OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【文献】最新の文献・研究を読んでみた②

【文献】最新の文献・研究を読んでみた②

 

「単位が足らなくて居残りで補習」の写真

 

 

加熱式たばこの長期使用が脳へ与える影響をアルツハイマー病モデルマウスで検証

本研究成果のポイント

・加熱式たばこの長期使用が脳へ与える影響を動物実験モデルで評価。

・アルツハイマー病の前駆期モデルマウスの脳内において、加熱式たばこ曝露により非炎症性経路を介した影響が生じている可能性が明らかに。

※肺および脳における炎症性経路:炎症性サイトカイン、酸化ストレス関連遺伝子、白血球遊走因子等。

・加熱式たばこ製品は喫煙者の新たな選択肢となっており、加熱式たばこが脳へ与える影響について、今後も検討を続ける必要性がある。

今後の展開

加熱式たばこ製品の使用にともなう複合化学物質の摂取が生体にどのような影響を与えるのか(安全性、有効性、危険性)については、様々な角度から評価が必要。今後はアルツハイマー病の脳内のみに見られる現象なのかを明らかにするほか、ヒトで行うことが困難な研究(例えば、加熱式たばこの使用により生じる生体変化を鋭敏にとらえるための血液検査法の開発など)を行うため、本動物実験モデルを活用する予定。

 

磁石が脳機能を変化させるメカニズムを解明!脳卒中や神経難病のリハビリテーションへの応用に期待!

本研究のポイント

・磁石を頭において脳の働きを変化させる tSMS は、新しいリハビリテーションの方法として期待。

・磁石がどのように脳細胞に作用するかを調べるため、磁石でマウスからとった脳の一部を刺激し、脳細胞の活動を細胞レベルで詳細に調べた。

・磁石で刺激すると、脳細胞は一時的に膨らみ、その興奮性が減少した。Cl-チャネルの働きが磁石により変化したことが原因であることが分かった。

・磁石が脳細胞に作用するメカニズムが解明されたため、磁石を用いたリハビリテーションの開発が本格的に進むことが期待されます。

・本研究が明らかにした磁石が作用する Cl-チャネルは脳の働きを変化させることができるため、その Cl-チャネルをターゲットにした新規薬剤の開発も期待。

※Cl-(塩素)チャネルは神経系を含むあらゆる種類の細胞に発現し、膜電位や細胞容積の調節、細胞の移動、増殖や細胞死(アポトーシス)、分泌などの細胞の基本機能に広く関与。

 

自身の顔で動作を観察・イメージすることで運動学習が促進されることを発見―効率的な運動学習手法としてスポーツやリハビリテーションへの応用に期待―

本研究のポイント

難しい(未知な)動作を動作観察と運動イメージを組み合わせて学習する際に、顔変換システムを用いて、映像内の熟練者の顔を観察者本人の顔に変換した変換像の動作を観ながら運動イメージを行うことで、大脳(皮質脊髄路)の興奮性が熟練者の動作を観るときよりも増加することを発見。また、その大脳の興奮性は、変換像と本人との類似性が高いほど増加することを発見

本研究成果は、今後、顔変換システムを人工知能(AI)や仮想現実(VR)技術と組み合わせることで、より本人に類似した変換像の作成が可能になれば、新たなスキル習得を必要とするアスリートや、怪我や手術後に元の動作の再獲得を必要とするリハビリテーション患者の運動学習を促進するだけでなく、児童の運動能力の向上にも応用できる可能性がある。

 

 

  • 足関節捻挫を受傷した後に捻挫を繰り返しやすくなってしまう原因を解明

「捻挫は癖になる。」と言われるほど、足関節捻挫(足首の捻挫)は、一度受傷してしまうと繰り返しやすい。このような状況を、慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability; CAI)という。

本研究では、足首の靭帯にあり、足首の動きを感知する感覚受容器(メカノレセプター)の形が崩れること、数が減少することで、CAI が発症することを明らかに

今回の発見は、CAI の原因を突き止めたはじめての発見であり、今後、繰り返す足関節捻挫に困っている方々を救う新たな治療やリハビリテーション開発を前進させる。

 

日本の研究https://research-er.jp/