失語症
皆さんの周りでコミュニケーションが難しい患者さん、利用者さんはいらっしゃいませんか?
もしかしたら失語症が原因で自分の思いを伝えることができないだけかもしれません。
失語症という障害を理解することでその人を少しでも理解することができるかもしれま
せん。是非読んでください。
●失語症とは
・失語症とは言語障害の一つ。
・脳の言語中枢が損傷を受けて言語能力に障害が残った状態。
・話す・聞く・読む・書く・話す・計算するといった言葉以外も難しくなる。
・聴力、視力、記憶力や判断力などには影響はない。
<構音障害との違い >
・構音障害は呼吸筋や口を動かす筋に影響。
・話すのに必要な唇、舌、声帯などの麻痺によって発声や発音がうまくできなくなる。
●失語症の特徴
①話す
・言葉が浮かんでこない。
・人名や地名などの固有名詞が出にくく、遠回し表現をすることもある。
・思ったことと違うことを言ってしまう。
※単語を言い間違える場合や言い間違い場合がある。
※言い間違いがひどい場合は意味不明の言葉(ジャルゴン)が続くようになる。
・同じ言葉が続けて言いにくくなる。
・前に言った言葉が続いて出てくる。その言葉ばかり繰り返し出てしまう。
・はっきり発音できなくなる。たどたどしい話し方になる。
②聞く
・聞こえているのに聞いた言葉の意味が理解できなくなる。
・早い言葉や内容がわかりにくい言葉、長い文章の理解が難しくなる。
・物の名前(時計やコップなど)などを言われても理解が難しくなる。
③読む
・目は見えているのに文字や文章の意味の理解が難しくなる。
・複雑な内容の文だと意味を理解できない。
・症状が重いと単語の意味を理解できない。
※漢字は文字を見ただけで直接大まかな意味を取れることが多いので理解されやすい
④書く
・漢字が思い出せない。文法を間違える。
・自分の名前が書けない。
⑤計算する
・数字を言い間違える。聞き間違える。
・計算が難しい。
●失語症のタイプ
①運動性失語症(ブローカ失語症)
②感覚性失語症(ウェルニッケ失語症)
③健忘失語(失名詞失語)
④全失語
①運動性失語症(ブローカ失語症)
・上手く話すことができず、話し方がぎこちなくなる。
・発音が不明瞭になったり、他の音に置き換わることがある。
軽度:文章で話せるが、話しが遅く言葉の発音もしにくい。
重度:単語や短い言葉を話せるが、文章を話すことは難しくなる。
②感覚性失語症(ウェルニッケ失語症)
・流ちょうに話すことができるが言い間違いが多い。
・相手の言っていることが理解できず会話が成立しない。
・聞いて理解することが困難になる。
軽度:複雑な文章は聞き取りが難しい。
重度:日常の意思疎通が難しい。
③健忘失語(失名詞失語)
・聞いて理解することはできる。
・物の名前が出てこないため、話しがなかなか前に進まない。
・単語が思い出せず言いたいものを抽象的な表現になる。
④全失語
・重度の失語症で「聞く・話す・読む・書く」のすべての言語機能に障害がある。
・人の感情に強く訴える言葉は理解できることもある。
・意味が通じない言葉や相づち程度にしかできなくなる。
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