【情報】吃音
●吃音の症状
吃音:話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつ。
単に「滑らかに話せない(非流暢)」と言ってもいろいろな症状があり、吃音に特徴的な非流暢には、以下の3つがあります。
<吃音の発話特徴>
連発:音の繰り返し 例:「か、か、か、からす」
伸発:引き伸ばし 例:「かーーーらす」
難発、ブロック:言葉を出せずに間があいてしまう
例:「・・・・・からす」
※発話の流暢性(滑らかさ・リズミカルな流れ)を乱す話し方を吃音と定義( ICD-10, WHO)。
●分類と原因
<分類>
吃音は“発達性吃音”、“獲得性吃音”に分類。
①発達性吃音の特徴
吃音の9割は発達性吃音と言われています。
・幼児が2語文以上の複雑な発話を開始する時期に起きやすい。
・幼児期(2~5歳)に発症する場合がほとんど。
・男性に多く、その比は2~4:1程度。
・小学校以降に発症することもある。
・発症率(吃音になる確率)は、幼児期で8%前後。
・発症率に国や言語による差はほとんどない。
<要因>
体質的要因:子ども自身が持つ吃音になりやすい体質的な特徴
発達的要因:身体・認知・言語・情緒が爆発的に発達する時期の影響
環境要因 :周囲の人との関係や日常生活上の出来事による影響
*体質的要因(遺伝的要因)の占める割合が8割程度という報告も。
②獲得性吃音の特徴
獲得性神経原性吃音:神経学的疾患や脳損傷などにより発症する。
獲得性心因性吃音:心的なストレスや外傷体験に続いて生じる。
どちらも発症時期は青年以降(10代後半~)に発症すると言われています。
●発達性吃音の発症
①発達性吃音は多くは軽い繰り返し(例:あ、あ、あ、あのね)から始まる。
②うまく話せる時もある(症状に波がある)。
③7~8割くらいが自然に治ると言われている。
④残りの2~3割は徐々に症状が固定化。楽に話せる時期が減っていく。
⑤症状が進むと、話そうとする最初の言葉が出なくなることが多い。
●心理
思い通りに話せないことに、焦ったり、イライラしたりする。
吃音の話し方を「おかしい」「いけない」「恥ずかしい」などと思う。
上手く言葉が出ないことを心配・不安になる。
言いにくい言葉を言いやすい別の言葉に言い替える(「赤」の代わりに「レッド」というなど)
発話する場面を避ける(答えが分かっていても、「わかりません」と言うなど)
お当番さんや発表の場面が嫌い。
うまく話すことの出来ない自分を否定的に捉える。
●話すときの行動や工夫
①注目行動
・最初の音や単語に注目する。
・経験から発話前に言える・言えないと判断する。
・体の緊張状態に注意を向ける(喉に力が入ってきた、口に力が入ってきたなど)。
・話した結果に注目し良かった悪かったと判断する。
・いつも話すことを意識する。
②意図的発話
・言葉は意識して出すものだと考え、意識して一生懸命に言葉を出そうとする。
③工夫
・喋る時に舌や口の動きを意識する。
・意識的に口を大きく動かす。
・お腹に力を入れて声を出す。
・息をゆっくり吐きながら話す。
・他人には分からないようにリズムを取って話す。
・速度を落としてゆっくり話す。
・「え~と」「あの~」などの言葉を言いたい語の前に意識して入れて話す。
・他人には分からないように体の一部を動かしながら話す。
・声が詰まると姿勢を意識して変えたり、色々な物に触ってみたりする。
・声に出して言う直前に頭の中で言えるかどうか一度確かめる。
・声に詰まったら笑われると思ったら言うのを止める。
・質問されても分からない振りをして(本当は分かっているが)言うのを止める。
参考資料
http://www.rehab.go.jp/ri/departj/kankaku/466/2/
http://www.tsuzuki-kitsuon.jp/235716764