不潔行為~弄便~
認知症高齢者に見られることがある「弄便」
介護している家族や介護現場で働いている中でこの行動が見られると、いろいろと考えさせられます。
これをきっかけに介護の仕事を辞めた職員も目にしています。
それぐらい現実に起きると衝撃的な行動だと思います。
在宅で見られている家族にとっては、相当の精神的な出来事だと思います。
●弄便とは
認知症の症状?
弄便は、認知症の方に見られる症状。また、総合失調症が原因でも起こることがあるようです。
具体的には、便を素手で触り弄る、周辺になすりつけるといった行為のこと。
本人が便だと認識できていないために起こる行動。
弄便で見られる行動
・手についた便を壁や寝具、衣類につける
本人がお尻に感じる不快感を取り除こうと、便で汚れた手をとりあえず近くにあるもので拭こうとしいるのではないか。また、取り出した便を隠そうとしているのではないか。
・便を口に入れる
便と認識できないため、食べ物と間違えて口に入れてしまう。
●弄便の原因
・排便感覚の低下
加齢に伴い胃腸機能が低下、便秘や下痢などになることが多くなります。
胃腸機能の低下などで便が緩くなると、排便感覚が低下し、自分が排便したことが分からなくなってしまいます。排便感覚の低下+認知機能の低下により、弄便行為に至ってしまうのではないか。
・不快感
上記で述べた通り、排便感覚が低下していたとしても、臀部の周りに便が付くことで違和感や不快感は残るようです。その不快感を少しでも何とかしようと便を触ってしまうのではないか。
・認知障害
便を便として認識・理解することができず、便が出ていても便を触っていても何か分からずにこねてみたり、周りにつけたりするようです。便と認識できないため、口に運んでしまう人も。
・綺麗にしたい
手に付いた不快感を何とかしたいと思い、何とか自分で処理しようとした結果、行為につながるのではないか。
●対応はあるのか
・怒らず汚れた手などを綺麗にする
大前提として怒らない。
弄便行為を見たとき、正直感情的になって怒ってしまうのは仕方ないことだと思います。しかし、認知症の方は、正直自分の行っている行為や怒られている理由などを理解することができないことができません。理解できたとしても記憶障害により、言われたことを忘れてしまいます。
さらに、恐怖心や不快感だけは残ってしまうことが多く、介護自体を拒否するようになり、今後に支障が出る可能性が高くなってしまいます。
そのため、その行為に感情的にならず体を綺麗にしてあげることが大切なようです。
・お風呂に入れてあげる
上記とも重なる点ですが、体を綺麗にすることが大切なようです。
弄便の原因は違和感や不快感と言われています。その不快感を取り除いてあげる事が重要。
もし本人が拒否した場合は無理矢理連れていったりせず、出来る範囲で綺麗にしてあげることが大切になります。
・汚れても良い環境にしておく
弄便が一度でもあれば、弄便を繰り返すことを想定し被害を最小限にする工夫も必要。
・ベッドの周囲に防水シートを敷く。
・壁にはがせるシートを貼る。
・便の処理に必要な掃除道具をセットしておく。
など、後始末がすぐに行える環境を作っておく。
参考資料
https://www.irs.jp/article/?p=451
認知症の行動・心理症状(BPSD)としてとらえる 排泄に関連した不潔行為.東北福祉大学総合福祉学部福祉心理学科・教授/認知症介護研究・研修仙台センター・センター長 加藤伸司