【神経】神経痛の特徴
●神経痛とは
神経痛とは特定の末梢神経の支配領域に急に起こる激しい痛みのこと。痛みは針で刺されたような鋭い痛みで不規則な感覚でくり返し起こります。
<神経痛の特徴>
①痛む部位が1本の末梢神経の支配領域に一致している。
②鋭く激しい痛みが突然おこり、持続時間が数秒~数分と短く、 いったん痛みが治まっても再発をくり返す。
③痛みの治まっているときに、痛みの生じる末梢神経の部位を指で押すと痛みがおこる
④痛みが治まっているときに、痛みの生じる皮膚や粘膜を指で刺激すると痛みが誘発される。
⑤咳きやくしゃみをしたり、特定の姿勢をとったりすると痛みが誘発される。
⑥中年以降の人に発症が多い。
神経痛は原因のわかる「症候性神経痛」と原因がわからない「突発性神経痛」とに分類される。
「症候性神経痛」は診察や検査で、末梢神経を刺激して痛みをおこしている病変(骨の変形や帯状疱疹など)、腫瘍、外傷などが見つかる神経痛で本人が自覚していなくても、精密検査を行ってみると、筋肉の萎縮や運動障害、発疹、しびれ、こわばりなどの障害。
「突発性神経痛」は、検査を行っても痛みをおこす病変が見つからない神経痛。
●三叉神経痛
三叉神経痛(三叉神経)は、第5脳神経といい、知覚枝と運動枝から成る。 顔面が痛むことから、顔面神経痛とも呼ばれている。しかし、顔面神経は顔の筋肉を動かす運動神経で、この神経が刺激されても痛みを感じることはない。
痛みの発生で最も多い訴えの部分は頬の部分を中心とした領域。次いで、目の下の部分や目の上にあたる前頭部が痛むことが多い。
神経痛の中でも三叉神経痛が最も多く、男性より女性の患者がやや多く、40~50代に発病することが多い。
症状としては、鋭い痛みが顔面の片側に突然起こる。くしゃみ、あくび、会話、洗面、冷風といったことが刺激となって突然痛み出すことが多い。
三叉神経痛の治療は、脳腫癌や脳動脈癌の圧迫など原因がはっきりしている場合はそれに対する治療を行う。
●肋間神経痛
肋間神経は、肋骨の間を走っていて、背中(胸髄)から出て、胸腹部に分布する末梢神経(胸髄神経)で、右側と左側のそれぞれに12本計24本ある。上部(首に近いほう)の7対は肋骨に沿って肋骨に向かって伸び、下部(腹部のほう)5対は、前下方に向かって伸び、腹部に分布。
この肋間神経に沿って痛み、症状は背骨から片側の1本の肋骨に沿って激しい痛みが突然起こる。肋骨に沿った部位や腹直筋の上で押すと痛みのおこる圧痛点が存在することが少なくない。帯状疱疹ウイルスやコサッキーウイルスによる感染や風邪などでもおこる場合があり、狭心症や胸膜炎などの内臓疾患の放散痛としてあらわれることも。
深呼吸をしたり、咳、くしゃみ、大声などで痛みが誘発されるほか、痛みの無い側へからだを曲げ、肋間神経を伸ばすようにしても痛みが誘発される。
●坐骨神経痛
坐骨神経は人体中で最大最長の末梢神経で、鉛筆の太さくらいもあり、1m以上もある長い神経。腰椎下部と仙骨上部に始まり、骨盤を貫通して大腿後面に沿って下行し、膝の後で分かれて下腿の前後面に分布。
この神経が刺激されると片側の殿部、大腿の後面、ふくらはぎが痛み、踵やくるぶしのほうまで痛みが響くことがある。原因は、椎間板ヘルニア、腰椎症、腫瘍などでも起こることも。
症状は、安静にしても多少痛みが続いていることが多い。咳やくしゃみなどで痛みが下方にまで響き、体を曲げたりすると痛みが強くなる。また、脚のしびれ、知覚のにぶさ、腱反射の異常などがみられる場合もある。
●治療
薬物療法
解熱鎮痛薬、非ステロイド抗炎症、筋弛緩薬、抗けいれん薬、ビタミン剤などの使用で痛みを和らげる。
安静保護療法
痛むときは無理をせず休養を。痛みが和らぐ姿勢を保ち、安静を心がける。痛む部位を冷やさないようにし、コーヒー、アルコール、香辛料などの刺激の強いものやタバコなどは避けたほうが良い。
理学療法
整形外科で行われる治療法で、痛みの原因が存在する部位の負担を取り除く牽引療法や、痛む部位を固定して安静を保つコルセットや頸推カラーの装着のほか、痛む部位を温める赤外線照射などが行われる。
神経ブロック
痛みのおこる末梢神経に麻酔薬を注入し、痛みを止める治療法。
鍼灸療法
鍼や灸でいわゆるツボを刺激し、痛みを抑える治療法で、人によってはかなりの効果があるといわれている。
手術
椎間板ヘルニア、背椎や脊髄の腫瘍などは、手術は第一の治療法。