【介護】アリセプト(ドネペジル)とは
アリセプトとは
アリセプト(ドネペジル)はアルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症の症状進行を抑制する薬である。認知症治療薬の中でも古くから使用されている薬である。
アリセプトの種類・剤型
①口腔内崩壊錠(OD錠)
少量の水分で溶けるように設計された薬。口の中に入れると唾液で瞬時に溶けるため、水なしで飲むことができる。飲み込む力の弱い方によい。
②ゼリー剤
カップに入った一口サイズのゼリー状の製剤。食事でのムセなど飲み込む力が弱い人に適している。
③ドライシロップ
粉末を水に溶かして液体として飲むことができ、粉末のまま飲むこともできる。
各疾患の用法・用量
アルツハイマー型認知症
開始用量の3mgから開始する。少量の開始理由は、副作用の出現の有無を見極めるためと、薬を内服することで起きる神経伝達物質の変化に身体を慣らすため。また、脳の活性化を促す薬であるため、昼夜のリズムを作っていく目的で朝に処方されることも多い。薬がの半減期が長いため飲む時間による血中濃度への影響は少ないとされている。
レビー小体型認知症
臨床試験の結果レビー小体型認知症に有効であることが確認され、2014年よりレビー小体型認知症への適応が拡大された。
アリセプトの効果・作用機序
脳は神経伝達物質を介して記憶・学習を行なっている。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では神経伝達物質の1つであるアセチルコリンが脳内において減少していることがわかっている。
脳内にはアセチルコリンを分解する役割を持つ酵素であるアセチルコリンエステラーゼがあり、アリセプトはこのアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内でのアセチルコリンの濃度を高め神経伝達を助ける働きがある。
アリセプトの副作用について
飲み忘れた場合は、基本的には気が付いた時に服用。
※ただし、いつも飲む時よりも12時間以上離れていたときは、次の日から通常通りに飲む。
この薬は半減期が長いため、1日飲まなくても影響は少ないです。飲んだかどうかわからなくなってしまった場合は、誤って重複して飲むことを避けるためにその日はそれ以上飲まずに翌日から内服を再開する。
代表的な副作用
多い副作用として、食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢などの消化器症状がある。
消化器症状
消化管における神経伝達物質の変化により生じると考えられており、多くは内服が開始後および増量後に出現。多くは様子をみているうちに体が慣れてきて自然に軽快すること多い。
症状が強い場合は、整腸剤や吐き気止めなどを併用し継続できるが、内服の継続有無は主治医の判断や副作用の程度で判断する(重度の場合には基本的に中止または減量)。
精神症状
興奮やイライラ感、落ち着きのなさなどが出現することがある。これは脳内のアセチルコリンが増加することにより、神経細胞が刺激されて生じるものと考えられている。投与開始や増量に伴い生じた場合は慣れてくるに従い自然に軽快することもある。
徐脈・不整脈
心臓の病気をお持ちの方は内服にあたり注意が必要。
パーキンソニズム
アリセプトにより脳内のアセチルコリンとドパミンのバランスが崩れ、パーキンソニズムの悪化・出現を招く可能性が指摘されている。
アリセプトの特長
認知症の周辺症状(BPSD)の中でも、意欲低下、無関心、抑うつといった症状への改善効果が報告されている。また、2015年にレビー小体型認知症に適応の薬となっている。
コリンエステラーゼ阻害薬の中で、唯一高度のアルツハイマー型認知症に適応のある薬。軽度から高度まで適応があるため、途切れのない治療を行うことができる。1日1回の内服で済むため、飲み忘れの防止や本人・介護者の負担軽減になる。