【介護】褥瘡~介護は褥瘡との闘いでもあります~
病院でも老健や特養でも、そして在宅でも一番気を付けているだろう褥瘡。
数時間に1回体位交換をしたり、褥瘡予防のベッドマットやエアマットを使ったり。
皮膚管理をしたりと毎日の介護の中で注意していると思います。
●褥瘡の始まり
高齢者の寝返りや起き上がり
硬めのマットレスが選択される。
⇒就寝中など寝返りを行うことが出来なければ、褥瘡リスクは高くなる。
⇒体位変換が出来なければ、褥瘡予防には柔らかいマットレスを選択。
●外力と応力と剪断力
褥瘡になる大まかな流れ
①(臀部や大腿骨など)負荷がかかる。
②骨と座面間の血管を含む軟部組織に外力が掛かる。
③軟部組織内に応力が発生。
④血管を圧迫する。
⑤組織が破壊される。
⑥①~⑤を繰り返すことで褥瘡となる。
剪断力(ずれ)
剪断力とは:垂直方向に対する滑り方向の力。
<ずれの流れ>
①車椅子上から身体が落下もしくはずり落ちる。
②皮膚だけシートと接しているが、骨が滑る。
③皮膚と骨間の軟部組織が変形、歪みが生じる。
④結果、血管が閉塞する。
※ベッドのギャッジアップ時でのずれでも起こる。
減圧と除圧
<接触圧の低下させるには>
接触部分の柔らかさ以外に、身体側面での支持や支持物が重要になる。
①クッションの厚さ
・接触部分での接触圧の減少
・接触面積の拡大
②クッションの沈み込み
・低反発素材等の利用が必要。
●車椅子座位が皮膚に与える影響
スリングシート(座面や背面)による影響
①スリングシートが皮膚軟部組織と接触。
②骨突出部だけで荷重を受ける。
③接触面積が狭くなる事で接触圧は高くなる。
④その状態でスリングを持ち上げることで更にずれを生じさせる。
車椅子による影響
①長時間車いすに座っている。
②身体を前後方に押えられる。
③脊椎棘突起部や仙骨部を圧迫する。
④その部位に褥瘡が発生。
疾患や加齢による身体機能低下
身体機能の低下により座位保持困難となると・・・
・奥行きが長い車椅子⇒骨盤後傾⇒脊椎後彎
・スリングシート⇒骨盤傾斜⇒脊椎側彎や身体の倒れを招く
この姿勢は骨盤の皮膚軟部組織に影響を与える
①車椅子に背がもたれ掛る事で、骨盤が前方へ滑り出す力になる。
②骨盤が傾斜すると片側の坐骨結節に多く荷重がかかる。
③滑り出す力が車椅子からの転落に繋がる。
④滑り出すときの剪断力が褥瘡を発生させる。
認識による影響
・車椅子上でのクッション使用を全く考慮しない。
・座布団や円座の場合は逆に臀部下の接触圧を高めてしまう。
・身体拘束した場合、除圧が困難となり臀部や背部への褥瘡リスクを高めてしまう。
・ベッド上での除圧は行うが、車椅子上では何もしない座りっきりになる。
●使用者の評価
車いすを選択前に必要なこと
・使用時間
・褥瘡リスク(皮膚状態や栄養状態など)
・座位能力
・関節・筋の運動評価
・移動能力を評価
褥瘡リスク
褥瘡の全身的リスクの評価は・・・
ブレーデンスケールやK式スケールなどを用いて評価していくと分かりやすい。
車椅子上では・・・
・臥位と比べ座位では、接触面積が減少する、スケールでの褥瘡リスク以上にリスクは高くなる。
・姿勢悪化や身体拘束は更に褥瘡リスクを高める。
●除圧について
除圧=負荷時間の間隔の軽減し、身体の圧を逃がす。
車椅子上で自動動作が可能な高齢者では、15分おきの除圧が良いとされる。
車椅子上での除圧方法
・左右のアームレストを持って上体を持ち上げる(プッシュアップ)。
・介助者が後方から持ち上げる
・左右へ上体を倒し、反対側の臀部を除圧する。
・車椅子の前に机を置き、体を前に倒す。
・ティルト機構がある車椅子を選択する。 など
●リスクと対応
①脊髄損傷
・車椅子と同様、ベッド上での褥瘡リスクが高い。
※褥瘡への対応が最重要。
※ベッドはトランスファー等での自立と関連が非常に深い。
②高齢者
・脊髄損傷者に比べ褥瘡リスクの判断が困難だが、上記の評価で褥瘡リスクと体圧分散の福祉用具を使用することを検討する。
体位について
①座位
エアマットによって底つきを起こすため注意。
②側臥位
側臥位では、接触面積が減少する為、接触圧が高くなったり底つきを起こし易い。
・目安として、マットレスは10cm程度が必要だと言われている。
・ナンセートパッド等でポジショニングを行うが、維持が難しいこともあるため注意。