【情報】手話~コミュニケーションの手段~
●手話とは
一般に言葉は音声によって表出されます。音声言語に基づいて文字(書記言語)が発達、身ぶりは言葉の発達に重要な役割を果たす。
聴覚に障害がなければ、まず音声言語を身に付けて、その後で文字を学ぶ。
手話は目で見る言語で手の形や位置、方向、顔や体の表情など、手話を構成する複数の要素が同時に空間に展開されます。そこから音声言語とは違う手話の様々な特徴が生まれる。
①手話はイメージを表現する
具体的なイメージを表現する手話。
目で見て分かりやすいがそのイメージに意味が限定される。
②手の動く方向で意味が決まる
手話は動詞が多い。手の動きの方向で意味を決める手話もある。
③手の位置を利用する
手話では両手が使えるため片手だけで表せる手話もある。
④二つのことを同時に表現
手話では空間のイメージをうまく利用したり、両手で別々のものを表しそれを組み合わせたりすることができる。
⑤顔の表情も重要
手話では顔の表情や身振りを使い感情の強弱をつける。
⑥手話と日本語の意味のずれ
日本語の意味と手話の意味と一致しないことがあり、手話の意味が日本語とずれていることがある。
英語と日本語では同じものに対しても意味の区切り方に違いがある場合があります。これは文化の違いによるもの。
⑦複合手話で語彙を豊かになる
手話も複数の手話を組み合わせて、手話の熟語を作って新しい意味を表すことができる。
●手話の特徴
①声には「位置」がない
手話には「位置」がある。手話はその手話を行う位置で意味が違ってくる。
②手話はミラーイメージ
手話は表す人の見ているイメージとその手話を受け取る人のイメージは鏡に映ったイメージを見るように反対になっている。
手話の場合は視覚映像による伝達になるため、話し手と受け手の視覚映像は対称的な形をしている。
③事物と運動
日本語は事物と運動をわけて表現することが多い言語。
日本語では事物と運動をきりはなして表現します。中国語では事物と運動を結びつけたままで表現します。
●手話の分類
①日本手話
目で見て受け入れる言語であるという手話の特徴を最大限に生かして文法関係を組み立てているのが日本手話。日本語の文法にとらわれないで表現。
<日本手話の特徴>
手話が三次元の空間に構成される言語であることを最大限に利用して,語と語の位置関係や手話の語の動きの方向などで文法関係を表す。写像性を利用して作られている手話単語を多用。日本手話の語彙と日本語の語彙とは一対一に対応しないことが多くなる。口話とは併用しない。
②日本語対応手話
日本語を音声でなく手指で表そうとするものが日本語対応手話。
昭和45年から栃木県立聾学校で「同時法」として日本語に対応した手話を使った聾教育が始まる。幼稚部から小学部3年までは指文字。小学部4年から日本語に対応した手話を導入していくという方法。
<日本語対応手話の特徴>
語順は日本語の語順にあわせる。助詞や助動詞は手指や口形で示す。
同時法手話の語彙は日本語の単語のすべての意味を表す。口話との併用を前提とする。
音声言語を話しながら手話の単語を並べることをシムコムという。
③中間型手話
日本語対応手話と日本手話の中間にある手話というニュアンスで中間型手話と呼ばれる。
主に成人の聴覚障害者と手話を理解する聴者との間で使われ、日本語対応手話の次の2つの面で日本手話に近づけたもの。
⑴手話の単語の面で言えば,手話の単語が写像性に基づいているということを尊重。
⑵基本的には日本語の語順に従って表現するが,手話が空間に展開する言語であるということを積極的に利用。
<中間型手話の特徴>
語順はおおむね日本語の語順に従う。
助詞や助動詞は示すこともあり示さないこともある。
語と語の位置関係や語の動きの方向などで文法関係を表すこともある。
単語としては,伝統的手話の単語を使うことが多い。従って,一つの日本語の単語に対して,文脈に応じていろいろな手話単語を用いる。
口話と併用しやすいときは口話と併用するが、併用しにくいときは手話だけになることが多い。
資料
http://www2s.biglobe.ne.jp/~kem/library/kawasaki.htm