【リハビリ】座位運動
●座ってできる運動
※写真が無く見づらくて申し訳ございません。
①ストレッチ
●首と体幹(5回繰り返す)
①鼻から息を吸いながら,首を後ろに倒しながら両手を後ろに伸ばす。
②口から息を吐きながら,首を前に倒し,背中を丸める。
●肩甲帯
口から息を吐きながら,首と体幹をひねる.(左右3回ずつ行なう)
②上下肢の筋力トレーニング
●上肢筋力トレーニング
①両手を背屈して真横に伸ばす。
②口をすぼめて息をはきながら。上肢の伸展筋の等尺性収縮を6秒間行う
③次に正面に手を伸ばして同様に行う.(それぞれ5回ずつ行なう)
●下肢筋力トレーニング(大腿四頭筋)
①足首のところで,両足を交差させ,上になっている足で下になっている足を押さえる。
②口をすぼめて息をはきながら,大腿四頭筋の等尺性収縮を6秒間行う。
③足を組み替えて,反対側も同様に行う。(左右5回ずつ行なう
●下肢筋力トレーニング(抗重力筋全体)
①椅子のふちを両手で握り,下肢は床を踏ん張るように力を入れる。
②口をすぼめて息をはきながら,下肢の抗重力筋の等尺性収縮を6秒間行う。(5回行う)
③有酸素運動
●前後ステップ
①片足を前方に出して踵を床につけて,再び足を元の位置に戻す
②反対の足も同様に行ない,繰り返す.
●左右ステップ
左右方向へのステップも同様に行う.
●椅子歩行
一側の上肢を前方,他側の上肢を後方に振り,歩く動作を繰り返す
●膝伸展
①片足を上げ,膝を伸展させて,再び足を元の位置に戻す.
②反対の足も同様に行ない,繰り返す.
●高齢者の身体機能や体力の低下
高齢者は体力・健康状態などの個人差が大きい。
高齢期に至るまでの経験や考え方にも個性がある。
個人差が大きいことを前提に、加齢に伴って低下していく身体機能や体力などの一般的な状況について知っておくことが大切。
<加齢で伴う身体機能の低下>
① 加齢に伴って体力は低下するが、運動不足の影響 が大きい。
② 日常的に使っていない身体機能は低下しやすい (握力は維持しやすいが、ボール投げ・腕立て伏せなどは低下)。
③ バランス能力・動きをコントロールする能力は低下しやすい(閉眼片足立ちなど、新しい動作を習得する機会がなくなると低下しやすい)。
④ 速筋繊維が萎縮、敏捷性が低下、瞬発的な動き、素早い動きができなくなる。しかし、遅筋繊維は維持されている。
⑤ 脚の筋力低下は,歩行能力に影響する(日ごろ、座っている時間が増えていないかなど)
⑥ 腹筋・背筋など上体を支える筋力の低下で姿勢が悪くなる(円背になる)。
⑦ 骨盤底筋が衰え、腹圧性尿失禁が増える(女性に多い)。
⑧ 呼吸・循環器系の機能の低下、血圧の上昇、肺活量・最大酸素摂取量の低下(息切れしやすい、血圧が上がりやすい)。
⑨ 有病率が高くなる。慢性的な疾患で治療中、服薬中の人が増える(高血圧、糖尿病、高脂血症など)。
⑩ 整形外科疾患が増える(腰痛症、脊椎管狭窄症、変形性膝関節症(女性に多い)など)。
⑪ 骨粗鬆症が増え、転倒などにより、骨折しやすく なる(女性に多い)。
⑫ ホメオスタシス(恒常性)の低下、体温、心拍数、 血圧、体内の水分量などのコントロールができに くくなる(熱中症になりやすい)
⑬ 視力(老眼,白内障など),聴力(難聴など),皮 膚感覚などが低下する。
⑭ 予備力が低下、疲労しやすく、回復に時間がかかる
⑮ 精神的なストレスが多い:健康上の不安,介護, 親しい人との離別,経済的な不安
⑯ 認知症,うつ病が増える。
⑰ 行動が慎重になる、時間を気にする(定刻より30 分以上早く集合する、帰りの時間が気になり,落ち着かなくなる)。
参考資料
武井正子.高齢期の運動による健康づくり 元気をつくるシニアエイジの健康エクササイズ.順天堂医学. 2011, 57 P. 462〜469
高橋仁美 他.慢性閉塞性肺疾患における低強度運動療法「座ってできるCOPD体操」の効果.Jpn J Compr Rehabil Sci Vol 2, 2011