OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【感染症】MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

 

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MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

聞いたことありますか?

正直、老人ホームなど介護現場ではあまり聞きなれないと思います(個人的意見)。

しかし、病院ではよく聞く感染症の1つでした。

デイサービスで働いていて久しぶりに聞いたので調べてみました。

 

 

 

 

1.MRSAとは?

通常、黄色ブドウ球菌は鼻腔、口腔内粘膜、皮膚などに存在し、害を及ぼすことは少ない。

しかし、免疫低下患者や術後患者は重篤な感染症へ移行する事も。

多くの抗菌薬に耐性を持つMRSAでは死へと繋がる可能性もある。

このため、免疫力が低下している人が多い病院環境では院内感染を起こさない予防対策が必要になる。

 

<症状>
皮膚の傷などによって、化膿症、毛包炎、蜂窩織炎や、怪我、火傷、手術後の傷跡の二次感染などの皮膚組織に感染症を起こすと・・・

①患部の赤み
②腫れ
③痛みなどの炎症症状
④膿などがみられる

重症化すると、発熱や低体温、頻脈、低血圧などの全身症状を伴うことも。

 

<感染しやすい状態の人>
未熟児
高齢者
熱傷患者
臓器不全(肝臓、腎臓)患者
免疫抑制剤使用者
体内留置カテーテル使用者
意識障害患者
血液疾患患者 
手術施行者 
糖尿病患者   など

 

 

2.感染経路・発生要因

<感染経路>

主な感染経路は接触感染であり、空気感染や飛沫感染は稀。

 

<感染発生要因>

長期間の入院
基礎疾患の存在
術後症例
異物の存在
抗生物質の投与歴
看護師不足
医療従事者の認識

 

<保菌者と発症患者の定義>

●保菌者とは

MRSAが鼻腔や咽頭に定着・増殖しているが臨床的には問題となる感染症状を起こしていないので自覚もなく他覚的にもわからない。検査で始めて発見される。

 

●発症患者とは

表層(皮膚の化膿巣など)や深部(MRSA髄膜炎、MRSA腸炎など)の感染症状を起こしていて感染局所からMRSAが検出される。

 

<対策>

手洗い、手袋着用の徹底、汚染対策。
痰からMRSAが検出され咳などの症状が強い方への対応時は、使い捨てマスク・ガウンの着用が必要

 

 

 

3.具体的な対策

①標準予防の基本は手洗いである。
②罹患者に触った前後必ず手を洗う。
③明らかな汚染物質が付着していなければ、アルコールをベースにした手指消毒でもかまわない。
④血液、体液、排泄物などに触れる時は手袋を必ず着用する。
⑤使用後は直ちに手袋を外し流水で手を洗う。
⑥必要に応じて手袋の交換を何度も行う。
⑦血液、体液、分泌物、排泄物が飛散する状況下ではマスク・アイプロテクション・フェイスガード・ガウンの着用も必要である。
⑧気道にMRSAが定着し、咳・痰などの呼吸器症状が強い患者に対しては、飛沫感染防止のために、適宜マスクを着用する。
⑨マスク・手袋・ガウン・医療用具は使い捨てを原則とする。

 

<MRSA陽性患者への対応>

●保菌者に対して
手洗いやうがいなどの清潔管理を指導していく事が大切である。
保菌患者には嚥下障害を合併して咳の出やすいことも多いため、マスクの着用も。

 

●易感染者に対して
易感染者への予防隔離的な措置は重要。

 

●感染者に対して
呼吸器感染で喀痰、気道吸引物、皮膚では術創、褥瘡、消化器では消化器症状を有する下痢や嘔吐のある患者を隔離の適応として原則的に個室隔離する。
患者に接する場合は手袋・マスク・ガウンを着用する。
使用後は速やかに廃棄、または洗濯できる体制が望ましい。
煩雑な接し方を行うことで患者や家族に負担をしいる可能性があることを認識しておく必要がある。

 

参考資料
高木宏明:Geriatmedicine MRSA保菌者.ライフサイエンス.2004.
奈良勲 他:標準理学療法学・作業療法学 内科学.医学書院.2004.
坂本安令:OTジャーナル 作業療法における感染症対策.2001.