OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【精神】強度行動障害

【精神】強度行動障害

 

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●強度行動障害とは?

強度行動障害は、自分や人を傷つけたり物を壊したりするなど、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が高頻度で起きる。厳密には医学用語ではなく、行政・福祉において使われている用語。1989年の行動障害児者研究会による報告書において、初めて「強度行動障害」という言葉が使われた。この報告では、以下のように定義されている。

精神的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(噛みつき、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇の困難なものであり、行動的に定義される群。家庭にあって通常の育て方をし、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態。

 

●強度行動障害の特徴

・自傷行為

・強い他傷

・激しいこだわり

・激しい物壊し

・睡眠の大きな乱れ

・食事関係の強い障害

・著しい多動

・著しい騒がしさ

 

●強度行動障害の判定基準

強度行動障害は医学的な診断名でないため、行政・福祉的な支援を行う上での判定基準があり、主に支援者の間で使われる。強度行動障害の種類や程度、頻度を評価することで、その人に合った支援につなげることが目的。

 

①強度行動障害判定規準項目

強度行動障害を「ひどく自分の体を叩いたり傷つけたりする等の行為」「激しいこだわり」といった項目において、行動の頻度と強度から評価するもの。11項目において、得点(1点・3点・5点)を付け、合計得点 が10点以上を強度行動障害と定義。

現在は福祉型障害児入所施設において、強度行動障害児特別支援加算にかかる判定基準として使われてる。

②行動関連項目

2014年度に開始された障害支援区分の認定調査項目のうちの「行動関連項目」は、行動援護、重度訪問介護、重度障害者等包括支援などの支給決定の基準点を算出するもの。突発的な行動、コミュニケーションなどの12項目において0~2点で評価し、10点以上が対象。

③ABC-Jによる評価

ABC-Jは異常行動チェックリスト日本語版。「興奮性」「無気力」「常同行動」「多動」「不適切な言語」の項目で異常行動を評価することができる。この検査は行動障害に対する治療の効果の判断基準として使用されている。

 

●強度行動障害の原因

強度行動障害は、興味関心の限定やこだわり、それに対する過度な執着性や感覚の過敏性といった障害特性に環境がうまく合ってないことで、人や場に対する嫌悪感や不信感を高めてしまうことが原因。

特に重度の知的障害や自閉症スペクトラムがある人に発生することが多いと言われており、特性と環境によって、知的障害・発達障害が軽度の場合でも強度行動障害が見られることがある。

コミュニケーションの苦手さ

「分からない」ことに対する不安や不快感があってもそれがうまく「伝えられない」ことから、環境に対する嫌悪感や不信感が高まり、強度行動障害が起きると考えられる。

こだわりが強く余暇が乏しい

こだわりが強かったり、興味や関心が限定的な場合があり、強い執着によりできることやすることが極端に少なかったり、暇な時間に自傷行動をしてしまうこともある。

衝動性のコントロールが苦手

衝動性を抑えることが苦手な場合、自分の行動をやめることが苦手、感情的に行動してしまうことなどがある。