OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【健康】高脂血症~よく聞くけど実際どんな病気④~

高脂血症

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1.高脂血症とは!?

総コレステロール値:220mg/dl以上
中性脂肪:150mg/dl以上
HDL(善玉)コレステロール値:40mg/以下 
の場合を言う(数値に誤差あり)

<高脂血症の分類>
●一次性(原発性)高脂血症⇒遺伝子異常、原因不明

●二次性高脂血症(他疾患の代謝異常の合併)⇒糖尿病、肝疾患、腎疾患、アルコール飲用
※最近では、血圧降下剤や各種ホルモン剤、免疫抑制剤、抗精神薬なども高脂血症を引き起こすことがある。

 

 

2.症状

黄色腫⇒顔面、頸部、背部、臀部、手背伸筋腱部、アキレス腱部

肝腫(肝臓の腫大)

動脈硬化

※高脂血症を治療すると黄色腫は縮小するので、黄色腫の計測は治療効果の判定に役立つ。

 

<高脂血症から引き起こされる疾患>

高脂血症 ⇒ 動脈硬化 ⇒ 脳梗塞・心疾患・動脈瘤

 

 

3.予防・対処法

①食事療法⇒糖質・エネルギーの総摂取量の制限。

②運動療法⇒エネルギーの消費量を高めて脂肪の代謝を促進させる。

③生活改善⇒禁酒・禁煙・ストレスをためない生活への改善

④薬物療法⇒脂質の合成と食事からの吸収を抑制する。効果のある薬を服用。

 

食事療法

1)コレステロールが多い人(高コレステロール血症)

①摂取エネルギーを調節する。
 適正エネルギー摂取量=標準体重×25~30kcal
②コレステロール摂取制限: 1日300mg以下
③脂肪摂取制限:動物性脂肪を減らし、植物性脂肪や魚油を多く摂取する。総摂取エネルギーの20%以下
④食物繊維を1日20g以上摂取する。
⑤抗酸化物摂取(植物油・緑黄色野菜・ビタミンCなど)

 

2)中性脂肪が高い人(高中性脂肪血症)

①摂取エネルギーを調節する。適正エネルギー摂取量=標準体重×25~30kcal
②脂肪摂取制限:動物性脂肪を減らし、植物性脂肪や魚油を多く摂取する。総摂取エネルギーの20%以下
③アルコール制限:エタノール換算25g/日以下(ビール500ml、日本酒1合に相当)
④糖質摂取制限:糖質由来エネルギーを総摂取エネルギーの50%以下にする。特に単糖類と二糖類は可能な限り制限する。

3)コレステロール・中性脂肪がともに多い人(混合型高脂血症)
1)2)で示した食事療法を併用運動療法

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運動療法

・強度(脈拍から推定する方法):心拍数=138-年齢/2
・量・頻度:30~60分/日、3回/週以上
・運動種目:歩行・ジョギング・水泳・太極拳・サイクリング・社交ダンスなどの大きな筋肉を使った律動的な運動。また、筋力トレーニングの有用性も報告されている。
・効果:HDLコレステロールの増加、LDLコレステロール・中性脂肪の減少
・運動療法のリスク管理(主に高齢者)

 

<運動時に気を付けること>

日常生活活動に無理のない程度に維持・継続することが大切。
膝や腰に負担のかかる階段や坂道での運動は避ける。
運動量を急に多くせず段階付けを行う。
運動しやすい服装や靴の使用、汗を吸い取りやすい衣類の着用で。
水分摂取を適度にとる。
日々の体調管理を徹底し意識付け。

 

生活指導、服薬指導

<喫煙に関する指導>
タバコに含まれるニコチンは…
・アドレナリンの分泌を促して血管収縮、心拍数上昇、血圧上昇させる
・中性脂肪や悪玉コレステロールの合成を促進し、逆に善玉コレステロールを減少させてしまう。
※タバコが燃えるときに発生する一酸化炭素が血液中のヘモグロビンを結びついて酸素不足を生じさせ、中性脂肪と悪玉コレステロールを増大させる。
・喫煙がきっかけで心筋梗塞や脳梗塞になる危険が高い。

 

<飲酒に対する指導>

アルコールは肝臓での中性脂肪の合成を促進する。
酒の飲みすぎは、悪玉(LDL)コレステロールを増やし、動脈硬化を引き起こす要因になる。
とくに中性脂肪が高い人は断酒するか節制が必要。

 

<具体的には>

・飲酒の危険性を知る。
・食事をしながらゆっくり時間をかけて摂取。
・つまみは低カロリーのものを選ぶ。
・やけ酒や一気飲みをしない。

 

<ストレスに関する指導>

ストレスが加わると、アドレナリンやノルアドレナリン、副腎皮質ホルモン、インスリンなどが大量に分泌される。
結果、血圧、血糖値、コレステロール値、中性脂肪値が上昇。
動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞につながってしまう。

 

ストレスについて⇓

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<服薬に関する指導・留意点>

肝臓や腎臓機能が低下していることが多い。⇒服薬量に注意。
高血圧・糖尿病・脳血管障害などを合併している可能性が高い。⇒薬剤間の相互作用に注意!!

 

 

参考資料
藏本築:ベッドサイド老年病学,南江堂,1994
小竹英俊・山下和良・及川眞一:高齢者高脂血症の食事療法,ライフサイエンス,2003,vol41-2
木庭新治・片桐敬・佐々木淳:高齢者高脂血症の運動療法,ライフサイエンス,2003,vol41-2
木下誠:高齢者における薬の副作用と留意点,ライフサイエンス,2003,vol41-2

 

 

3月の記事⇩

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