うつ病・双極性障害
ここでは教科書のような難しい言葉を使用します。
なぜならしっかりとうつ病・躁うつ病を理解してほしいからです。
どの病気もそうですが、罹りたくて病気になるわけではありません。
精神疾患は未だに理解されにくい病気の1つです。
でも少しでも理解してほしい。これは病気です。ガンや風邪と同じ病気です。
1.気分障害(うつ病・双極性障害)について
概念:気分(感情)障害とは、気分または感情の障害を主症状とする精神障害をいう。
同時に、意志や欲動の障害も伴い、これらを背景に思考も障害され、うつ状態や躁状態などとして表出される。
①うつ病
うつ状態のみを示す場合をいう。
女性が男性の2倍、羅病しやすい。
発病は児童期から老年期までを含む全年齢層に認められ、平均年齢は20歳代半ばである。
<症状>
不眠(浅眠、早朝覚醒)、食欲低下、やせ、日内変動などの身体症状が特徴
自我感情が低下するため、自分を過小評価するため、自殺概念を抱く
うつ病の典型的症状には、抑うつ気分、興味と喜びの喪失、活力の減退がある。
※抑うつ気分:気分が沈んで憂うつとなり、何を見ても楽しくなく、意欲も低下した状態。例として、過去のことをあれこれ後悔し、先ざきに悲観的となる。
思考制止となり、微小的である。
几帳面、真面目、責任感の強い人などが発症しやすい。
<うつ状態一覧>
気分:憂うつ、慈悲、寂しい、不安、苦悶、無表情
身体感情:不調、不健康感
自我感情:低下、自己評価過小、自責、劣等感、悲観的、絶望
意識:制止、寡言寡動、昏迷、焦燥、徘徊
思考:罪責、貧困、心気、虚無妄想
身体機能:不眠(浅眠、早朝覚醒)、朝方抑うつ、食欲低下、やせ、便秘、性欲低下、日内変動、頭重・頭痛、肩こり、しびれ、発汗、口渇、倦怠
②双極性障害
躁とうつの両状態を示す場合で、双極性感情障害ともいう。
有病率は、6ヶ月有病率で0.1~0.9%、生涯有病率では0.2~1.7%と報告されており、うつ病に比べてはるかに少ない。
平均初発年齢はおよそ20歳で若年層に多い。
発病における男女差は認められない。
<症状>
不眠(早朝覚醒)、食欲亢進、性欲亢進などの身体症状が特徴
高揚した爽快な気分が特徴で、多くは陽気・上機嫌でいかにも楽しそうな様子が観察される。
自我感情の亢進。金遣いも荒くなる(乱費・浪費傾向)。
思考は観念奔逸(かんねんほんいつ)となり、思考の速度が増し、考えが次から次へと浮かぶため、患者は多弁でしゃべり続ける傾向が認められる。
※観念奔逸:考えが次から次へと出てくること。
<躁状態一覧>
気分:爽快、好機嫌、易刺激
身体感情:好調、健康感、疲れ知らず
自我感情:高揚、自己評価過大、自信過剰、楽観的
意識:多弁・多動、行為心拍、精神運動興奮
思考:観念奔逸、誇大的
身体機能:不眠(早朝覚醒)、食欲亢進、性欲亢進
2.気分障害の原因
①うつ病
うつ病の主な原因はストレスと言われています。
ストレスに対する抵抗力は、生活環境や遺伝などで決まってくるようです。遺伝的体質や生活環境などのストレスが原因となり発症に繋がります。
またストレスによって、神経細胞同士のつながりが低下し、一部では逆に強まるなど、神経細胞の形にも変化が生じてしまっている状態であると考えられます。
関連する神経伝達物質として、セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンがある。
セロトニン詳細⇩
ノルアドレナリン詳細⇩
ドーパミン詳細⇩
②双極性障害
双極性障害の主な原因は、遺伝的な体質(細胞内のカルシウム濃度の調節に変化)だと言われています。
しかし、遺伝とは異なり、こうした体質を持っていても病気になるとは限らない。躁うつ病もストレスは発症のきっかけの1つだと言われていますが、直接の原因ではない言われています。
3.主な治療法
①精神療法
精神療法とは、専門的な人間関係を通じて、不安や苦悩を緩和するとともに精神的な成長をを促す方法。
②薬物療法
薬物療法は、脳内の神経伝達物質に作用することにより精神症状を緩和する働きがある。
③リハビリテーション
精神科治療の効果判定は、社会生活の場にどれだけ対応できるようになったかという視点でなされる。そのため実際の場面などを想定してシミュレーションを行ったりする。
<うつ病・双極性障害の治療>
①休養と十分な睡眠
②精神療法
③薬物療法
④認知行動療法:「現実の受け取り方」や「ものの見方」を改善していく。
⑤作業療法:リラクゼーション、創作、身体運動など
<双極性障害の場合>
上記の中でも薬物療法が重要になってくる。
炭酸リチウムなどの薬物療法の重要性を知る。
再発のサインを知る。
規則的なライフスタイルを身につける。