【介護】下剤の基本知識と理解
●下剤の知識
下剤とは
緩下剤:便を柔らかくする作用を持ち、排泄を容易させる。
刺激性下剤:腸管や腸壁を刺激し、腸の蠕動を促す。
上皮機能変容薬:小腸での腸管内への水分を分泌を増やして便を軟化させたり、大腸の運動を促進することにより、排便を促す。
●各下剤の特徴
塩類下剤(酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム)
慢性便秘に対する長期的治療薬に適した下剤。
水溶性無機塩類は、腸管から吸収されにくく、浸透圧作用により腸管からの水分を吸収・保留し、腸内内容物を液状にするとともに腸の蠕動を促進する。大量の水とともに服用すると効果的で1~2時間で効き目が現れ、習慣性が少なく、長期間の使用ができる。通常の投与量では電解質異常は生じにくいですが、腎疾患や心疾患の長期投与は高マグネシウム血症の恐れがある。
膨張性下剤(緩下剤)
高繊維食による自然な排便促進作用を薬理的に行うような薬剤。
安全性が非常に高く、軽度の慢性便秘に対しては理想的な薬剤と言われている。しかし、飲む量が多いことや効果があまり得られない事もある。
腸管内で吸収されず、服用した水や腸管内の水分を吸収することによって便を大きくし、腸に物理的刺激を与えることにより排便を促します。 通常、12~24時間以内に効果が現れますが、2~3日連続して服用するとより効果的です。
糖類下剤(浸透圧性下剤)
機械的下剤の一種で、最も一般的に使用されている下剤である。浸透圧勾配を利用し、腸内で水分分泌を引き起こすことで便を軟化させ、排便回数を増加させる。ヒトの体内では吸収されない糖類が、浸透圧作用により腸内への水の移動を促進するとともに、腸内細菌によって有機酸を産生し、腸の運動を促進します。
大腸刺激性下剤(刺激性下剤)
散剤、錠剤ともコンパクトで服用しやすいのが特徴。
便秘の程度を問わず、効果が速やかに出現することから、最も多くの便秘患者に好まれ、よく処方される下剤です。下剤の中では最も強い習慣性を有し、薬剤耐性を生じやすく、濫用されやすい傾向にあります。 過剰投与による腸管への刺激により、便からの水分再吸収に異常が生じ、下痢を引き起こすことで、電解質異常や脱水などの副作用が生じやすくなります。
上皮機能変容薬(水分分泌促進薬)
小腸粘膜上皮などに作用します。 種類によって多少異なりますが、小腸での腸管内への水分を分泌を増やして便を軟化させたり、大腸の運動を促進することにより、排便を促します。 大腸痛覚過敏(腹痛・腹部不快感)を改善するものもあります。
胆汁トランスポーター阻害薬
胆汁酸の再吸収に係わるトランスポーターを阻害することで、大腸に流入する胆汁酸の量を増加させ、水分分泌と大腸運動促進の2つの作用で排便が促されます。
高分子量化合物製剤
ポリエチレングリコール及び電解質を配合した製剤であり、浸透圧効果 により、腸管内の水分量を増加させ、保持することで、便中の水分量及び 便容積の増大をもたらし、結果、用量依存的に便を滑らかに排出します。 水に溶かして服用します。