【健康】歯は寿命と関係します
●日本人の歯
8020運動とは?
平成元年、厚生省と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を」という運動です。
20本以上の歯があれば、食生活を満足することができると言われており、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」とこの運動が始まりました。
●歯と寿命
研究において・・・
・歯が多く残っている人
・歯が少なくても義歯等を入れている人
と
・歯が少ない人また義歯を入れていない人
とを比較して
年齢・治療中の病気や生活習慣などの影響を取り除いても、その後に認知症発症や転倒する危険性が低いということがわかってきています。
<歯の状態と体のリスク>
①認知症のリスク
歯を失い入れ歯を使用していない場合、歯が20歯以上残っている人や歯がほとんどなくても入れ歯によりかみ合わせが回復している人と比較して、認知症の発症リスクが最大1.9倍になるということを示しています。
歯が19歯以下の人と、20歯以上の人と比較してある研究では1.2倍要介護認定を受けやすいという結果が。要介護状態になる危険性も歯が多い人ほど少ないこともわかってきています。
②転倒のリスク
歯が19歯以下で入れ歯を使用していない人は、20歯以上保有している人と比較し、転倒するリスクが2.5倍になることが示されています。
以上のように、歯の多い人ほどや入れ歯などで、口腔機能を回復できている高齢者は認知症になりにくく、転倒も少ないという疫学結果がわかってきています。
口腔機能を維持することは要介護になりやすい疾患を予防し、健康寿命を延伸する可能性があると思われます。
●健康寿命を延ばそう‼
健康寿命とは:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。
口のトラブル
高齢になると、歯や歯肉のトラブルばかりでなく、嚥下機能の低下や唾液の減少など、口の働き自体にもトラブルが増えてきます。
高齢者の口のトラブルから、誤嚥性肺炎や口腔乾燥症(ドライマウス)などのリスクが増えるため、口のトラブルは健康に直結するのです。
誤嚥性肺炎
口や喉の構造上で咽頭を過ぎる手前で、食道(食べ物が通過する道)と気道(空気が出入りする道)の2つに分かれます。嚥下機能が低下すると、この2つの道をうまく通る過ぎることができずに食べ物や唾液があやまって気道(気管)へ入ってしまうのです。
この誤って入ってしまった食べ物などが肺の中に入りこみ、肺が炎症をおこすことを誤嚥性肺炎といいます。
誤嚥性肺炎は重症化すると寝たきりになったり、最悪の場合は命の危険があります。そのため、十分に注意しなければならない病気です。
口腔乾燥症(ドライマウス)
高齢になると、ストレスや薬剤の影響、かむ力の低下などが原因で唾液の分泌量が減るため、口の中が乾燥する人が多く、口やのどが渇く・食事がとりにくい・発音がしにくいなどの症状が多くなります。
口の中の乾燥がひどく、痛みなどの症状がある場合は、他の病気も考えられます。
<予防のポイント>
噛む回数を増やして唾液の分泌を促進する
小まめな水分補給
うがいの回数を増やす
室内の温度・湿度管理を行う
参考資料
https://www.jda.or.jp/park/relation/teethlife.html#4
https://jfohp.or.jp/okuchikenko_navi/senior/