関節リウマチ
リウマチという言葉は医療福祉の現場にいなくても聞く言葉だと思います。
でもリウマチ=変形?
ではないです。いろんな症状が出ます。
簡単にですがまとまてみました。
以前まとめた記事はこちら⇩
1.関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチは自己免疫疾患のひとつと考えられています。
※自己免疫疾患:身を守るはずの免疫システムに異常をきたし、自分自身の身体を誤って攻撃をするようになった状態。
関節リウマチとは、関節が炎症を起こし骨や軟骨が破壊。関節に痛みた腫れなど(慢性の炎症)起こり、徐々に変形をきたしてしまう病気です。
関節症状だけでなく微熱や全身倦怠感などの全身症状も起こることが多い。
2.症状
・こわばり(朝起きてから30分以内に起こるのが特徴と言われています)
・腫れ
・痛み
・発熱
・関節の脱臼や変形など
・疲労感、倦怠感
・食欲不振、体重減少
・貧血
・息切れ
・目の疲れや視力低下
・口内炎、口の渇き
・レイノー現象(※血流が一時的に悪化する状態)
などさまざまな症状が出てきます。
<関節破壊の進行の程度は4段階のステージに分類>
ステージⅠ(初期)はX線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ(中等期)は軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ(高度進行期)は骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ(末期)は関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。
<関節破壊の進行に伴う日常生活の障害(機能障害の進行度)>
クラスⅠ:通常の日常生活動作は完全に可能(身の回りの動作はもちろん、仕事やそれ以外の活動も)。
クラスⅡ(中等期):通常の身の回りの動作、仕事は可能だが仕事以外の活動は制限される。
クラスⅢ:通常の身の回り動作は可能。しかし、仕事以外の活動はもちろん、仕事も制限される。
クラスⅣ:通常の身の回りの動作を含め、すべての行動は制限される。
3.診断
早期発見・早期治療の重要!!。
①1ヵ所以上の関節の腫れがある。
②画像診断で骨のびらん(炎症による骨病変)のあるか確認。
関節リウマチと診断する基準。
●朝のこわばり
こわばりとは関節を上手く動かせない状態。リウマチの特徴として、朝のこわばり(朝起きて30分以内に起こることが多い)がひどいと言われています。
●関節症状
特に指、手関節の変形。さらに肘、膝、足関節などで痛みと腫れが生じます。
また症状は左右対称に出ると言われています。
<血液検査>
●リウマトイド因子(リウマチ因子)
IgGと抗体。関節リウマチの炎症に関係します。
関節リウマチ方の約80%の方がリウマトイド因子陽性となると言われています。
●抗CCP抗体
関節リウマチの診断に有用性が高い検査方法。
陽性となると関節リウマチである可能性が高い。
●CRP
肝臓でつくられるたんぱく質。
炎症が起こると増加。
●マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP-3)
関節の組織から作られる酵素。
関節内の炎症が強くなると増加。
●血沈(赤血球沈降速度):ESR
細い管の中で赤血球が沈む速度。
炎症が起こると増加。
4.日常生活で気を付けること
ベッドからの起き上がり
ベッドから起き上がる際は頚部を屈曲させず、肘をついて起き上がる。起き上がる際に、頚部に痛みがある場合にはカラーを使用する。
枕が高いと頚部が過屈曲する為、枕の高さは低めにする。
食事動作
水分摂取時はストローを使用し、頚部の過伸展を防止する。
手指の変形、肘関節の可動域低下、疼痛によって箸が使用できない場合は太柄の曲がりスプーンを使用する。
上肢で食器を把持するよりもテーブルを補高し少し高めにする方が頚部の余計な屈曲を回避する事が可能。
整容動作
蛇口をレバー式に変える。手指の変形により水がすくえない、肩関節、肘関節の可動域低下によって顔まで手が届かない場合は、タオルを巻きつけた孫の手などを使用する。
洗面台を高くすると頚部や体幹の無理な屈曲を防ぐことが可能である。
更衣動作
可動域の低下、痛みがある場合は自助具を使用する。上肢はリーチャー・ボタンエイド、靴下はソックスエイドを使用する。自助具を使用することによって可動域の低下と手指の変形による動作の制限を補う事が可能である。
伸縮性の悪い衣服を無理に着用しようとすると頚部の過屈曲や、手指に過度の負荷がかかる為、衣服の素材は伸縮性の良いものを使用する。
排泄動作
和式トイレでは下肢全体の関節に負担をかける。便座を補高した洋式のトイレに変更することにより立ち上がる際の負担を軽減する。手指の変形でペーパーが把持できない場合は使い捨て紙手袋を用いる。
入浴動作
シャワーチェアを使用しシャワーを浴びる。髪を洗う際は、長柄ブラシを使用し洗髪する。洗体を行う際は足先や手の届かない部分は長柄ブラシを使用し、背中はループ付きタオルを使用する。入浴前に暖房や浴槽の蓋を開けるなどを行い、浴室(可能であれば更衣室も)を温める。これにより急激な温度変化を避け疼痛を回避することが可能である。入浴後は直ちに身体を拭き、冷えを防ぐ。
日常生活での注意点
食事・・・多くの患者に貧血、アルブミンの低下、骨粗鬆症がみられる為、鉄分やカルシウム、タンパク質の多い食事を摂取すると良い。(例:牡蠣、煮干し、小松菜など)
健康管理・・・疲労が蓄積すると症状が出現しやすくなる為、充分な睡眠が必要。さらに疲労を感じたら休憩をとる。
適度な運動・・・痛みにより活動量が低下すると筋・骨の萎縮を呈する為、適度に運動を行い機能障害を予防する。
関節を保護する為には?
・休息と活動のバランス
・変形を生じる肢位の回避
・同一肢位保持の回避
・自助具の使用
・痛みへの配慮
・努力量の軽減
・適切な保温と冷却
身体的症状、痛み、関節の変形などのリスク管理も重要であるが、同様に症状の裏に隠れている患者の心理面を理解し援助する事が大切。
参考資料
石原義恕 他:これでできるリウマチの作業療法.南江堂.1996.
林正春:OTジャーナル 関節リウマチと作業療法.三輪書店.2006.
橋本明:関節リウマチ.保健同人社.2007.
山前邦臣:リウマチの知識と治療法.日東書院.2001.