カルシウム~栄養とは④~
●カルシウムとは
カルシウムは、体重の1~2%含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルです。
その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨や歯などの硬組織に存在。
残り1%は血液、筋肉、神経などの軟組織にイオンや種々の塩として存在しています。
●カルシウムの吸収と働き
<吸収>
①カルシウムは主に小腸で吸収。吸収率は成人でも20~30%程度。
②活性型ビタミンD、副甲状腺ホルモン、カルシトニン(甲状腺ホルモン)などの関与。
③腸管での吸収
④血液から骨への沈着
⑤骨から血液への溶出
⑥尿中への排泄などが制御
⑦細胞や血液中のカルシウム濃度は一定範囲(8.5~10.4㎎/㎗)に保たれてる。
<働き>
①骨や歯の主要な構成成分
②細胞の分裂・分化
③筋肉収縮
④神経興奮の抑制
⑤血液凝固作用の促進
などに関与。
・骨は約3ヶ月のサイクルで、骨形成と骨吸収を繰り返す。
※骨形成:骨へのカルシウムなどの沈着。
・骨吸収:骨からのカルシウムなどの溶出。
・成長期には形成量のほうが吸収量より多く骨量は増加
・男性では50歳代、女性では閉経後から、吸収量が形成量を上回るため骨量が減少。
●カルシウムの1日の摂取基準量
日本人の食事摂取基準(2015年)では、1日の推奨量を・・・
18~29歳:男性で800㎎
30~49歳:男性で650㎎
50歳以上の男性で700㎎
18歳以上の女性で650㎎
<カルシウムの過剰摂取>
高カルシウム血症など健康被害が出るため、上限量は、18歳以上男女ともに1日2,500㎎と設定。
年代別での平均のカルシウムの摂取量(平成27年国民健康・栄養調査より)
40~49歳:456㎎
50~59歳:496㎎
60~69歳:560㎎
70歳以上:567㎎
と推奨量と比べてると、どの年代もカルシウムの摂取量も不足。
食品別でみると乳類からの摂取が最も多く、次いで野菜、豆類、穀類、魚介類の順に多く摂取。
●カルシウムが不足すると?
皆さんが知っている通り、カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなります。
幼児の場合は、骨の発育障害が起こり、成長が悪くなります。
不足状態が長期間続くと・・
骨密度の上昇が妨げられて丈夫な骨が形成できなくなる。
高齢期、閉経後の女性では?
骨粗鬆症が起こりやすくなる。
また神経や筋肉の興奮が高まり、テタニーやてんかんが起こることもある。
※テタニー:筋肉の痙攣。てんかん:全身の痙攣
●カルシウムの過剰摂取の影響
カルシウムの過剰により・・・
・高カルシウム血症
・高カルシウム尿症
・軟組織の石灰化
・泌尿器系結石
・前立腺がん
・鉄や亜鉛の吸収障害
・便秘
などの様々な健康障害が起こってしまいます。
カルシウム強化食品やサプリメントを摂取する場合は取りすぎには注意してください。
●カルシウムを多く含む食品
カルシウムには干しえび、小魚などの魚介類、海藻、牛乳・乳製品、豆類などに多く含まれます。
逆に植物性食品には、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸、フィチン酸などが含まれるので、カルシウムの吸収率が下がってしまうようです(また、リンや食物繊維もカルシウムの吸収を阻害。)。
※シュウ酸:ほうれん草に多い。フィチン酸:豆、穀類に多い。
吸収を促進させるものには、ビタミンD、クエン酸、CPP(牛乳中のたんぱく質)などがあります。
参考資料
https://www.glico.co.jp/navi/dic/dic_07.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html