徘徊
認知症の症状の一つ「徘徊」とは?
徘徊を正しく理解するためには、まず、認知症によって起こる症状や徘徊の危険性について知っておく必要があります。
徘徊と聞いて何を想像しますか?
徘徊はご家族にとっては本当に悩んでいる症状であり、施設でもどう対処していいか分からないと思うことも多いです。
まず徘徊という状態はどんな症状なのか?
調べてみました。
●徘徊とは
徘徊は認知症の「周辺症状(BPSD)」と呼ばれる症状の一つ。
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」に分類されます。
認知症とは⇓
<簡単に中核障害・周辺症状を説明>
●中核症状
中核症状は、すべての人に現れる症状「記憶障害」「見当識障害」など
●周辺症状
周辺症状は「BPSD (Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略語)」。「抑うつ」「妄想」など。徘徊もその1つ。
徘徊は、何かしらの原因やきっかけがあるはず、何か目的があっての行動だと思われる。
●徘徊時に気を付けること
徘徊時は意識がはっきりしているわけではないため、事故やケガをしてしまう可能性が高いです。
よく施設や自宅からいなくなり、広報でいなくなった方を探す呼びかけしている放送を聞きます。
認知症の人は、施設内や外に出ると自分がどこにいるか分からない状態(自分の居場所や帰り道がわからなくなる)になってしまいます。
自分が病院で働いているときは、患者さんが夜間にいなくなってしまい、無事早朝に見つかったのですが、バルーンを引きずりながら裸足で歩いていたそうです。
田んぼが多い地域だったので、側溝や田んぼに落ちてなくてよかったと思いますが、なかには側溝で亡くなっていた方もいるので、徘徊が命にもかかわるということを頭に入れておく必要があります。
そのほかにも怪我だけでなく、脱水や熱中症、低体温症など、その季節に応じて気を付けなければならないことも沢山あります。
●徘徊になる原因
①記憶障害・見当識障害
●記憶障害
詳細は下記に記載しますが、記憶が曖昧もしくは忘れてしまうことで自分の居場所や帰り道が分からなくなり徘徊してしまうパターン。
●見当識障害
見当識とは、周囲の人や状況、時間、場所など意識する機能。
これが分からなくなることで「自分の今いる場所は?」「今日は何月何日?」「この人はだれ?」などの症状が出て徘徊に陥るパターン。
記憶の詳細⇓
②不安やストレス
周辺環境が変化したり、慣れない場所に行ったりすると大きな不安やストレスとなり徘徊に陥るパターン。
・新しい家や環境に慣れず、前の家に戻ろうと思う。
・ストレスや恐怖心でその場所から逃れようとする。
・不安や不穏になり動き回る。
・その場所にストレスを感じ、落ち着く場所に行こうとする。
●徘徊へどう対応するべきなのか
●怒らない
特にご家族の場合は、どうしてもその行動に対して怒ってしまうかもしれません。
しかし、怒ったとしても徘徊をしてまった理由が記憶や見当識障害の影響ならばまた忘れてしまいます。
さらに怒られたことで、そのときに感じた恐怖や嫌な気持ちだけが残り、そこに居たくない気持ちが大きくなってしまう可能性も高いです。
●理由を聞く
徘徊をする理由を聞いてあげる、耳を傾けてあげる(傾聴)
徘徊する理由があります。
でも返事が返ってくるとは限りません。答えたくても答えられないかもしれません。
それでもコミュニケーションをとることで何かのヒントになるかも。
もし理由が分かれば、その理由に沿って自分たちができることを考える。
例えば、施設入所している利用者さんが家に帰りたいと言われたら、その方が使っている部屋を自宅の部屋と少しでも似た空間作りをしてその場所で落ち着いて過ごせる部屋作りをする。
など、その理由やヒントから何かしらできることを考えることが大切だと思います。
もし何もできなったとしても、利用者さんのことが次の利用者さんのことも考えられますから。
●好きなことを提供する
一時しのぎにしかならないかもしれませんが、“お茶を出す”“カラオケに誘う”“将棋をする”などその方が好きなことや気がそれそうなことを提供することで落ち着いてもらう。
またすぐ動かれるかもしれませんが、一時的にでも落ち着てもらうことでそれがきっかけで徘徊が落ち着くきっかけにもなるかもしれません。
参考資料
https://www.irs.jp/article/?p=328
https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/symptom/haikai/