OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【情報】筋力トレーニングの基礎知識 一筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム―

【情報】筋力トレーニングの基礎知識一筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム―

 

「バーベルトレーニング中の若い男性の様子」の写真[モデル:鈴木秀]

 

 

●筋収縮の分類と筋力測定

運動要素による分類

等尺性収縮:関節の角度あるいは筋の長さが一定

等張性収縮:筋の発生する張力が一定

等速性収縮:筋の収縮速度が一定

収縮要素による分類

等尺性収縮:関節の角度あるいは筋の長さが一定

短縮性収縮:筋が短縮しながら収縮する

伸張性収縮:筋が伸張さされながら収縮する

 

●筋力に影響する要因

筋断面積

筋力と筋の断面積が高い相関を示すとした報告も多く、筋の断面積が大きいほど筋力も大きいといえる。 筋の断面積の測定として最も簡単なのは周径の測定。しかし、皮下脂肪の影響を強く受ける。

神経系による要因

中枢神経系による筋力の調節としては、

①動員する運動単位の種類と総数による調節

運動単位:1つの運動ニューロンおよびそれに支配される筋線維群。

②α運動神経発火頻度による調節

③運動単位の活動時相による調節 の3つの機序により調節される。どんなに大きな断面積を持った筋 でも、この神経系の筋力の調節機構がうまく機能しないと、大きな力を発揮することはできない

筋線維組成

人間の筋線維は次の3つに分類される。

so線維 (タイプⅠ) 短縮速度は遅いが、持久性に優れている。

FG線維 (タイプHb) 速く短縮し、発揮する張力も大きいが、疲労しやすい。

FOG線維 (タイプIIa) FG線維とSO線維の両方の性質を有し、痩縮速度も速く、持久性も高い

解剖学的要因

筋線維の走向方向に基づき、紡錘筋と羽状筋に大きく分類される。

紡錘筋:筋の長軸に対して直角に切断した場合の断面積 (解剖学的断面積)と筋線維の走向に対して直角に切断した場合の断面積 (生理学的断面積)は等しい。筋線維長の側面から両筋をみると、羽状筋よりも紡錘筋のほうが構造を持った筋。また、羽状筋よりも筋収縮速度に優れた構造。

羽状筋:解剖学的断面積よりも 生理学的断面積が大きくなる。筋力は筋の生理学的断面積に比例することを考えれば,羽状筋は高い筋収縮力を発揮。 

関節の角度

実際の臨床の場面では、筋収縮による関節運動が発揮するモーメント(関節トルク)を筋力として測定している。関節トルクは筋の収縮によって発揮される筋張力とモーメントアームの積によって決定される。したがって、筋の付着部が関節の回転中心から遠い関節ではモーメントアームは大きくなり、同じ筋張力でも大きな関節トルクを発生することができる。また、関節の屈曲角度が変化することでモーメントアームと筋長がともに変化するため、関節トルクも屈曲角度の影響を受ける。

心理的要因

筋力にはその構造的要素によって決定される生理的限界がある。通常は高位中枢からの抑制により、最大努力下においても生理的限界まで筋力を発揮することはなく、これを心理的限界と呼び生理的限界の70~80%とされている。

 

●筋力トレーニングの原則

筋力トレーニングを行う場合に重要な原則として最も一般的なものに過負荷の原則がある。

過負荷の原則:負荷強度が通常用いているものより強くなければ、身体の適応性を利用して筋力向上を期待することができない。一般的には最大筋力の2/3以上の強度で筋力トレーニングすることが必要。

特異性の原則:ある種の能力は同類の運動を用いたトレーニングによって効果的に高められる。特異性の原則について3つに分けて以下説明。

筋の収縮様式による特異性等尺性,求心性,遠心性,等張性,等速性で行われた訓練は同じ収縮様式において最も増強効果が高い。

負荷様式の特異性最大負荷では最大筋力、負荷なしでは最大収縮速度、負荷30%では最大パワーのへ効果が高い。

関節角度の特異性特定の角度で行われた訓練では、その角度における増強効果が最も高い。

などがある。筋力増強訓練を行う場合には、これらの原則を考慮し、期待する増強効果に対して最も効率的な訓練処方を検討する必要がある。

 

●筋力増強の機序

神経性要因

筋力増強訓練が適切な条件下で継続されれば、発揮される最大筋力は経時的に増加する。

訓練開始から約4週間以内の初期にみられる最大筋力の増加は、筋肥大を伴わないことが報告されており、結果として単位断面積あたりの筋力が増加する。その機序としては主に中枢神経系要因の改善によってもたらされるとされている。つまり運動単位数の増加、発火頻度の増加・同期化、拮抗筋の抑制、運動プログラムの改善などが関与している.

筋肥大のメカニズム

筋線維数の増加は胎生期までにほぼ終了するとされており、筋力増強訓練で生じる筋肥大は筋線維の断面積が増大したものである。筋線維の断面積増加は、それを構成する筋タンパクの合成が分解を上回った結果生じる

筋タンパク合成の制御には主にインスリン様増殖因子I(IGF-I)が重要な働きをしていることが知られている。血液中のIGF-I が筋細胞膜の表面にあるレセプターに結合することにより、細胞内のシグナル分子が活性化されタンパク合成が促進される。筋力増強訓練によってもたらされる機械的ストレスは筋細胞膜上のメカノセンサーを活性化し、細胞膜のCa チャンネルを変化させる。流入したCaイオンは細胞内のCa依存性シグナル伝達を活発にして筋タンパク合成を促進する。