作業療法~医療・福祉・OTのブログ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【呼吸器】呼吸器疾患~リハビリにおけるリスク管理①~

【呼吸器】呼吸器疾患~リハビリにおけるリスク管理~

 

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呼吸器疾患のリハビリを安全に進めるには、呼吸状態、全身状態の情報をもとに、リスクを把握し、リハビリが施行可能なのか、そうでないのか、可能であればどこに配慮すべきなのかを判断しなければならない。

 

 

●呼吸困難の他覚的所見

呼吸困難は一般に自覚症状として捉えられているが、他覚的に観察できる状態として…

①自発呼吸回数 25回/分以上

②努力呼吸(鎖骨上窩の陥凹)

※呼吸補助筋である頸部筋群(胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋)の委縮

③呼気所見(呼気時間の短縮、喉頭牽引、舌根牽引)

④呼吸補助筋の緊張

⑤交感神経系の緊張(冷汗、頻脈など)

 

●急性期の呼吸療法

急性期では、特に人工呼吸管理中のリハビリはリスクが高く、あらかじめの情報収集によるリスクの予測と実際の介入場面でのリスクの察知や把握に努める必要がある。

低酸素血症

急性期の低酸素血症は、慢性呼吸器不全と異なり、原因をできるだけ早期に改善する必要。

原因は…

①換気血流不均等分布

肺胞換気と肺血流とが不均一であるためガス交換の効率が悪くなった状態。

・換気不全

・血流不全

②シャント血流

全くガス交換を受けない血流をシャント血流という。

③拡散障害

肺胞壁や毛細血管壁の肥厚、間質の拡大などによって、酸素が肺胞から毛細血管まで到達しにくい状態。

二酸化炭素は拡散能が高いため、通常PaCO2は上昇しない。

④肺胞低換気

<原因>

上気道閉塞

・麻酔薬(睡眠薬等も含む)による呼吸抑制

これらのいずれか、またはいくつかの組み合わせで起こる。

 

薬による呼吸抑制

全ての麻酔薬(睡眠薬等)は呼吸抑制効果がある。

多くの麻酔薬は一回換気量が低下するが、オピオイド1)は呼吸数が著明に低下し一回換気量が上昇する。                   

・麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬

<増悪因子>高用量、年齢(高齢者・新生児)、併用薬物(麻酔薬・アルコール)、腎不全、肝不全、過換気など

<治療>酸素投与・気管挿管

 

●低酸素血症のリスク管理

動脈血酸素分布(PaO2)

動脈血酸素飽和度(SaO2)  によって行われることが多い。

PaO2は60㎜Hg以下になると、組織への酸素供給量が著しく低下してくる。

・臨床ではパルスオキシメーターによる経皮的酸素飽和度(SpO2)で管理する。

 

<チアノーゼは低酸素血症の他覚的所見>

・SpO2が90%を下回らないように管理。

・PaO2が55 ㎜Hg以下

・または、SpO2では85%

から除々にチアノーゼが出現する。

 

<血液ガスの基準値>

pH(水素イオン濃度): 7.35~7.45

正常値よりも酸性に傾くことをアシドーシス
正常値よりもアルカリ性に傾くことをアルカローシス。
7.0以下になると昏睡症状が出て、7.7以上になると痙攣などの症状が出ます。

PaO2(酸素分圧): 80~100mmHg

PaCO2(二酸化炭素分圧): 35~45mmHg

SaO2(酸素飽和度): 95%以上

 

●リハビリ中に低酸素血症を認めた場合は?

第一に酸素投与の不備を疑う。

・酸素チューブの接続はずれ

・酸素ボンベの酸素残量などの確認を優先‼

※体位変換や呼吸介助法によっても低酸素血症を起こすことがあるため注意。

 

CO2ナルコーシス

高炭酸ガス血症により意識障害を伴い、中枢神経症状を伴う病態をCO2ナルコーシスという。

高炭素ガス血症の原因は肺胞低換気である。臨床ではⅡ型慢性呼吸不全の急性増悪や神経筋疾患などが重要。また、呼吸筋疲労などにより生じやすいため注意が必要。

 

呼吸療法の手技

手技については詳細は省くが、胸郭を押す方向、タイミング、圧迫力などが不適切だと、痛みや不快感が生じたり、骨粗鬆症のあるケースでは骨折を起こす危険性もある。

胸郭に対して直接アプローチする呼吸療法では、目的に応じた技術の調節も要求されるため、低酸素や循環器のモニタリング、聴診、打診などの身体診察もリスク管理では重要となる。

 

 

資料

1)高橋仁美 他.呼吸器疾患の理学療法におけるリスク管理.理学療法学 第39 巻 344‐348

2 )日本呼吸器学会COPDガイドライン第2版作成委員会.「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」 第2版 ポケットガイド. 2004.12.10

3)高橋哲也.早期理学療法 ‐呼吸循環器系のリスクと効果‐.理学療法学 第29 巻 第8郷309 〜313