車いすの使用の目的と種類
介護や医療現場では身近な福祉用具。
【車いす】
車いすはの人の足であり、生活には欠かせないものです。
◎車いす使用目的
①対象者が足代わりとして使用(自走用)
②対象者を運ぶために使用(介助用)
③食事や仕事、休息のために使用(作業椅子)
現状の車いすは対象者に必要な座り心地、変形・拘縮などに対する医学的な配慮についてはあまり考えられていない。車いすは移動の手動のみと考えるのではなく、医学的に椅子としての機能も持たせる必要がある。
◎車いすの種類
①介助用車いす
②自走式車いす⇒よく見かける車いす
③電動介助用車いす
④電動三輪車・電動四輪車
⑤電動車いす
⑥モジュラ車いす
⑦姿勢変換機能付き車いす
介助用・自走式車いす
多くの施設や住宅で使用されている。
比較的どのような身体のサイズの方でも使えることが特徴。
長時間の使用の場合は、身体のサイズに合わないと体に負担がかかってしまう。
リクライニング、ティルトタイプ車いす
背もたれの傾斜角度を変える機能が付いたリクライニングタイプは、長時間の座位姿勢を取りやすいように背もたれが長いタイプ。
ティルトタイプは、起きて座っている姿勢そのままの角度で倒せるタイプ。
電動車いす
介助用車いすと自操用車いすの2種類に分けられる。
”車体の構造 ・原動機として、電動機を用いている”
”6km/hを超える速度を出すことができない”
”歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がない”
など、一定の条件を満たした電動車椅子は、道路交通法上で「歩行者」とみなされ、歩道を走行できる。免許は不要。
◎車いすの部品の名称
◎姿勢変換機能について
<リクライニング・ティルト機構>
リクライニング機構
<座位変換機構> バックサポートの角度を変化させて、バックサポートの傾斜を自由に調節。
<効果> バックサポート角度を一定に保ったままシート・バックサポートの傾斜を一体的に調節。
<問題点 > バックサポート角度を一定に保つことも変化させることも可能で、シート・バックサポートを自在に調節。
ティルト機構
<座位変換機構> 股関節を伸展させて休息をとることが可能。 起立性低血圧に効果あり。
<効果> 姿勢をほとんど崩さずに座位変換可能。 起立性低血圧に効果が高い。
<問題点 > 身体全体を傾斜させる必要があるので、その動作に大きな力が必要。
リクライニング・ティルト機構
<座位変換機構> バックサポート角度を一定に保つことも変化させることも可能で、シート・バックサポートを自在に調節
<効果>自在に座位姿勢を調節することで適切な座位姿勢が可能。 起立性低血圧に効果が高い
<問題点 > リクライニング、ティルト2つの機能を搭載するため、車いすの構造が複雑になり、重量も重くなる。
◎車いす上における姿勢の問題
医療や介護現場において、ベッド・車いす上での“座ったきり”という問題と、“不良な姿勢”が問題になっている。
①座位の不良姿勢
②座圧が正常ではない
③頚部・体幹・四肢の関節可動性低下
④過剰に筋肉の緊張の増加
⑤座位褥瘡のリスクが高い
⑥食事や座位姿勢に影響が出る
⑦座り直し等、姿勢修正の介助が必要
◎車いす使用時の考慮点
●座位保持
座位姿勢でよく見られる座位姿勢として仙骨座りがある。
この状態が続くとバックサポートに隙間ができ、腰痛・背部痛、肩にも痛みが起こる可能性がある。
また、褥瘡が起こる危険性もある。
<対応>
①車いすの調節する。
②クッションを入れる。
③座位姿勢が保持できない場合は、リクライニングやティルト車いすを使用して、体幹を左右対称位に近づける。
④円背に対しては、バックサポートをベルト調節式にし、体幹の形状に合わせる。
●高齢者の座位姿勢の特徴
特徴的な座り方として、仙骨座り・斜め座り・前方への倒れこみがよくみられる。
<姿勢をみるポイント>
・頭部が挙がっている
・体幹は左右対称で上部体幹が伸びている(胸を張る)
・肩のラインが水平位となっている
以下の3点をみていく。
●移乗動作
車いすからベッドなどへの移乗を座位姿勢のまま横移乗で行う場合は、アームサポートが邪魔にならないように跳ね上げ式等にする。
◎車いすをどこで使用するか
●主な利用場所は?
①自宅などでの室内で使用する。トイレの広さは?家事などは行うか?
②外出や外泊の使用をする。仕事や買い物などのお出かけが多い?旅行なども使用?
③利用する範囲のバリアフリー状況は?、段差は多くないか?
使用する場所を想定すると選びやすい。
●身体のサイズに合っているか?
①どのくらい座っているのか?
②毎日長時間使用する車いすの場合は、体に負担がある。
③使用する人の座位姿勢のチェックはできている?
快適で座位姿勢が保てるものを選ぶ。
車いすはその人の生活の一部です。
しっかり合うものを選びましょう。
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