糖尿病
1.糖尿病とは?
膵臓ランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるインスリンが不足、または作用しなくなり発症する病である。
<糖尿病の種類>
1型糖尿病
膵臓からインスリンがほとんど出なくなる状態で(インスリン分泌の低下すること)より血糖値が高くなります。そのため、外から注射でインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
1型同様にインスリンが出にく状態やインスリンの効果が少なくなり、血糖値が高くなります。2型糖尿病の原因は、遺伝や環境(不規則な食事、運動不足、肥満など)の影響があると言われています。
<主症状>
体重減少
①細胞に糖が吸収されない (細胞の低血糖状態)
②糖の代替エネルギーとして、蛋白や脂質の分解が亢進(異化反応)
③体重減少
口渇・多飲・多尿
①血糖値の上昇
②腎尿細管での再吸収能力の限界を超える
③水分も一緒に尿として排泄(多尿)
④脱水
⑤口渇
倦怠感
①血糖値の上昇
②インスリンが作用しなくなる
③糖がエネルギーとして体内に蓄積されない
④倦怠感
2.治療
<食事療法>
1日3食の規則正しい食事を取ることで血糖のコントロールをよくする。
① 食塩を減らす
1日7~10グラム、WHOは食塩摂取目標を1日5グラムと言っている。
高血圧になると腎症が進行しやすい。
② 飽和脂肪酸を多く含む食品を控える。
食品としては、バター・ベーコン・豚ばら肉など。
高脂血症があると動脈硬化が進行しやすい。
③ 食物繊維を多く摂取する
1日あたり約20g(1日あたり男性20g以上、女性18g以上)
食物繊維は食後の血糖上昇を抑え血中コレステロール増加を防ぐ。
④ 飲酒を控える
原則的には禁酒。
長期間血糖値が安定し、薬物療法を行っていない方の場合は適度な飲酒(男性で純エタノール換算1日20g以下、女性でその半量以下)はしても良いとされている。
⑤ 禁煙
血管障害を促進するため、禁煙とする。
<運動療法>
①低下しているインスリンの効き目を良くするためにする。
②運動によってインスリンの働きが良くなる部位は、運動した部分の筋肉に限られてしまう。したがって、全身運動が良い。
③食後1時間~1時間半ぐらいが、運動に理想的な時間帯。
④食物が消化吸収され血糖値が上がる時間帯でもあり、低血糖症状を起こす心配が少ないから。
<薬物療法>
◎インスリン製剤の注意点
低血糖(脱力感、発汗、振戦など)が起こりやすい。
→常に砂糖水、飴を用意。
皮下注射は上腕、大腿、腹部、腰部に行う。
過敏症(血圧降下、蕁麻疹)に注意。
静脈注射が可能なのは速攻型のみ。
3.糖尿病で起こる合併症
<三大合併症>
①糖尿病性神経障害
高血糖により、手足の神経が傷つけられることで、足先や足裏、手指に痛みやしびれなふどの感覚障害が出る合併症。最悪の場合、足潰瘍や足壊疽となる。
②糖尿病性網膜症
高血糖により、網膜にある細い血管が傷つけられ起こる合併症。進行すると失明する。
③糖尿病性腎症
高血糖により、腎臓にある細い血管が傷つけられ起こる合併症
動脈硬化
糖尿病になると血管の老化が起こってしまう。血管壁が厚くなったり、硬くなり柔軟性がなくなることで血液が狭くなる。
<その他>
高浸透圧性昏睡
糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡
低血糖
4.リスク管理・対策
<壊疽>
血糖をいつも良好にコントロールする
湯たんぽ、電気アンカは熱傷の原因となるので注意!!
水虫、うおのめ、たこの処置は自分で行わず主治医に相談する
立ちくらみやふらつきによる転倒の際の外傷に気を付ける
1日2回は自分の皮膚(特に足)を確認する
◎毎日できること
フットケア
清潔を保つ
ふか爪をしない
足に合った靴をはく
靴を履く前には小石が入ってないかチェック
素足は避ける
靴下は毎日替える
<失明>
見え方は日によって異なるため、患者から状態をよく聞くこと
触覚や関節位置覚を利用し、道具の操作訓練、ADL訓練を行う
自助具や盲人用具の利用法の指導
<脳卒中・心筋梗塞>
インスリン分泌不足により、高脂血症を進行させ、高血糖によって血液が固まりやすくなるため、高血圧の合併も一般の人より多い。
食事療法、運動療法、薬物療法で予防・進行を遅らせる。
<その他>
神経障害による血流障害を起こしやすく、細菌の感染に対して抵抗力が低下する。
おできや水虫、カンジダなど感染しやすく、神経障害による発汗異常のために皮膚や陰部がかゆくなる。
薬を勝手に止めない 。
水分補給 ・ビタミンの補給(免疫機能向上)
毎日入浴し腋下など特に清潔に保つ。
下着は木綿など汗を吸収するものを毎日替える 。
髭剃りまけや虫刺されに注意