腱鞘炎
腱鞘炎って聞いたことありますよね。
手をよく使うとなりやすいイメージがあります。
実際どうなんでしょうか??
●腱鞘炎ってなに?
腱鞘炎とは、腱鞘と中を通っている腱が炎症をおこす状態。
腱鞘:手や足の腱のまわりで滑液包が細長くなっていて、ちょうど鞘(さや)、つまりパイプのように包んでいる部分のこと。
腱鞘のおかげで腱が外れず、筋肉の力をスムーズに伝えることができます。
腱鞘と腱の間には滑液という液体があり、潤滑液の役割があります。
手には手の平側と手の甲側に動かす腱があります。各関節の部分などに腱鞘が腱をおさえます・・・
炎症をおこしやすい腱鞘は、手の平側に多いと言われています。
場所としては、
①各指の付け根
②手首
③親指側の手首
がよく腫れるとが多いです。
また、腱鞘炎は男性より女性の方が多いです。
●腱鞘炎の症状
①指が動きにくくなる。
②痛みが出る。
③轢音(コキコキ鳴る)
④ばね指になりやすい
⑤最悪動かせなくなる(ドケルバン病)
①・②指が動かしづらくなる。痛みが出る
まず、腱鞘炎をおこすと腱鞘が腫れて太くなり、腱が通っているトンネルが狭くなり、指が動きにくくなります。腫れた部分には痛みがでます。腱も狭いトンネルを通っているうち、腱の方も腫れてしまい痛みが出てきてしまいます。
③・④音が出る。ばね指になる
通りにくくなった腱を無理矢理動かして通そうとすると、腫れた腱鞘と腱がぶつかりコキっと違和感が出てきてしまいます。
指を屈伸する度にコキクキと、指先がバネのように動くことがあります。この状態を「ばね指」といいます。
⑤動かせなくなってしまう
症状が重度になってくると、腱が腱鞘を通れなくなり、曲がったまま伸ばしたままの状態になってしまいます。このまま放置すると、関節が固まり指が動かせなくってしまいます。
ドケルバン病:腱鞘が分厚くなり、親指を動かすと強い痛みが起きる腱鞘炎。
●手根管症候群
手首にも腱と腱鞘があります。ここには正中神経という神経が通っています。手首が腫れることで神経を圧迫し、親指から薬指にかけて痺れが起きてしまいます。
①夜間痛
②放散痛など慢性的な痺れ
③血行不順による筋萎縮
④親指の筋萎縮により物がつかめない
などの症状が出てくる。
●腱鞘炎が女性に多い理由
腱鞘炎になりやすい女性の特徴
25~30歳
50~60歳に集中。
この年齢が示すものは出産直後と閉経、更年期に女性が腱鞘炎になりやすい。
出産直後と閉経⇒ホルモンバランスが崩れる時期。
エストロゲンとプロラクチンというホルモンが腱鞘に影響。
①出産直後の場合
出産時は、骨盤周囲の靭帯や子宮が緩み出産できるようになります。
出産後にプロラクチンが出ることで、この緩みを元通りに引き締め元通りに戻そうとします。このとき、関係ない手の腱鞘にも作用してしまうのです。
このホルモンの影響は4~5ヶ月続いてしまうようで、授乳や次の妊娠のことを考えると、治療にステロイドが使えないため、痛みに我慢しなければならないようです。
②閉経時の場合
更年期になるとエストロゲンが減少。
エストロゲンの減少により、コラーゲンが硬くなってしまいます。また、腱鞘を作っているコラーゲン組織が増殖しやすくなり、腱鞘が硬く厚くなります。
その結果、腱鞘炎も起きやすくなってしまうのです。
治療としては・・・
基本的にはステロイド注射を打つことが多いようです。
腫れている腱鞘と腱の間に、微量のステロイドを注入。この注射はピンポイントで薬が患部に入らないと効果があまり出ないようです。
うまく薬が入れば1回の注射で治療終了することも。
症状がかなり進んでいる場合、最終手段は手術。
痛みがとれない、指がひっかかる、痺れがあるといった状態・症状があれば、整形外科へ。なるべく手の治療に詳しい病院に行くと良いでしょう。
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