カンジダ症
日本における真菌症の中で最も発生頻度が高いのがカンジダ症である。
カンジダ症は自然界・健常者の体内の皮膚・口腔・消化管・膣などに常在しており、常に危険と隣り合わせである。
●病原真菌
病原真菌は、粘菌・藻類・原生動物等と並び真核生物であり、一般の細菌に比べて、ヒトをはじめとする高等生物に近い。
地球上に存在する真菌は20万種類であり、土壌をはじめ自然環境内に広範に生息している。しかし、このうち病原真菌は100種類である。
●真菌とは?
狭義の菌類のうち、変形菌を除いたものの総称。
変形菌とは⇒粘菌
粘菌とは⇒不定形粘液状の原形塊でアメーバ運動をするもの。
<分類>
病原真菌を大きく分類していくと…
①皮膚に感染する表在性真菌症
②皮膚深部及び皮下組織に感染する深在性皮膚真菌症
③内臓に感染する深在性真菌症
●カンジダアルビカンス
カンジダ属に含まれている全体の30%を占めている。
カンジダアルビカンスは酵母・菌糸の両方の形態を取る。
酵母状態では、好中球の貧食に伴う殺菌に比較的感受性があるが、体内で菌糸の状態になると好中球の貧食・殺菌作用に抵抗する。
酵母とは?
⇒アルコール発酵を営む菌類の一群。単細胞である。
菌糸とは?
⇒繊細な糸状の細胞または細胞列。
カンジダアルビカンスはどこに?
カンジダアルビカンスは大気中・体内(皮膚・腸管内・口腔内)に常在しており、いずれの部位において健常者30%~50%が本菌を保有している。
カンジダアルビカンスの特徴
真菌の発育に最も好ましい温度は菌種によって大きく異なるが、大部分の菌は25℃前後で良好な発育を示す。
カンジダアルビカンスは内臓へ感染する為に、ヒトの体温に耐える能力があり、少なくとも35℃以上でも発育が可能である。よって熱に強い真菌と言える。
●感染への要因
基礎疾患の有無が重要。
基礎疾患がある場合には感染防御能の著しく低くし、感染を引き起こす。
そのため糖尿病や悪性腫瘍・AIDSの患者さんは易感染宿主である。よってカンジダ症は日和見感染として発症すると言える。
日和見感染とは?
⇒感染抵抗力の低下時に非病原微生物により、感染がおこること。
非病原微生物とは?
⇒病気を誘発することのない微生物
感染しやすい人とは??
①年齢・時期:高齢者・新生児・妊婦
②局所性要因:高温・多湿・口腔粘膜病変
③全身的要因:栄養障害・糖尿病・クッシング症候群・免疫不全症候群・副甲状腺機能低下
④抗菌薬:ステロイド薬など(常在菌のバランスが崩れる)
感染の成立
感染が成立するか否かはカンジダアルビカンスの持つ病原性と生体防御能のせめぎ合いによって決まる。
感染すると抗真菌剤投与・免疫機能によっても駆逐は困難である→肉芽腫の形成により体内で長期間生育できるような環境となる。
●予防
予防①
本疾患は予防が非常に大切。
その為に、病態に応じて可能な限りの危険因子(カテーテルなど)の排除が重要である。
またカンジダ菌は多湿部位を好む。その為、口腔内や皮膚に発生しやすい。よって口腔内の日頃からの清潔に保つ事(歯ブラシ)。
予防②
食事の面からも予防が可能。
口腔などの粘膜保護のために、熱い食べ物や刺激の強い食べ物は避けるべきである。
そして口腔内の観察をする事を習慣付けするが大切である。
本疾患に対して予防によって、発生頻度はかなり減少が出来る。
予防には数秒から数分も必要としないことばかりである。しかし、この数分間の予防をせずにいるだけで、長期間の感染期間を要しまうという事を知っておく必要がある強く感じる。
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