【情報】月経前症候群(PMS)
月経前症候群とは
月経前症候群(PMS)は、月経が開始する3~10日ほど前から身体的、精神的に現れる不快なさまざまな症状が現れ、これらの症状は月経が開始すると同時に改善するのも特徴な症候群である。
月経のある女性の70~80%は月経前に何らかの不快症状を感じるといわれており、症状の程度は軽度なものから重度と様々で、日常生活に支障を来す場合はPMSと言われる。
原因
女性の性周期
女性には25〜38日間の性周期があり、月経の始まりから次の月経までが1つのサイクル。
卵胞期:性周期前半は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが多く分泌され、卵巣内の卵胞が成熟
排卵 :周期のちょうど14日目頃に成熟した卵胞から卵子が排出。
黄体期:排卵後は妊娠に備えて黄体からもうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンが多く分泌。
二週間ほどして妊娠が成立しなければ、妊娠のために準備された子宮内膜が剥がれ落ちて月経が生じ、次の性周期に移行します。
PMSの原因
PMSの原因不明であるが、女性ホルモンの変化が関与していると考えられる。 黄体期はエストロゲン・プロゲステロンが多く分泌さるが、黄体期後期に入るとホルモンが急激に低下、脳のホルモンや神経伝達物質の変化が生じ、PMSの症状が現れると考えられる。ただし、脳のホルモンや神経伝達物質は女性ホルモンだけでなく、ストレスなどの影響を受ける。そのため、女性ホルモンの変動だけが原因ではなく、さまざまな要因が関わっていると考えられる。
症状
PMSは身体症状と精神症状があり、これらの症状は、月経の3~10日ほど前から始まり、月経の開始とともに改善傾向と向かう。
身体症状
下腹部痛、頭痛、腰痛、乳房痛など
自律神経失調症状
動悸、悪心、めまい、脚のむくみや体重増加など
精神症状
イライラ感、抑うつ、不安・緊張感、易疲労感、不眠、無気力、判断力の低下など
その他
重症なケースでは、イライラ感や怒りが強くなって他者を無意識に罵倒したり、攻撃したりすることも。
検査・診断
PMSを診断するうえで重要なものは詳細な問診。問診では症状や発症時期、月経周期、妊娠・出産歴、生活環境などさまざまな項目をチェックする。また、子宮や卵巣などに異常がないか超音波検査が行うこともある。
重症なケースでは、うつ病などの他の精神疾患との鑑別を行うために、精神科や心療内科などの受診も必要になることもある。
治療
セルフモニタリング
基礎体温測定に合わせて、気になる不快症状についてセルフチェック。症状の内容や程度を細かく記載するだけでなく、その日の出来事や食事の内容などを確認することで自身の体調変化のパターンを知る。
生活習慣改善
十分や睡眠、適度な運動、バランスの良い食事によって、症状の改善を図る。月経前にむくみや頭痛が気になる方は塩分の取り過ぎに注意(スナック菓子やインスタント食品など)。
低用量ピル
排卵を抑え、ホルモンの値を一定に保つ事で、月経前の不快症状が改善する場合があり、PMSの治療目的でよく使用される。
抗うつ剤
PMSの中でも、イライラや憂うつ、不眠などの精神症状が強く出る場合がある。月経周期に合わせてくり返される抑うつ状態ともいえる。何らかの強いストレスが引き金とまることが多く、排卵から月経前の期間に合わせて、抗うつ剤や精神安定剤の内服が必要な場合もある。
アロマセラピー
原因のひとつであるストレスをセルフケアする方法で、アロマセラピーも進められている。
イライラや落ち込みのある人:ベルガモットやネロリ、グレープフルーツ、オレンジなどの柑橘類オイル。
女性ホルモンバランスの崩れ:クラリセージ、ローズ、ゼラニウムなどのあるオイル。
不眠:リラックス効果のあるラベンダー。 などがある。