レビー小体型認知症②
レビー小体型認知症(DLB)のつづきです。
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3.症状
<精神症状>
精神症状としては、後頭葉の機能障害が強く、幻視が特徴的。
色彩を伴う非常に鮮明な生々しい人・動物・虫などの幻視が昼夜問わず生ずる。
物盗られ妄想などの被害妄想も多いが、「来てもいない人が来ている」「この家は私の家ではない」などの誤認妄想が特徴。
DLBの初期に現れやすいものが“抑うつ症状”である。DLB患者の約7割にみられるとも言われている。
<神経学的所見>
神経学的所見としては、パーキンソン症候を呈するが、筋固縮や動作緩慢が主体である場合と、振戦が生じる場合がある。
重度になると姿勢反射障害や歩行障害が出現し、注意障害とあいまって転倒事故などの危険性が増加する。
<その他>
睡眠中に大きな声で寝言を言う、奇声をあげる、怒る、怖がる、暴れるといった異常な行動をとることがある。
レム睡眠の最中にあらわれるため、これをレム睡眠行動異常(REM睡眠関連行動障害)とも言う。原因は、前述したものと同様、脳幹網様体が関与していると考えられている。
DLBと診断された人には、この症状が初期にあらわれ、その後何年も続くケースが少なくない。そのため、DLBを発症することを示唆している場面もあるので重要である。
自律神経症状もよくみられる症状である。具体的には、起立性低血圧、便秘、多汗・寝汗、倦怠感などがみられる。
4.経過
①前駆期
夜間睡眠時の悪夢を伴う大声や体動を示すREM睡眠行動障害(RBD)がしばしばみられる。 抑うつが見られることがあり、心気症状やアパシー(意欲に乏しく無感動な状態)が多い。
②初期
認知機能障害は主に記憶障害で始まり、初期には記銘や保持に比べて再生の障害が目立つ。
注意障害や構成障害、視空間障害などの症状が見られる。
認知機能の動揺は初期からみられ、比較的急速に起こり、数分から数時間、時に数週間から数ヶ月に及ぶこともある。これは注意・覚醒レベルの変動と関連していると考えられ、茫呼した状態、日中の傾眠や覚醒時の混乱がしばしば見られる。
幻視は初期に見られ、典型的な幻視は人物や小動物が家に入ってくるというものから、誤認もしばしば見られる。
パーキンソニズムが初期症状で、安静時振戦を伴う典型的なパーキンソニズムを呈することが多い。
自律神経症状も初期から認められ、尿失禁や便秘、起立性低血圧がしばしば見られる。
③中期
徐々に認知機能障害が進行し、記憶障害・見当識障害・健忘失語などを呈する。
幻視に対する自覚は失われ、幻視に対し易怒的になり行動障害を呈することが多くなる。
被害妄想や嫉妬妄想もしばしば見られるが、幻視や誤認から生じる二次性妄想であることが多い。
これらの精神状態から抗精神病薬の使用が必要となる場合があるが、使用すると少量使用しただけでもパーキンソニズムの急激な悪化や嚥下障害が生じることがある。
パーキンソニズムが進行すると、L-dopaの投与が必要となるが、L-dopaに対する反応性がPDに比べ劣り、進行すると効果はさらに乏しく、精神症状の悪化をきたしやすい。
④後期
認知機能障害が高度となると疎通が困難となり、認知機能の動揺や幻視はあまり目立たなくなる。
パーキンソニズムは、後期になって四肢・体幹の筋固縮が急速に進行する場合がしばしばみられ、拘縮を起こして歩行困難となり、寝たきり状態となりやすい。
嚥下機能を低下して仮性球麻痺を生じ、自発性の低下も加わって食事摂取が困難となる。誤嚥性肺炎が頻回となり、経鼻栄養や中心静脈栄養、さらに胃瘻の造設が必要となる場合が多い。
5.検査所見
MMSE :初期では比較的高い数値を示すものの、家庭や職場ではさまざまな困難を示すことが多い。
ベンダーゲシュタルトテスト :視覚認知障害が強いと点数が高くなる。その描写は元来の図版から逸脱し、形の全体的なまとまりが損なわれるゲシュタルト崩壊を示すことが多い。
画像所見 :頭部CTやMRIなどの形態画像では、海馬の萎縮、前頭葉の萎縮、びまん性大脳萎縮などが見られるが、DLBに特異的なものはなく、海馬など内側側頭葉の萎縮はATD(アルツハイマー型認知症)に比べて軽度とされている。
参考文献
1)小阪憲司:知ってますか?レビー小体型認知症.メディカ出版
2)下村辰雄:認知症.総合リハビリテーション35巻8号:786-789.2007.
3)内海雄思 他:レビー小体型認知症の経過・予後.老年精神医学雑誌.第20巻第6号:619-622.2009.6
4)井関栄三:レビー小体型認知症の精神症状・神経症状.精神医学.49(7):694-695.2007
5)長濱康弘:レビー小体型認知症の認知機能障害.老年精神医学雑誌.第17巻第4号:400-407.2006.4
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