【介護】認知症の記憶障害
認知症になると一番早く症状として出やすい?と言われている記憶障害。
デイサービスでよく出る言葉は
「早く帰りたい、何時に帰るの?」
「ご飯はまだ?」
など、何度返答してもすぐに忘れてしまいます。
それ症状の1つなのだから仕方ないです。
●記憶とは?
<記憶の種類>
記憶は時間別に3つに分けられます。
①感覚記憶
一瞬だけの記憶。例えば、次々とすれ違う人の顔や服装など、一瞬目に入りますが、記憶に残ることは少ない。
②短期記憶
短期記憶は、数秒から数十秒の短い記憶。数字でいえば、普通7つ前後しか覚えられないことも。
※ワーキングメモリ(作業記憶)
短期記憶を発展させた作動記憶というものがあります。ワーキングメモリは短期的な情報の保存だけでなく、認知的な情報処理も含めた概念と言われています。
③長期記憶
エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶などの記憶があり、年の単位で長期間憶えている記憶です。
記憶の詳細はこちら⇩
●認知症の記憶障害の特徴
記憶は、記憶を司る脳の”海馬”という部位が障害され、記憶障害が生じます。
歳をとるにつれ、もの忘れが見られますが、もの忘れと認知症の記憶障害は以下のような違いがあります。
①短期記憶は失われやすい
記憶は、上記で述べた通り数秒から数分のことに対する短期記憶と、数か月~数十年前にわたる長期記憶に分けられます。
認知症の初期の多くは、短期記憶が低下しやすく、症状が進行すると長期記憶障害へ。
◎失われやすい短期記憶の例
・物を置いた場所
・話していた内容
・買い物に来た目的 など
◎保たれやすい長期記憶の例
・数年前の旅行
・子ども時代のできごと ・仕事のこと など
②体験をそのまますべて忘れる
体験した出来事などの記憶をエピソード記憶と言いますが。
もの忘れの場合、体験したことの一部分を忘れることは多いですが、その体験を丸ごと忘れてしまうことは稀、認知症の場合、体験した記憶をすべて忘れてしまう状態となるることが多いです。
◎エピソード記憶忘れ例
①友人と食事に行き支払を友人にしてもらう。
②友人と食事に行ったことを丸ごと忘れる。
③後日、返金してもらいたいと話すと、本人は「食べに行っていない」という。
④友人は「ウソつき」「とぼけている」と思う
③知識や体で覚えたことは覚えている
短期記憶やエピソード記憶は初期から失われていきますが、一方で物事に対する一般知識・教養である意味記憶、楽器や編み物などいわゆる体で覚える手続き記憶と呼ばれるものは失われにくいものです。
見当識障害
見当識:時間や場所、周囲の人々と自分との関係を理解し見当をつける能力。
見当識障害は多くの場合、以下の順に生じていくとされています。
①時間の見当識障害
何時なのか、何月何日なのか、昼か夜か、今はどの季節なのかなど、分からなくなってしまう。
②場所の見当識障害
今どこにいるのか分からず、道に迷う。
自宅が自宅と認識できなくなる。全く違う家に入ろうとしたり、家の中でトイレの位置が分からなくなるなど。
③対人関係の見当識障害
ご近所の方や普段会わない人から分からなくなり、次第に家族や近い人間がわからなくなってきます。
例えばお孫さんを自分の子どもの小さいころと認識したり、妻を近所のおばさんと認識したりと。
ただ、顔は理解できなくてもその人が安心できる存在かどうかは肌で感じることができることも多いと思います。
参考資料
https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/symptom/