【リハビリ】筋緊張を知ろう
筋緊張とは
筋緊張異常(亢進・低下)
筋緊張亢進の病態:痙縮
痙縮でみられる現象:折りたたみナイフ現象
パーキンソン病でみられる現象:筋強剛
筋緊張亢進時に感じる抵抗感:鉛管様現象、歯車様現象
筋強剛と痙縮が重複:強剛痙縮
筋緊張低下の病態:弛緩、一見弛緩様
弛緩:常に筋緊張が低下
一見弛緩様:安静時は筋緊張低下。深部腱反射は亢進。
※臨床的には、筋緊張異常の要素は、すべてが「痙縮」「筋強剛」「弛緩」のような疾患そのものに由来する一次的障害というわけではない。筋短縮や皮膚短縮といった二次的障害も筋緊張を亢進させる要因である。
筋緊張の評価
①静止時筋緊張検査
ある姿勢を保持させた状態(背臥位、座位、立位など)での筋緊張を、視診、触診にて観察する。
②他動運動時筋緊張検査
筋を他動的に伸張させて、その抵抗感から筋緊張の状態を検査する。できるだけ安静にさせて検査を行なうことが原則となる。一般的に用いられる方法としては、背臥位で麻痺筋を伸張させる方法がある。
痙縮:伸張速度が速くなるにつれて筋緊張程度が亢進し、その亢進する部位が緊張初期の場合。
一見弛緩様:筋緊張速度を速くしたときに伸張初期に抵抗感を感じるがある。
弛緩:筋伸張速度を変化させても抵抗感は感じないが、弛緩しているため重い感じがする。
強剛痙縮:速度に関係なく抵抗感を感じる。
③アシュワーススケール(MAS)
他動運動での筋緊張の客観的検査法
④筋緊張亢進程度を軽度、中等度、重度の3つに分類する方法
軽度:他動的伸張時の抵抗感は殆ど感じることなく、可動域全域を動かす事が出来る。しかし、動作におけるスピード、持久性、巧緻性には欠ける。
中等度:他動的伸張時の抵抗感はある程度感じるが、可動域全域に渡り動かすことができる。
重度:他動的伸張時に高度の抵抗感を感じ、可動域全域を動かす事が困難。
⑤動的時筋緊張検査
歩行時の評価:(例)麻痺側肘関節、手関節、手指が屈曲する。
※CVA患者の「筋力低下」を用いる場合は、麻痺側運動機能が正常である場合(ブルンストロームステージⅥ)。
筋緊張異常のアプローチ
①二次的障害(皮膚・筋短縮)のアプローチ
皮膚の伸張:皮膚短縮の両端に触れて皮膚だけを伸張。圧が強すぎないように。
筋の伸張 :ダイレクトストレッチ
②一次障害に対するアプローチ
③正常動作の獲得
本人の動作を適切な方向に自然に誘導することを目的にし、本人を無理に動かすのではなく本人が動きたいと思う方向に誘導する。
まとめ
筋緊張異常に対するアプローチとしては、二次的障害へのアプローチ(皮膚・筋のストレッチ)を第一に行い、次に一次的障害へのアプローチ(持続的伸張など)を実施する。これらのアプローチをもとにして動作指導を行なう。