食べること~食事の重要性~
食べること~食事の重要性~
人間にとって食べるとは?
楽しく?
美味しく?
誰と?
どこで?
どんな雰囲気で?
何を?
●摂食・嚥下の障害とメカニズム
◎摂食障害とは
精神疾患でおこる拒食症などのほか、認知症などでおこる食物認知、注意障害などの問題により、食べられない、また詰め込みすぎるなど、食べる行為に問題がある場合。
◎嚥下障害とは
水や食べ物が飲み込めなくなったり、食べ物の一部が肺の方へ流れ込んでしまうようになる(誤嚥)障害。腫瘍や炎症などにより舌や喉の構造に原因があって起こる器質的障害と、舌や喉を動かす神経や筋肉に異常があって起こる機能的障害など。
●高齢者の身体の変化と食の関係
唾液の分泌と飲み込みの低下
味覚や臭覚の衰え
視覚や味覚の衰え
歯、咀嚼力の衰え
消化、吸収力の低下
脱水症状がでやすい
便秘や下痢を起こしやすい
●嚥下障害~誤嚥~
誤嚥とは?
誤嚥とは、食道に入るべき食物が気道に入ってしまうこと。
食物だけではなく、唾液でも誤嚥する場合もある。
⇒咳そう反射(ムセ)による防御機能。
固形物などがたくさん気道に入ってしまうと窒息してしまうこともある。
むせない誤嚥?
不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション)というムセのでない誤嚥。
通常は食物が気道に入ると、気道の防御機能として「むせ」が出る。
気道の感覚が低下していると、誤嚥しても「むせない」場合がある。
※高齢者は夜間の唾液の誤嚥にも注意が必要
摂食・嚥下のメカニズム
口から胃まで食物が運ばれる大まかな流れ。
①食物の認知(先行期)
②食物を口に取り込み、咀嚼して食物を飲み込める状態にする(準備期)
③咽頭に送り込む(口腔期)
④嚥下反射によって飲み込む(咽頭期)
⑤食道を通過する(食道期)
⑥胃に入る
●いろいろな食べるためのアプローチ
食べやすい環境と摂食障害へのアプローチ
・明るくゆったりした雰囲気(テレビや音楽も合ったものを)
・職員も座って介助。
・一人でなく、みんなで食べていることで食事意識が高まる。
※一人が良い人も居るため一人一人アセスメントをする。
注意障害などの摂食障害の方へのアプローチ
・集中できる座席配置。
・人通りは少なく、見守り位置は遠方、後方から。
・会話のタイミングにも配慮、飲み込んだ後で。
●食事形態と水分摂取
<食事形態>
高齢で咀嚼・嚥下機能の低下した方、脳卒中の後遺症による嚥下障害の方
◎普通の食事を摂るのが非常に困難な場合
⇒食物の形態を変えて食べやすく、飲み込みやすく工夫したものを提供する。
普通食から嚥下食へ変更していく必要がある。
例:一口食、刻み食、ソフト食、ミキサー食など
<とろみの効果>
水分の方が固形物よりも咽頭を通過する速度が速い。
①喉頭の蓋が閉まっていない状態で水分が先に流れていってしまう。
②気管に入るとむせる・誤嚥する。
③水分にとろみをつけることで 咽頭を通過する速度を落とすことができる。
<メリット>
咽頭に落ちるスピードが遅くなる。
まとまりやすくなって誤嚥しにくくなる。
<デメリット>
とろみが硬すぎると口腔内に張り付いてしまい、送り込みができなくなる。
とろみをつけすぎた液体そのものが窒息の原因になることもある。
味や食感が変化してしまう。
<一口量の調整>
①摂食障害による過食・詰め込み・早食いの方
⇒大きさのカット、小さじを使う、食器を小さくする、1品ごとも 。
②嚥下障害によるむせ
⇒小さじを使う、介助ペースを落とす 。
③一度で飲み込む量が少ない
⇒たくさん入れすぎず、回数を増やす。逆に一口量が少ないと、嚥下反射が起こりにくいことも。
<飲み込みの確認>
①口の中の感覚が低下していると、食物を飲み込まずどんどん口に溜め込んでしまう
⇒窒息・誤嚥の危険が上がる。
②飲み込んだことを確認してから次の一口へ
⇒喉頭の上下運動が飲み込みのサインになる。
※目で見てもわかりにくい方には、喉に指を当てて確認。
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