【健康】高齢者の肥満
●高齢者肥満の現状
日本には日本肥満学会という学会があるようで、この学会が“肥満は疾病ではないと言われているが、肥満によって健康障害がある場合などを肥満症”と定義しているようです。
実際に、高齢者の肥満の割合(BMI値25以上)は多くなっているようで、
厚生労働省が発表する『国民健康・栄養調査』では・・・
【男性】
約30年前と現在で60歳代男性の肥満率は19%から約33%の増加、70歳代以上の男性では15%から約30%と増加傾向であり、肥満は倍増している現状があります。
【女性】
女性は、60歳代では約30%から約24%まで減少、70歳代以上では約25%から約24%とあまり変化がないようです。
※数値から60歳以上の男女ともに3~4人に1人が肥満という結果となります。
●体脂肪とは!?
体脂肪には2種類:“皮下脂肪”と“内臓脂肪”
①皮下脂肪
お腹周りに付く。
女性に多い。
下半身太りの原因。
②内臓脂肪
男性に多く付きやすい。
ポッコリお腹⇒内臓脂肪が多い証拠。
生活習慣病などの病気に繋がる可能性が高いため。
●体の変化は?
一般的にはBMIを肥満の指標にすることが多いです。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
目標体重=目標BMI×身長(m)×身長(m)
日本では最も病気になりにくい数値:22
18.5以下だと痩せすぎ。病気になるリスクが高くなる。
このBMIが5上昇すると・・・
心血管系疾患、呼吸器疾患、がんの死亡リスクがそれぞれ上昇。
WHOは基準として、
BMI25以上「過体重」、30以上「肥満」。
日本人はBMIが25を超えると、内臓脂肪が増えていく傾向があるとし、日本肥満学会は肥満を「BMI 25以上」としています。
厚生労働省の調査によると、特に40歳以上、この20年間で増加傾向。
20~60歳代の男性は約30%、女性は約20%が肥満だと言われています。
肥満=生活習慣病と言われても仕方ない状態。最終的に、脳卒中や心筋梗塞などで命を落とす危険性が上がります。
●体脂肪を減らすためには?
①運動
体脂肪を減らすためには・・・
有酸素運動と無酸素運動を合わせた運動が効率的。
<効果的に落とす3つのポイント>
①最初は少し強い負荷、負荷は少しずつ上げる。
※急な強い負荷をかけるのは体に悪影響なだなのでやめてください。
②継続が必要。
③自分の体力に合った運動、目的に合った運動をすること。
※運動はすぐに始められるウォーキングが最適な運動と言われています。
②食事
体脂肪の材料となる糖質と脂質を必要以上に摂らないこと!!
ゆっくり食べることで・・・
満腹中枢が刺激されて食べ過ぎの予防!!
体脂肪率を落とすには男性1800kcal程度、女性1500kcal程度の摂取量が目安と。
<食事のポイント>
①コレステロールの吸収軽減・排出をしてくれる「食物繊維」
②代謝を促して脂質を分解してくれる「ビタミンB群」
●肥満と病気との関係
サルコペニア
加齢により生じる骨格筋量や骨格筋力低下が起こるサルコペニアは、肥満が合併した“サルコペニア肥満”が増えてしまうのも高齢者の肥満の特徴です。
このサルコペニア肥満は、ただの肥満と比べると転倒や死亡のリスクが高く、さらにADL低下なども起きやすいと言われています。
年齢とともに肥満は増加
【原因は運動不足】
歳を取ると運動する機会が減り、筋力低下が起き、体脂肪の増える割合が多くなってしまうことで肥満になりやすくなります。また、加齢に伴い筋や骨量が減るため、基礎代謝が悪くなり、運動不足が重なることで、肥満になりやすいのです。
認知症
高齢者の肥満症には認知症を引き起こすリスクがあると言われています。
ある研究結果で、65歳から74歳までの前期高齢者の肥満は認知症の発症リスクを増加。しかし、後期高齢者ではBMIが低いと認知症のリスクが高まるという結果もあるようです。
この年代では、生活習慣病+認知症のリスクも高まるため、肥満が原因で様々な病気に繋がってしまうのです。
●肥満改善のためにできる事
上記でも述べましたが肥満改善にできる事、基本は“食事療法”と“運動療法”になります。
上記にも述べた通り、加齢により運動不足が深刻化し、食事は好きなものばかりになったり、間食が増えるなど、食生活の変化が肥満に繋がります。
食事:炭水化物や脂質を抑えるなどの食生活の見直し
運動:ウォーキングなどの身体状況に応じた運動
※食事・運動改善により、ADL能力の低下、整形疾患などによる疼痛などの改善にも繋がります。
参考資料
https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no615/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/45/4/45_4_414/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/24/2/24_2_179/_pdf