【疾患】壊血病(ビタミンC欠乏症)~ワンピースにも出てきた病気~
ビタミンC欠乏症(壊血病)は、先進国では,ビタミンC欠乏症は全身的な低栄養で起こるもので、重度の欠乏症(壊血病)を引き起こともある。
ワンピースの最初の方にも出てきている病気で、昔は海に出ると罹る病気と言われていたようです。今ではあまり聞きなれない病気になっていると思いますが・・・
●原因
成人では,原発性ビタミンC欠乏症は通常以下のものが原因である。
・不十分な食事
・熱性疾患,炎症性疾患(特に下痢性疾患)
・無酸症,喫煙
・甲状腺機能亢進症
・鉄欠乏症
・寒冷または熱ストレス
・手術,熱傷,およびタンパク欠乏症により増大
※熱(例,人工乳の殺菌,調理など)により、食物中のビタミンCの一部が破壊されることがある。
●病態
ビタミンCが欠乏していると結合組織・骨および象牙質における細胞間のセメント質の形成に障害が起こり、その結果毛細血管が脆弱化し、続いて出血と骨および関連する構造の障害を伴う。
骨組織形成が障害されることもあり、それにより小児で骨病変および骨成長不良が引き起こされる。
骨幹と骨端の間に線維組織が形成され,肋骨肋軟骨移行部が拡大する。
骨膜下出血が小児または成人に起こることがある。
●症状と徴候
<成人>
ビタミンC欠乏状態が数週間から数カ月続いた後にビタミンC欠乏症の症状が出現。
初期に出現するもの
倦怠感、筋力低下、易刺激性、体重減少および漠然とした筋肉痛や関節痛
壊血病の症状(結合組織異常に関連する)欠乏が数カ月続いた後に出現。
①毛包性の過角化,螺旋状毛髪、毛包周囲の出血が出現することがある。
②歯肉が腫れ、紫色、海綿状になり脆弱となる。
③最終的には,歯が動揺し脱臼する。
④創傷が治癒しにくく簡単に裂け自然出血が起こることがある
※特に下肢の皮膚の斑状出血または眼球結膜出血などが出現。
<他症状や徴候>
大腿の神経鞘内への出血による大腿神経障害
下肢の浮腫・疼痛を伴う関節内の出血または液貯留などがある。
乳児の症状
易刺激性、動作中の疼痛、食欲不振、成長の遅れなど。
乳児および小児では,骨成長が障害され,出血および貧血が生じることがある。
●診断
通常臨床的に行う(皮膚または歯肉の所見および危険因子に基づく)
ビタミンC欠乏症の診断
①皮膚または歯肉の徴候
・出血時間、凝固時間およびプロトロンビン時間は正常。
②骨格のX線が小児の壊血病の診断に役立つことがある。
・変化は長管骨骨端(特に膝関節)でわかりやすい。
・初期の変化は萎縮に類似。
・骨梁の減少により,すりガラス陰影が生じる。
・皮質は菲薄化。
・石灰化した不規則な軟骨の線(Fraenkelの白線[white line of Fraenkel])が,骨幹端に認められる。
臨床検査診断(血中アスコルビン酸濃度の測定が必要)
0.6mg/dL(34μmol/L)未満は境界域
0.2mg/dL(11μmol/L)未満はビタミンC欠乏症を示す。
※白血球血小板層におけるアスコルビン酸濃度の測定は広く利用することはできず標準化もされていない。
成人の場合
壊血病を関節炎、出血性疾患、歯肉炎、タンパク質-エネルギー低栄養と鑑別する必要がある。
周辺の充血または出血を伴う毛包角化症は本疾患にほぼ特有の所見。
歯肉の出血、結膜出血、ほとんどの点状出血および斑状出血は非特異的である。
●治療・対処
アスコルビン酸の補給を伴う栄養価の高い食事
成人の壊血病に対しては、徴候が消失するまでアスコルビン酸100~500mgを1日3回1~2週間経口投与し、その後は1日当たりの推奨摂取量の1~2倍を供給する栄養価の高い食事を続けることが。
壊血病は、治療量のアスコルビン酸投与により数日でビタミンCの機能が回復する。
症状と徴候は通常1~2週間で消失すると言われている。
広範囲の皮下出血を伴う慢性的な歯肉炎は期間持続する。
ビタミンC中毒
ビタミンCの摂取上限量は“2000mg/日”。
・尿が酸性化
・悪心および下痢
・身体の健全な抗酸化と酸化促進のバランスが乱れ
※健康成人では,上限量を下回るビタミンCの摂取による毒性作用はない。