【文献】最新の文献・研究を読んでみ⑪
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"持続する強い痛み"を生み出す原因物質Tmem45bを世界で初めて発見!〜画期的な痛み治療へ〜
ポイント
リウマチ・手術・外傷およびがんなどの侵害受容性疼痛では、動いただけで痛い、触っただけで痛いなどの持続する強い痛みが出現する。
現在、持続する強い痛みに対して、主にモルヒネなどの医療用麻薬が使用されている。しかし、医療用麻薬は脳内の痛み伝達に関係のない領域にも作用し、呼吸抑制・眠気・嘔気・依存などの副作用が大きな問題となっている。
本研究では、持続する強い痛みの原因物質“Tmem45b”を世界で初めて発見。
Tmem45bは、脳内にほとんど存在しないため、Tmem45bをターゲットとした痛み治療は、医療用麻薬に取って代わるGame Changerとなる可能性を秘めている。
研究成果
今回の研究でマウスを用いて、軽微な刺激で持続する強い痛みを伝える神経線維を同定。さらに、「同定した神経線維には異常な痛みを伝える重要な物質が存在している」との仮説を立て、持続する強い痛みを伝える神経線維と伝えない神経線維に発現している物質を比較。
その結果、持続する強い痛みを伝える神経線維に特異的に発現している物質Tmem45bを発見。次に、Tmem45bを生まれつき持っていないマウスを作成。Tmem45bを有する正常マウスでは、炎症や創傷があると、軽微な刺激で強い痛みを感じる、通常痛みと感じない刺激で強い痛みを感じるといった持続する強い痛みが出現。一方で、Tmem45bを生まれつき持っていないマウスでは、炎症や創傷がある状態でも持続する強い痛みが出現しないことが明らかとなる。すなわち、私たちが発見したTmem45bは炎症や創傷に伴って活性化し、軽微な刺激で持続する強い痛みを作り出す物質であることが世界で初めて明らかになった。
面白いことにTmem45bは脳にはほとんど発現せず、一部の末梢神経に特異的に発現。したがって、Tmem45bをターゲットとした痛み治療は医療用麻薬で問題となる呼吸抑制、嘔気、眠気、さらには依存などの精神症状を起こさずに鎮痛できることが推測。
今後の展開
軽微な刺激で持続する強い痛みの原因物質Tmem45bが明らかなった。Tmem45bをターゲットとすることで、副作用の少ない優れた鎮痛効果が期待。Tmem45bをターゲットとした鎮痛法はこれまでの鎮痛方法と比べて全く新しいものであり、医療用麻薬の問題を解消して、患者さんの生活の質を上げるGame Changerとなる可能性も。
高齢者は寿命延長のために1日当たり約5,000~7,000歩あるけば十分? 毎日の歩数と死亡との量反応
ポイント
高齢者全体およびフレイルでない高齢者では、歩数と死亡リスクの量反応関係の結果から1日当たり約5,000-7,000歩で死亡リスクへの有益な効果が頭打ちになることを示した。
1日当たりの歩数が5,000歩未満の者が歩数を1,000歩増やすことで死亡リスクが23%低下(9-10か月の寿命延長に相当する)、5,000歩以上の者が歩数を増やしても有益な効果は見られなかった。
フレイルに該当する高齢者では1日当たりの歩数が約5,000歩まで死亡リスクに有益な効果を示しませんが、約5,000歩を超えると死亡リスクと負の関連を示しました。関係を解明。
これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)
フレイルとは身体的機能、精神的および社会的な活力などの心身の予備能力の低下が見られる状態であり、健康な状態と要介護状態の中間に位置。フレイルには「適切な介入により再び健康な状態に戻る」という可逆性が包含されているため、フレイルの状態を改善し得る生活習慣等が世界中で研究されている。歩数は身体活動量の目標設定を容易にし、自身の歩数を知ることで身体活動量を増やす動機付けを高めるために効果的。従って、寿命を延ばすために高齢者が日々達成可能な歩数の目標値を設定することが重要。
日本の研究:https://research-er.jp/