【介護】食後低血圧
食後低血圧とは
食後低血圧とは、食後に血圧が過度に低下する状態。めまい、ふらつき、転倒などの症状がみられる。
食後低血圧は、高齢者では3人に1人という高頻度で起こると言われており、若年者ではほとんどみられない。
特に食後低血圧を起こしやすいのは・・・
①血圧が高い方
②自律神経系を制御している脳の中枢に異常が出る病気がある方
※例として、 パーキンソン病、 多系統萎縮症、 糖尿病などがある。
原因
①食後、腸が食物を消化するには大量の血液が必要になり、腸に血液が集まる。
②全身の血圧を維持しようとして心拍数が上昇、腸以外の部分の血管が収縮する。
③しかし、場合によっては、このような仕組みが十分に機能しないことがあり・・・
④血流は正常に腸へ集まるが、血圧を維持できるほど十分に心拍数が上昇せず、血管収縮も起こらないため、その結果、血圧低下が生じてしまう。
症状
食後低血圧では、めまい、ふらつき、気が遠くなる、転倒などが起こる。
高齢者で食後にこのような症状がみられた場合は、食前と食後の血圧を測定して、原因が食後低血圧かどうかを確かめる必要があります。食後低血圧の診断には、食前と食後に血圧を測定。
治療
食後低血圧の症状がみられる人は・・・
・服薬のタイミングと食事前後の活動の調整。
・食前に降圧薬を服用しない。
・食後は横になって休む。
・降圧薬の服用量を少なくする。
・少量の低炭水化物食を摂取する。
などの対処をすることで食後低血圧の症状を軽減できる可能性がある。場合によって、食後に歩くことで血流が改善しますが、歩くのをやめると血圧が低下する可能性がある。
服薬の場合・・・
①非ステロイド系抗炎症薬(NSAID):塩分を体内に保持することにより、血液の量を増加させる。
②カフェイン:血管収縮を促す。朝食前にだけとるようにすれば、眠れなくなることも、カフェインの作用に対して耐性が生じることもない。
③その他:オクトレオチドという薬を注射することで、腸への血流を減らすこともある。
日常生活での予防策
①食べすぎない:食べすぎ、とくに炭水化物(ご飯、おこわ、麺類、パン類など)を摂りすぎると、食後低血圧を起こしやすくなるので注意が必要。
②ゆっくり食べる:早く食べることで、腸に血液が集まりやすく、食後低血圧を起こしやすくなってしまう。休憩のため箸を置きながら、ゆっくり時間をかけて食べるように心がける。
③カフェインをとる:カフェインには血管を収縮させて、食後低血圧を予防する効果がある。コーヒーや緑茶などを食前・食後に飲むとよい。ただし不眠には注意。
④食後にしっかり休息をとる:食後低血圧の疑いがある方は、食後1時間以上はゆっくり休息をとると良い。なお、こうした予防でも症状が改善されない場合には、早めの受診をする。