骨粗鬆症
1.骨粗鬆症とは
骨密度が減少し骨の微細な構造が変化、その為骨が脆くなり骨折を起こしやすくなった、 全身性の疾患。
2.発生原因
①女性の閉経などのホルモン因子
②生理的加齢から骨減少 (腸からのカルシウム吸収能低下)
③遺伝子因子などの内的因子
④カルシウム摂取不足
⑤日光浴の不足
⑥運動不足
⑦アルコール・喫煙などの生活習慣因子 など
3.危険因子
<除去できない因子>
・女性
・加齢
・初経が遅い
・閉経が早い
・女性ホルモン分泌の低下
・血縁者に骨粗鬆症患者がいる。
・卵巣切除
・ステロイド、抗けいれん剤などの長期服用
<除去できる因子>
・痩せている
・偏食、欠食が多い
・カルシウム不足
・無理なダイエット
・多産で母乳による授乳
・運動不足
・過激な運動を続ける。
・喫煙 ・アルコールの多飲
4.診断基準
①X線上椎体骨折を認める場合
低骨量(骨萎縮度Ⅰ度以上、あるいは骨塩量値が 若年成人平均値=YAMの80%以下)で非外傷性 椎体骨折のある症例を骨粗鬆症とする。
②X線上椎体骨折を認めない場合
正常:脊椎X線像⇒骨萎縮なし
骨量減少:脊椎X線像⇒ 骨萎縮度Ⅰ度 骨塩量値⇒YAMの80~70%
骨粗鬆症:脊椎X線像⇒ 骨萎縮度Ⅱ度以上 骨塩量値⇒YAMの70%未満
<骨粗鬆症と骨折>
骨粗鬆症の問題点は骨折が主。
骨折の原因は転倒によるものや知らぬうちに骨量の低下し骨折しているという事が多くある。
高齢者に多い骨折
①大腿骨近位端骨折 ②橈骨遠位端骨折 ③上腕骨近位骨折 ④脊椎骨折
骨粗鬆症の治療
骨強化の方法は、骨萎縮を引き起こす要因の逆の方法を推進するとよい。
①薬物療法 ②食事療法 ③運動療法
①薬物療法
【骨折リスクが低い場合】骨栄養を与える薬剤
・活性型ビタミンD3製剤
・ビタミンK2製剤
【骨折リスクが高い場合】
・ビスフォスフォネード製剤
・SERM(ラロキシフェン)
②食事療法
●カルシウムの摂取 ⇒本来なら1日800mgのカルシウムを摂取したいが高齢者は食事量が減少し困難である。しかし、できるだけカルシウムを多く含む魚料理など選択するように指導をする。
●ビタミンDの摂取 ⇒アメリカでは1日400~600IUが勧められる。
●塩分、コレステロール等の過剰摂取を控える ⇒生活習慣病に順じた食事を推奨する。
【カルシウムを多く含む食物 】
●乳 (ミルク、凍豆腐など)
●野菜 (ほうれん草など)
●海藻 (わかめなど)
●卵
●魚介類 (いわし、桜海老など)
【ビタミンDを多く含む食物】
●生いわし
●かつお (油漬) ●かつお (生) ●かつお (フレーク)
●つみれ
●さつま揚
③運動療法
1:ある程度以上の負荷を頻回に与える。
特に歩行運動で1日1万歩、歩くとそのつどカルシウムイオンの取り込みの機会が訪れる。また、歩行中の筋収縮も骨に負荷を与えることで骨の強化につながる。
2:日常生活の中で活動量を高く維持する。
閉経後の女性では活動量の多い女性ほど骨塩量は高いとされている。
3:独りでも行える運動を有する。
1日6,000~8,000歩を歩くことで骨塩量の減少率を抑えることができる。
リスクを回避するためには?
①屋内・屋外での転倒防止指導
②骨折予防
①屋内・屋外での転倒予防指導
<屋内編>
【玄関】
・踏み台を置き、足元を安定させる。
・体を支えやすいよう手すりを設置する。
・玄関マットは、滑らないように固定すること。
【敷居】
・段差解消のスロープをつける。
【階段】
・手すりをつける。
・滑り止めをつける。
・足元に照明をつける。
・照明スイッチは、階段の上と下につける。
【居間】
・じゅうたんやマットのへりにつまずかないよう固定するか取り除く。
・毛足の長いじゅうたんは短いものにかえる。
・コード類を整理する。もしくはテープなどで固定する。
【風呂】
・入口との段差を解消するため、スノコを敷く。
・浴室マットは滑り止めの付いたものを敷く。
・浴槽に滑り止め用のマットを敷く。
・つかまる為の手すりを取り付ける。(ずれない強固なもの)
【トイレ】
・手すりをつける。
・洋式トイレにかえる。
⇒和式トイレも下肢筋力維持の為に良いので一概には言えない。
<屋外編>
【体調】 ・疲れている時は外出を控える。
【服装】 ・歩きやすいスニーカーを履く。 ・ロングスカートなどは控え動きやすいズボンをはく。 ・ヒッププロテクターを付ける。
【経路】 ・でこぼこ道や段差、人ごみの多い場所は気をつける。
②骨折予防
・足腰が弱く転倒しやすい時は、腰の所にヒップ プロテクターを装着してはと助言してみる。たとえ転倒しても大腿骨への衝撃をやわらげ骨折予防となる。
・日光に当たることで皮膚でビタミンDは合成されるので、ウォーキング等の運動と合わせて取り入れると良い。
・高齢者の場合は歩行、ジョギング、体操などの長時間継続できる有酸素運動が適している。 ⇒無理のないように自分のペースで行う。
・適度な運動(歩行など)は血液循環を良くし、骨代謝など広く新陳代謝を活発にする。またつまずきによる転倒は筋力の低下にも起因するので、適度な運動は筋力維持・向上につながる。