【脳】神経調節性失神~自律神経が関係します~
失神といっても様々な原因で起きます。
心臓や脳の疾患、パニックになって起こることも・・・。
今回は自律神経が不安定になって起こる失神を調べました。
●神経調節性失神とは
失神とは、一過性に意識消失を起こす状態。
失神は、一時的に脳に必要な血液が行き届かなくなるが、比較的速やかに数分以内で意識の回復がみられます。
前駆症状
・頭が重たい
・身体がふわふわ浮いた感じ
・冷や汗をかく
・ものが二重に見える
・血の気が引いて気が遠くなる
・腹が痛い、むかむかする、吐いてしまう など
●神経調節性失神の種類と誘因
※神経調節性失神には血管迷走神経性失神、状況失神、頸動脈洞症候群が含まれる。
<失神の種類>
血管迷走神経性失神:長時間立ったままや座ったままの同じ姿勢で仕事をしたり、痛み刺激を受けたり、不眠や肉体的疲労が長く続いたり、精神的恐怖を体験することが誘因となって起こる。
状況失神:日常のある特定の動作(排尿、排便、飲み込み、咳き込みなど)の時に起こる。
頸動脈洞症候群:衣服の着替えや重たい荷物の上げ下げで極端に首を回したり伸ばしたり、またネクタイなどをきつく締めたりすることが誘因となって起こる。
このタイプの失神は発症に自律神経反射が深く関与しています。
自律神経は無意識のうちに体の機能を調節する神経で、自律神経反射は自律神経によって起こる生体反応のことです(心臓を動かす、汗をかくなど)。自律神経は2つに分けられ、通常は交感神経と副交感神経がバランスを保って心身の機能を調節しています。
神経調節性失神はさまざまな誘因
交感神経と副交感神経(迷走神経)のバランスが悪くなり、交感神経抑制と迷走神経緊張が起こることで血圧が低下したり、脈が遅くなったり、あるいは両者が起こって失神に至る。
後遺症を残りにくく予後は良好な疾患ですが、2~3年間に3人に1人の頻度で再発を認めるようです。
●早期発見のポイント
早期発見のために・・・
失神は短時間で意識を回復し後遺症も起こらないことが多いため、医療機関を受診しない方も多い・・・。
・前駆症状が出現し失神に居たらなった人も病院を受診。
・失神に至った人は医療機関を受診して精密検査を受けることが重要。
※今後の適切な予防・治療を行うために、どのような失神か知ることが必要。
神経調節性失神の場合
診断方法として
・前駆症状の起こり方を主体とした詳細な病歴聴取。
・チルト試験※1
・頸動脈洞マッサージ※2
チルト試験:※1
傾斜台に仰向けで安静にしたあと、傾斜台を起立させ受動的に立位状態を維持し、意識状態、血圧、心拍を観察する試験です。多くの場合、失神症状の誘発、収縮期血圧の60~80mmhg未満への低下、安静時と比べて20~30mmhgの収縮期血圧低下をもって陽性とします。
頸動脈洞マッサージ:※2
主に医師が患者に向けて行う頸部皮膚表面から頸動脈洞をマッサージする方法。
患者の頭部を左側へ向け、甲状軟骨(声帯を守るように覆っている軟骨)上縁の位置で拍動を最も触知する頸動脈を探すことで右頸動脈洞を特定し、右手指を2本使って、頸動脈を押すように5~10秒間しっかりと上下にマッサージを行う。このマッサージを5~10秒間隔をあけて2~3回繰り返す。
失神を起こす疾患に起立性低血圧、心疾患、脳血管障害があり、失神は突然死など生命にかかわるような疾患もあります。そのため、特に早期の診断と適切な治療が必要になります。
●予防方法
神経調節性失神と診断されたら、まず失神を起こさないための生活指導、増悪因子の是正が予防となります。
自律神経活動のアンバランスで起こる病態を理解してもらい、普段の日常生活では取り組みやすい予防法から実践することが大切です。
<日常生活での予防>
・夏場を中心として十分な水分をとり脱水を防ぐ。
・長時間の立位・座位保持を避け、できるだけ小まめに姿勢を変える。
・アルコールの多飲を避ける。
・極端な塩分摂取制限を行わない。
・十分な睡眠をとり、規則正しい生活のリズムをつくる
・失神を起こした状況と同じ状況を避ける。
<前駆症状が起きたら>
・前駆症状を自覚した場合は、その場で速やかに寝た姿勢やしゃがみこむ姿勢に体位変換をする。
・足踏みや足を交差する、手を力いっぱい握りしめることなどいわゆる失神回避方法が効果的。