写真、胸部CTなどを検査し診断する。

血液検査:体内で炎症が起こったときに上昇する白血球やCRPの値を参考。

胸部X線・CT:肺炎はスリガラス影や浸潤影と呼ばれる肺内の白い影として写る。

 

●治療

細菌が原因:抗菌薬を用いて治療。

ウイルスが原因:抗ウイルス剤を用いる。

軽症で全身状態がよければ、通院で内服薬を飲みながら治療できるが、高齢者の場合や脱水がある、食事が取れない、体内の酸素の数値が低い、意識が悪い、低血圧といった中等症・重症の肺炎が疑われる場合は入院し注射薬を使う必要。呼吸不全が強くなると、酸素の吸入や人工呼吸器の装着も必要になる場合も。