【情報】学習障害(LD)
●学習障害とは
学習障害(LD)とは、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すもの。
その原因として中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。
学習障害(LD)にはさまざまなタイプがあり、また人によって症状の現れ方も違うので、診断が難しい障害でもあります。
●学習障害の種類
<3つの種類>
読字障害(ディスレクシア):読みの困難
書字表出障害(ディスグラフィア):書きの困難
算数障害(ディスカリキュリア):算数、推論の困難
<例>
・読む能力はあっても書くのが苦手。
・他の教科は問題ないのに数学だけは理解ができない。
・ある特定分野に偏りが見られる。
・ひらがなは問題なくても漢字が苦手。 など
●学習障害の分類
①読字障害・読みの困難(ディスレクシア)
読字障害は、学習障害と診断された人の中で一番多く見られる症状。
・欧米では約10~20%の人がこの症状があると言われている。
・読字障害は文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることも。
・文字の見え方にも特徴があり、文字がぼやける、黒いかたまりになっている、逆さまに見える、図形に見えるなど違った見え方にみえる。
・音韻認識が弱く、ひらがなやカタカナのひとつずつは理解できても、漢字など単語になると理解できなくなってしまうことも。
・漢字の音読みと訓読みの使い分けができない。
・文章や単語を途中で区切ったりして変わった読み方をする。
読字障害の特徴
・形態の似た字である「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」などを理解できない。
・小さい文字「っ」「ゃ」「ょ」を認識できない。
・文章を読んでいると、どこを読んでいるのかわからなくなる。
・音声にするなど耳から情報は理解しやすい場合が多い。 など
②書字表出障害・書きの困難(ディスグラフィア)
「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難がある学習障害。
・文字が読めるのにもかかわらず書けない場合も書字障害に分類。
・正確に書いているつもりなのに鏡文字になってしまう。
・文字を書くという動作が苦手です。
書字障害の特徴
・鏡文字や雰囲気で書く。
・誤字脱字が多い。
・黒板やプリントの字が書き写せない、時間がかかる。
・漢字が苦手。
・文字の形や大きさがバラバラ。 など
③算数障害・算数、推論の困難(ディスカリキュリア)
数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手な学習障害。
・数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合が多い。
・数字そのものの概念、規則性、推論が必要な図形の領域を認識するのが難しい。
・視覚認知の機能が弱く、数字を揃えて書く、バランスを考える、文字間の距離感を取るなどが苦手。
・筆算を書く際に桁がずれることも多い。
算数障害の特徴
・簡単な数字、記号を理解しにくい。
・繰り上げ、繰り下げができない。
・数の大きい、小さいがよく分からない。
・文章問題が苦手、理解できない。
・図形やグラフが苦手、理解できない。 など
●年齢別に見た学習障害の症状の現れ方
学習障害は、本格的な学習に入る小学生頃まで判断が難しい障害。
合併が無い場合は、この時期にはっきりと判断をするのは難しく、ある程度知能が育ち、行動に特徴が現れやすい学習を始める小学生頃にならないと、学習障害とは判断しにくい。
①小学生の学習障害の特徴
授業を真面目に聞いていても勉強が苦手、ついていけない。など
読字障害
・ひらがな、漢字が読めない。
・行を飛ばして読んでしまう。
・文章を読むのを嫌がる。 など
書字障害
・うまく文字を書くことができない(。
・板書ができない、時間がかかる。
・行やマス目からのはみ出しが大きい。
・文字を書くのを嫌がる。 など
算数障害
・数が数えられない、とばして数えてしまう。
・時計が読めない、時間が分からない。
・計算ができない。
・筆算をするときに数字がずれて間違えてしまう。
・計算を嫌がる。 など
②中高生の学習障害の特徴
読字障害
・小学生で習うような漢字であっても読めない場合がある。
・英語の単語が読めない。など
書字障害
・卒業作文などの長い文章がかけない。
・英単語が書けない。 など
算数障害
・計算はできるが、文章題が解けない。
・図形関連の問題が解けない。 など
③成人の学習障害の特徴
・上司の注意を聞いてもうまく理解できず同じ失敗をする。
・電話で聞きながらメモを取れない。
・話がうまくまとめられず企画案を作成できない。
・集団で指示されるのが苦手で会議で辛い思いをする。
・レポートが書けない。
・お釣りの計算や金銭管理ができない。 など
●学習障害の特徴チェック
チェックする大切なポイント
・年齢に見合った動きができているか。
・年齢相応の習得の度合いと比較してチェック。
※心配になったら診断を受けることが重要です。