OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

単純ヘルペス~聞いたことあるけど…帯状疱疹との違い~【感染症】

単純ヘルペスウイルス

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単純ヘルペスと聞いて、私なったことある。という方もいるのでは!?

特に風邪を引くとなるとか、季節の変わり目になるとか?

免疫力が低下していると出てくる印象があります。

前回紹介した”帯状疱疹”も同じような?

気になったので調べました。

 

 

 

1.単純ヘルペスとは?

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単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染で、皮膚・粘膜に水胞性発疹をきたす疾患を単純ヘルペスという。

 

HSVには1型と2型の亜型があり、それぞれの好発部位が異なる。

単純ヘルペスウイルス1型(HSV‐1)

・三叉神経節に潜み、その支配領域である口唇など主に上半身で再発を繰り返す。

 

単純ヘルペスウイルス2型(HSV‐2)

・仙骨神経節に潜み、性器ヘルペスなど主に下半身で再発する。

HSV-1型に比べHSV-2型の方が再発率が高く、場合によっては年に10回以上再発を繰り返す人も。

 

帯状疱疹の詳細は⇩⇩

 

 

<ウイルスによる感染症の特徴>

単純ヘルペスウイルスが接触感染、性行為によって感染。

1型・2型ともに、初発症状がみられる顕性化であっても、症状がみられない不顕性化であっても初発感染後は神経節に潜伏状態となり、免疫力の低下によって再帰感染を起こる。

単純ヘルペスウイルス1型による初感染の多くは不顕性であるが、顕性化すると小児では疱疹性歯肉口内炎やカポシ水痘様発疹症などを発病する。

単純ヘルペスウイルス2型による初感染では、陰部に性行為感染症(性病)を生じる。

 

単純ヘルペスウイルスが再活性される要因として次のようなものがあげられる。

①風邪などによる発熱

②紫外線

③性交渉

④歯科治療

⑤過労やストレス

これらのことが刺激となったり、身体の抵抗力を弱める原因となることで発症する。

この他、エイズや悪性腫瘍などによる細胞性免疫の低下に伴って、潜伏していたウイルスが活動を再開することもある。

 

 

2.症状

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単純ヘルペスウイルス1型

①初感染症状

口腔粘膜への感染症で、急性歯肉口内炎、新生児ヘルペス、口唇ヘルペス、角膜炎、カポシ水痘様発疹症など、種々の症状がある。

②その後は?

三叉神経の神経節に潜み潜伏感染を続けており、何らかの誘因(免疫機能低下など)があると再び活性化されて、症状が神経支配部位の皮膚に出現。

 

単純ヘルペスウイルス2型

性交による性器感染が起こり、初感染後は腰髄、仙髄後根神経節に潜伏感染を続ける。

その後しばしば性器ヘルペスを発症。

 

 

 

初感染

①新生児期(0~27日)

新生児ヘルペス(致死的全身感染)・(主に母子感染)全身型および局在型

②乳幼児期(1歳~6歳)

歯肉口内炎、カポシ水痘様発疹症 、急性脳炎、髄膜炎、角膜炎

③学童~成人(6歳~)

不顕性感染、歯肉口内炎 角膜炎 、急性脳炎、髄膜炎、器ヘルペス

 

再発(回帰発症)、再感染

再発(回帰発症) :口唇ヘルペス、性器ヘルペス、脳炎、角膜炎

再感染:再感染の実態は不明

 

 

3.予防策、防止策

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<治療者が行う対策>

手洗い・うがい接触感染により、再発の要因となるため

マスク:空気感染はないが、唾液により感染(再発)の恐れがあるため

用具管理:タオルや治療機具などから感染しないように衛生管理を徹底

傷の管理:傷からウイルスが感染しないようにするため

対象者の体調管理:疲労、ストレス、風邪などで免疫機能の低下で再発する可能性があるため

 

<対象者が行う対策>

手洗い・うがい:風邪の予防、免疫機能の低下を防ぐ

体調管理:ストレス、疲労を蓄積させないため

口腔ケア:虫歯予防

抗ウイルス薬:再発の恐れがあると感じたとき服薬

性感染の予防:性病予防を行い2型ウイルスの感染を防ぐ

 

参考文献

①本田 まりこ:帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本,法研,2004

②冨田 豊:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 小児科学,第2版,株式会社医学書院,2005