【介護】DBD13とは~認知症行動障害尺度 ~
認知症行動障害尺度 DBD13と
認知症行動障害尺度 (Dementia Behavior Scale)DBD13は、認知症の周辺症状(行動・心理症状)を簡潔に感知できる評価指標。
認知症の周辺症状(行動・心理症状)を鋭敏に感知できる評価尺度として28項目からなる認知症行動障害尺度「Dementia Behavior Disturbance scale(DBD)」が1990年に発表。
この28項目あるDBDから因子分析をして、13項目を選び DBDの短縮版として発表。それが「DBD13」です。DBD13は、質問項目について5段階評価。認知症の軽度から最重度に至るまでの行動異常が網羅されている。
平成25年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業である「認知症の早期診断、早期対応につながる初期集中支援サービスモデルの開発に関する調査研究事業」などで、簡潔な認知症の周辺症状の評価としてDBD13を採用。
2021年から本格的に運用される厚生労働省の科学的介護情報システム「LIFE」で、科学的介護推進体制加算の項目としてDBD13が採用。
DBD13の評価
DBD13は、すべての項目が満点の場合4×13で52点となる。得点の変化と同時にどの項目に失点があり、どのように変化していくかも重要。
DBD13の点数
DBD13は点数で表現され、0点から4点の評価基準で点数化・採点。
0:全くない
1:ほとんどない
2:ときどきある
3:よくある
4:常にある
DBD13の評価内容
①同じことを何度も何度も聞く
②よく物をなくしたり、置場所を間違えたり、隠したりしている
③日常的な物事に関心を示さない
④特別な理由がないのに夜中起き出す
⑤特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける
⑥昼間、寝てばかりいる
⑦やたらに歩き回る
⑧同じ動作をいつまでも繰り返す
⑨口汚くののしる
⑩場違いあるいは季節に合わない不適切な服装をする
⑪世話されるのを拒否する
⑫明らかな理由なしに物を貯め込む
⑬引き出しやたんすの中身を全部だしてしまう
DBD13の項目ごとの意味
DBD13の上記13種類の項目には、それぞれ認知症に伴う周辺症状(BPSD)の程度等との関係性があり、以下のような意味を示す。
※認知症の早期診断、早期対応につながる初期集中支援サービスモデルの開発に関する調査研究から引用。
①は記憶障害を反映しており、軽度から中等度の認知症で観察される。介護者を最も悩ませる行動障害のひとつである。
②は記憶障害と一部取り繕い反応を示している。
③はアパシー、④および⑥は睡眠障害の存在を示す。
⑤および ⑨は興奮や易怒性の現れであったり、自信のなさの裏返しであったりする。
⑦と⑧は多動で、背景には不安や常同行動の要素がみられる。
⑩は時間の見当識障害と同時に、実行遂行障害と自己評価の障害を反映している。
⑪ は病識のなさ自己評価の障害、⑫は実行遂行障害、記憶障害と同時に潜在的な不安が観察されることがある。
⑬は多動や実行遂行障害、時には興奮や易怒性が背景に存在することがある。
DBD13以外の評価
認知症の症状の評価として臨床や介護分野でよく用いられる評価スケールには、「改定 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」や「Mini-Mental State Examination(MMSE)」などがある。これらの認知機能の評価スケールは認知機能そのもののスクリーニング検査として用いられることが多い。
HDS-Rは20点以下が認知症疑いのカットオフ値が設定されていることや、MMSEは23点以下が認知症疑い、27点以下は軽度認知障害(MCI)が疑われるというカットオフ値が設定されているなど、実用的なため広く使用される。