OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

頚椎症 ~しびれ・頭痛があったら~【整形】

頚椎症 

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1.頚椎症 とは?

頚椎(首)は、首から腰までの中でもっとも可動性がある関節です。

変形性脊椎症性変化をきたすと頚椎症となります。

加齢や首の不良姿勢、外傷、スポーツ傷害などによって頚椎が変性を生じた状態。

 

 

2.症状は?

頚椎症が及ぼす症状としては

 

①頚部神経根症

②頚椎症脊髄症  

 

がある。

 

 

①頚部神経根症Cervical spondylotic radiculopathy

<病態>
鉤状椎体関節(Luschka関節)の肥大

椎間関節の骨棘により椎間孔狭くなり、神経根が圧迫されてしまう。

40~50代に多く、罹患神経根は可動性の高いC7が最も多い

 

 

<診断のポイント>
症状

症状のはじめは、ほとんどが片側性頚部痛出現する

 

~問診の大切なポイント~

部位が肩甲上部、肩甲骨上角部、肩甲間部、肩甲骨部のいずれかであるため、

初診では「首あるいは肩甲骨のあたりが痛みましたか??」と問うことが、

問診の大切なポイントとなる。

 

遅れて上肢痛、手指のしびれが生じてくる。

しびれが頚部痛よりも先に来た場合、絞扼性末梢性障害を疑うべきである。

 

しびれは、うがい、洗髪など頚椎後屈(首を後ろに倒す)で増強する。

 

 

<理学的所見>

①顔を前に倒して打鍵器で首の後ろ(棘突起)を叩くとすると、患側上肢へ放散痛が生じる。

Spurlingの頸部圧迫テスト:首を後ろに倒して頭頂部を圧迫すると、患側の頸部から肩、上肢、手に放散痛が出現あるいは増強する。

 
<治療の選択>

保存的治療が原則。

70~80%の患者で良好な結果が得られることが多い。

筋力低下を合併するものでも3~4ヶ月の保存療法で筋力の回復が得られることが多い

 

4ヶ月以降では症状の改善が少なく、それ以降でも疼痛、しびれが強く残存し、筋力低下があるものでは手術の適応がある。

 

手術法は前方固定術、後方椎間孔拡大術があるが、固定がいらないなどの利点から、後方椎間孔拡大術を好んで用いている

臨床成績は疼痛に対しては良好であるが、筋力低下は手術時期が遅れた例では必ずしも良好でなく、早期の手術が勧められる。

 

 

②頚椎症性脊髄症 Cervical spondlotic myelopathy

<病態>
椎体後方骨棘、肥厚した黄色靭帯などの脊髄症性変化により、頚髄が圧迫され脊髄障害をきたす。

中年期以降に発症する。

年代別の人口比でみると70歳代の高齢者に最も多い

上肢の運動知覚障害を主症状とし、下肢症状を欠くか軽微である。

 

<診断のポイント>
症状

多くは手の痺れで発症する。

両側同時のことが多い(左右いずれかに出てで両側になることが多い)。

頸部痛での発症は見られない。しかし、手足のもつれ、四肢、体幹に放散する電撃痛なども初発症状としてみられる。


上肢:手指の巧緻性運動障害により衣服のボタンの止め外し、書字、箸の使用などが困難しくなる。

下肢:歩行障害がみられ、走ることや、立ち上がって歩き始める動作、階段昇降が困難になる。

 

<理学的所見>

①筋力の低下、腱反射低下、知覚障害が現れる。

②腱反射亢進、知覚障害、皮膚反射消失、排尿障害を生じる。

③ホフマン徴候が陽性で、バビンスキー反射などの病的反射がみられる。

 

ホフマン徴候:中指中節と末節関節部を検者の示指と中指で軽くはさみ、検者の母指で被験者の中指を爪側からおさえて、検者の母指を急激に離す。母指を含めて他の指の屈曲が現出すれば陽性所見となる。引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ホフマン反射

バビンスキー反射:足裏の外側を踵から足指先にむけて針のようなものでゆっくりと強くこすり上げると、足の親指が足の甲(足背)の方にゆっくり曲がる。引用:

https://ja.wikipedia.org/wiki/バビンスキー反射

 

grip and release test:両手の握力低下、正常では少なくとも10秒間に20回以上できる手指の握り開きがうまくできない。

⑤Jacksonテスト:頚椎を軽く伸展させ、前額部に手を当て軸方向に圧迫する。

 

 

<治療の選択>

知覚症状が主で、運動障害が軽度の場合は、頚椎ソフトカラー、牽引などの保存療法などを行う。

 

中等度以上の例には手術を勧めることが多い。

このレベルでは自然寛解は難しく、経時的に脊髄症が悪化ことが多い

術後予後は、年齢と罹病期間が大きく影響することから、手術に移行する時期によって大きく変化する。

手術による症状の改善率は平均50%~60%と言われている。

 

参考文献

山口和克:病気の地図帳.講談社,2005.

広畑 和志 等:標準整形外科学 第六版 株式会社医学書院 1997年6月1日

総合リハビリテーション 第33巻8号 2005年8月 P739~742